【心理学論文】なぜ自尊心は年齢によって変わるのか? 研究が示した3つのポイント

自尊心が年齢によって変化しながら昼寝をしている女性
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自尊心は、年齢とともにどう変わっていくのか?

『4歳から94歳まで、自尊心はどう育つのか 縦断研究をもとにしたメタ分析』ウルリッヒ・オース、ルース・ヤセミン・エロル、エヴァ・C・ルチアーノ(2018)

Orth, U., Erol, R. Y., & Luciano, E. C. (2018). Development of self-esteem from age 4 to 94 years: A meta-analysis of longitudinal studies.

「自尊心」と聞くと、なんとなく“自分を大事に思う気持ち”とか、“自分に自信があるかどうか”みたいなものを思い浮かべる方が多いかもしれません。けれど、ここでひとつ気になることがあります。自尊心って、いったいいつ頃から育ちはじめて、年齢とともにどう変わっていくのでしょうか。子どもの頃は高いのか、それとも低いのか。大人になると安定するのか。年を重ねたらまた変わるのか。考えてみると、なかなか気になるテーマです。

なんというか、自尊心はずっと同じ温度のまま人生を歩いていくものではなさそうです。朝のコーヒーみたいに、気づけばぬるくなっていたり、逆に思ったより熱かったりする。人の心も、年齢とともに少しずつ表情を変えていきます。

今回紹介するのは、4歳から94歳までという、とても広い年齢層を対象に、自尊心の変化をまとめて検討した大規模なメタ分析です。ひとつの研究だけを見るのではなく、たくさんの縦断研究を集めて、「人生の中で自尊心はどう動いていくのか」を全体として見ようとした、なかなか骨太な一本です。

「自分に自信が持てないのは年齢のせいなのか」「年を重ねると自分を受け入れやすくなるのか」「そもそも自尊心って一生ずっと同じじゃないのか」。そんな素朴だけれど大事な疑問に、この研究はかなり面白いヒントをくれます。今回はこの論文をもとに、自尊心が人生の中でどんなふうに育ち、揺れ、変わっていくのかを、できるだけわかりやすく見ていきます。

阿部牧歌(管理人)
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この論文をひとことで言うと

この論文をひとことで言うと、自尊心は人生のあいだずっと同じ顔をしているわけではなく、年齢とともに少しずつ育ち、ときにはゆるやかに下り坂にもなる、ということを大きな流れで示した研究です。

もう少しくだけて言えば、「自分をどう見るか」は固定メンバーではなく、人生という長い舞台のなかでちゃんと出番や立ち位置が変わっていく、という話です。子どもの頃から老年期まで、自尊心はずっと一本調子で進むのではなく、時期によって上がったり、安定したり、また変化したりする。その流れを、たくさんの縦断研究を集めて確かめたのが、この論文です。

つまりこれは、「自尊心って性格みたいにずっと同じなんでしょ?」という思い込みに対して、「いやいや、けっこう動きますよ」と静かに、でもしっかり教えてくれる研究だと言えます。

阿部牧歌(管理人)
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この論文の要点

1. 自尊心は、年齢とともに少しずつ変わっていく

この研究では、自尊心は一生ずっと同じ高さで止まっているわけではなく、子ども時代から成人期、中年期、老年期にかけて、ゆるやかに変化していくことが示されました。人生のあいだ、自尊心は意外とちゃんと動いているのです。

2. 自尊心は、若いころに伸びやすく、60代ごろに高まりやすい

平均的には、自尊心は4歳から11歳にかけて上がり、11歳から15歳ごろはいったん安定し、その後は30歳ごろまで大きく上昇し、さらに60歳ごろまでゆるやかに高まる傾向が見られました。まるで人生の後半でじわじわ育つ観葉植物みたいです。

3. 老年期には下がることもあるが、変化の流れには共通したパターンがある

この論文では、70歳以降は自尊心が低下しやすく、特に90代では下がり方が大きくなることも示されました。また、この大まかな流れは、性別や国、民族などが違ってもおおむね共通していました。つまり、自尊心の変化には「人生全体にわたる傾向」がある、というわけです。

阿部牧歌(管理人)
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研究の背景:年齢による自尊心の変化はなぜ調べる必要があったのか

自尊心は年齢とともに変わるのか。これは一見すると、わりと素朴な問いです。けれど、心理学の世界では、これが意外とすんなり片づいていませんでした。研究によって、「年を重ねると自尊心は上がる」と言うものもあれば、「いや、そんなに単純ではない」と言うものもあり、結果が少しずつばらついていたのです。

たしかに考えてみれば、自尊心というのはやっかいです。身長みたいに定規で測れるわけでもなければ、体温みたいにピッと数字が出るものでもありません。しかも、子どもから高齢者まで、同じように比べるのも簡単ではありません。年齢ごとの研究はあっても、「人生全体で見ると、結局どう動くのか」がはっきりしにくかったのです。

さらに、これまでの研究の中には、ある年齢の人たちをその時点だけで比べたものも多くありました。でもそれだと、「その年代だからそうなのか」「その時代を生きてきた人たちだからそうなのか」が混ざってしまいます。つまり、自尊心が年齢によってどう変わるのかを本当に知るには、同じ人たちを時間をかけて追っていく縦断研究が大事になるわけです。

そこでこの論文では、そうした縦断研究をたくさん集めて、「自尊心は4歳から94歳までのあいだに、全体としてどう変化していくのか」をまとめて見ようとしました。ばらばらだった地図を机の上に広げて、「で、道は結局どっちなんですか」と見直したような研究です。ここに、この論文の大きな意味があります。

阿部牧歌(管理人)
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研究方法:自尊心の年齢変化をどう調べたのか?

この論文は、ひとことで言えば、「自尊心は年齢とともにどう変わるのか」を、たくさんの縦断研究を集めてまとめ直したメタ分析です。

ここでいう縦断研究というのは、ある時点で一回だけ調べて終わり、というものではありません。同じ人たちを何年かにわたって追いかけて、「その人の自尊心が時間の中でどう変わったか」を見る研究です。いわば、心の一日限りのスナップ写真ではなく、成長アルバムをめくるような調べ方です。

この論文では、4歳から94歳までを対象にした複数の縦断研究を集めて、年齢ごとに自尊心がどう動いていくのかを大きな流れとして検討しました。ひとつの研究だけだと、その研究ならではのクセや偏りが入りやすいのですが、たくさん集めて比べることで、「全体としてはどう言えそうか」が見えやすくなります。

つまり研究者たちは、「この年齢は高い」「あの年齢は低い」と単発で眺めたのではなく、人生を長い川のように見て、その流れの中で自尊心がどこで伸び、どこで落ち着き、どこで下がりやすいのかを確かめようとしたわけです。やっていることはかなりまじめなのですが、発想としてはとてもわかりやすい研究です。「自尊心の人生グラフ、ちゃんと全体で見てみよう」という話ですね。

阿部牧歌(管理人)
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この研究でわかったこと:自尊心の年齢変化にはどんな傾向があるのか 研究結果をやさしく整理する

この研究で見えてきたのは、自尊心は人生のあいだずっと同じ調子で進むわけではなく、年齢によってかなり表情を変える、ということでした。まず子ども時代にはゆるやかに高まり、その後、思春期のあたりでは大きく伸びるというより、少し足踏みするような時期が見られます。そして成人期に入ると、また自尊心は上がっていき、中年期から高齢期の前半にかけて比較的高い水準に達しやすいことが示されました。

ここでちょっと面白いのは、「自尊心のピークは若いころに来る」と思いきや、そう単純ではなかったところです。なんとなく世の中では、若さには勢いがあり、年を重ねると自信を失いやすいようなイメージもあります。けれどこの研究が示したのは、むしろ自尊心は大人になってからじわじわ育ち、かなり人生の後半まで伸びていく、という流れでした。自尊心は短距離走の選手というより、わりと粘り強い長距離ランナーだったわけです。

ただし、ずっと右肩上がりのままではありません。高齢期の後半になると、自尊心は下がる傾向も見られました。とくにかなり高い年齢になると、その低下は少しはっきりしてきます。これもまた興味深いところで、自尊心は「年を取れば自動的に成熟して安定する」というより、人生の状況や心身の変化の影響を受けながら動いていくものだと考えられます。

つまりこの研究が教えてくれるのは、自尊心は固定された性格の一部というより、人生の流れの中で育ち、支えられ、ときに揺らぐものだということです。意外なのは、自尊心が子どものころだけの話でも、若者だけの話でもなく、かなり長い時間をかけて変化していく点です。人は歳を重ねるとただ衰えるのではなく、自分との付き合い方を少しずつ身につけていく。その流れが、こうして研究のかたちでも見えてきたのは、なかなか味わい深い発見だと思います。

阿部牧歌(管理人)
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ここが面白い:自尊心は一生でどう変わるのか この論文が面白い理由

この論文のいちばん面白いところは、自尊心を「その人の性格」だけで片づけていないところです。ふつう、自尊心と聞くと、「あの人は自信がある人」「私は昔から自己評価が低いタイプ」みたいに、わりと固定されたものとして考えがちです。まるで心の中に、最初から貼られているラベルみたいに。でもこの研究は、そうではなくて、自尊心にはちゃんと“人生の季節”があることを見せてくれます。

これ、なかなか味わい深い話です。春の自分と秋の自分が少し違うように、人は年齢とともに、自分の見方も変わっていく。子どもの頃の自分と、大人になってからの自分と、さらに年を重ねたあとの自分とでは、「私はこれでいい」と思える感じが同じではないのです。つまり自尊心は、性格というより、人生と一緒に育っていく相棒みたいなものなのかもしれません。

しかも面白いのは、自尊心が若いころにピークを迎えるわけではない、という点です。世の中にはつい、「若いほうが勢いもあるし、自信もありそう」と思ってしまう空気があります。でもこの研究では、自尊心はむしろ大人になってからじわじわ育ち、かなり長い時間をかけて高まっていく流れが見えました。なんだか少し安心します。人生、序盤でうまく自分を好きになれなかったとしても、それで即終了ではないのです。自尊心は、せっかちな短編小説ではなく、案外じっくり進む長編小説だったわけです。

さらに、この研究は「今その年齢の人を比べた」だけではなく、同じ人を時間をかけて追った研究を集めているのも大きなポイントです。ここが地味に見えて、じつはかなり大事です。たとえば、20代と60代をその場で比べるだけだと、「年齢の違い」なのか「育ってきた時代の違い」なのかが混ざってしまいます。でも縦断研究を集めることで、「その人の中でどう変わったか」を見やすくなる。いわば、心の集合写真ではなく、心のドキュメンタリーに近づいているわけです。

この論文を読んでいると、自尊心という言葉が少しやさしく見えてきます。高いか低いかだけで人を切り分けるものではなく、人生の中で育ったり、揺れたり、ときには少ししぼんだりしながら、それでもその人と一緒に歩いていくもの。そう思うと、自尊心は「勝ち負けの点数表」ではなく、「自分との付き合い方の履歴書」みたいにも見えてきます。ここが、この研究のいちばんおいしいところだと思います。

阿部牧歌(管理人)
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私たちの生活にどう活かせる?:自尊心の変化を知ると、自分との付き合い方はどう変わるのか

この研究を日常に引きつけて考えると、まず大事なのは、「今の自尊心がすべてではない」と知っておくことかもしれません。自分に自信が持てない時期があると、つい「私はずっとこうなんだろうな」と思ってしまいます。けれど、この論文が見せてくれるのは、自尊心は年齢とともに動くものだ、ということです。つまり、今のあなたの感じ方は“最終決定版”ではないかもしれないのです。心の通知表を一学期の途中で見て、「もう人生終わった」と言う必要はないわけです。

この視点は、自分を責めすぎないためにも役立ちます。たとえば、思春期や若い時期に自分を好きになれなかったとしても、それはそのまま一生固定されるという話ではありません。大人になるなかで、仕事や人間関係や経験を通して、自分への見方が少しずつ変わっていくことは十分ありえます。自尊心は、スイッチを入れたら急に明るくなる照明というより、朝の空みたいにじわじわ明るくなるものなのかもしれません。

また、この研究は他人を見る目も少しやさしくしてくれます。年齢によって自尊心の動きやすさが違うなら、ある年代の人が不安定だったり、逆に少し落ち込みやすかったりするのも、「本人の弱さ」だけでは片づけにくい部分があります。子どもには子どもの揺れがあり、大人には大人の揺れがあり、高齢期にはまた別の揺れがある。そう思うと、「なんでそんなに自信がないの」と切るより、「いまはそういう時期なのかもしれないね」と見る余白が生まれます。人間関係に、ちょっとやわらかいクッションが入る感じです。

さらに、自分の子育てや支援、教育、対人援助の場面でも、この知見は役に立ちます。自尊心は一回で完成するものではなく、長い時間をかけて育っていくものだとわかると、「すぐに自信を持たせなきゃ」と焦りすぎなくてすみます。今日うまくいかなかったからといって、明日の可能性まで閉店ガラガラになるわけではありません。人の心は、コンビニのおにぎりみたいに即日完成ではないのです。じっくり育つものには、じっくり育つ時間が必要です。

この論文を読んで生活に持ち帰れる一番大きなことは、自尊心を「高いか低いか」で裁くのではなく、「今はどんな時期にいるのか」という目で見てみることだと思います。そうすると、自分に対しても他人に対しても、少しだけ親切になれます。自尊心は、持っているか持っていないかの資格証明ではなく、そのときどきの人生の風に揺れながら育っていくもの。そう考えるだけでも、心の景色は少し変わるはずです。

阿部牧歌(管理人)
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少し注意したい点:この研究から何が言えて、何がまだ言いきれないのか

この研究はとても面白いのですが、読むときにひとつ気をつけたいのは、「年齢によって自尊心が変わる」といっても、それがすべての人にそのまま当てはまるわけではない、ということです。研究としては大きな流れを示してくれますが、現実の人生はもう少しごちゃごちゃしています。まっすぐな折れ線グラフのようにはいかず、転んだり、寄り道したり、急に立ち止まったりするのが人間です。自尊心もまた、「平均ではこうなりやすい」という話であって、「あなたも必ずこうです」という運命の台本ではありません。

それに、自尊心が上がったり下がったりする背景には、年齢だけではなく、健康状態や人間関係、仕事、経済的な状況、その人がどんな経験をしてきたか、といったいろいろな要素があります。たとえば同じ40代でも、充実感の中にいる人もいれば、しんどさの真ん中にいる人もいます。つまり、この研究は「年齢による傾向」は見せてくれますが、「なぜその人の自尊心がそうなっているのか」まですべて説明してくれるわけではありません。自尊心の変化を、年齢ひとつで全部わかった気になるのは、さすがに少し早とちりです。

さらに、この論文は縦断研究をまとめたメタ分析なので、とても信頼しやすい一方で、もとになった研究ごとの測り方や対象者の違いもあります。自尊心という言葉ひとつとっても、質問の仕方や研究の条件が少し違えば、出てくる結果の色合いも変わります。つまり、大きな地図としてはとても役に立つけれど、細い路地裏の曲がり角まで全部載っているわけではない、ということです。地図を見れば街の形はわかる。でも、今日その道にどんな風が吹いているかまでは、実際に歩いてみないとわからない。そんな感じです。

だからこそ、この研究は「自尊心は年齢とともにこう変わるらしい」と読むのがちょうどよくて、「だから私はもう手遅れだ」とか、「この年齢ならこうであるべきだ」と決めつけるために使うのは、少しもったいない気がします。研究は人を型にはめるためのものではなく、人を理解するためのヒントとして使ったほうが、ずっとやさしいです。

この論文から言えるのは、自尊心には人生全体を通して一定の傾向があるらしい、ということです。でも同時に、ひとりひとりの人生には、その傾向だけでは語りきれない事情や物語があります。そこを忘れずに読むと、この研究はただの「へえ」で終わらず、静かに信頼できる知識として心に残ってくれます。

阿部牧歌(管理人)
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まとめ:自尊心は一生でどう育ち、どう揺れるのか

この論文が教えてくれるのは、自尊心は「生まれつきずっと同じ形をしているもの」ではなく、人生の中で少しずつ育ち、揺れ、ときに下がりながら変化していくものだということです。子どもの頃から老年期まで、自分をどう見るかは静かに動いていて、その流れにはある程度の共通した傾向もある。ここがまず、この研究の大きな発見でした。

面白いのは、自尊心が若い頃だけの話ではなかったことです。むしろ大人になってからもじわじわ育っていき、人生のかなり長い時間をかけて変わっていく。これは少し希望のある話です。今の自分の感じ方がすべてではなく、これからの経験や時間の中で、自分との付き合い方が変わっていく余地がちゃんとあるからです。自尊心は、早い者勝ちで配られる景品ではなく、人生の途中で少しずつ育っていく植物のようなものなのかもしれません。

ただもちろん、研究が示しているのはあくまで大きな流れです。人にはそれぞれ事情があり、季節があり、心の天気があります。平均としてはこうだとしても、今日のあなたのしんどさや、昨日のあなたのがんばりまでは、折れ線グラフだけでは語れません。だからこの論文は、「自分はこの年齢だからこうでなければならない」と決めつけるためではなく、「人の心は思っているより長い時間をかけて変わっていくのだな」と受けとめるために読むのがちょうどよさそうです。

自尊心というと、つい「高いか低いか」で話を終わらせたくなります。けれどこの研究を読むと、それはもっと時間のかかる、もっと人間くさいものに見えてきます。育つ日もあれば、しぼむ日もある。それでも人生のどこかでまた少し立ち上がってくる。そう思うと、自尊心は点数表というより、自分と長く付き合っていくための静かな履歴のようにも見えてきます。なかなか、味のある話です。

阿部牧歌(管理人)
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あとがき

この論文を読んでいて、なんだか少しほっとしました。自尊心という言葉は、どうしても「高いほうがいい」「低いのは困る」と、通知表みたいに扱われがちです。けれど実際には、そんなにきれいに白黒つくものでもないのだろうなと思います。上がる時期もあれば、足踏みする時期もある。じわじわ育つこともあれば、何かの拍子にしゅんと小さくなることもある。そういう揺れをふくめて、人の心なのだろうなと感じました。

私はこういう研究を読むたびに、「人って、思っているよりずっと途中なんだな」と思います。完成している人なんて、たぶんそんなにいません。むしろみんな、それぞれの年齢、それぞれの事情のなかで、自分との付き合い方をそのつど覚え直しているのかもしれません。若い頃に自信がなかった人も、あとから少しずつ自分を受け入れられるようになることがある。逆に、年齢を重ねたからといって、いつも安定していられるわけでもない。その感じが、この論文ではとても人間らしく描かれていて、私はそこが好きでした。

自尊心というと、なんだか立派な人だけがちゃんと持っていそうな言葉に見えることがあります。でも本当は、もっと生活の近くにあるものなのだと思います。朝、鏡を見たときの気分。仕事で失敗した日の帰り道。誰かの何気ないひと言が妙に引っかかる夜。あるいは、「今日はまあまあよくやった」と思える夕方。そういう小さな場面の積み重ねのなかで、自尊心はふくらんだり、しぼんだりしているのかもしれません。高級なガラス細工というより、毎日使う湯のみみたいなものです。気づけば手になじんでいて、ときどき欠けるけれど、それでもまた使い続ける。そんな感じがします。

今回この論文を読みながら、人生には「今の自分だけで決めなくていいこと」があるのだと、あらためて思いました。今、自分に自信が持てないとしても、それが最終形とは限らない。逆に、今うまくいっているとしても、ずっとそのままではないかもしれない。だからこそ、人はその時々で、自分を少しずつ手入れしながら生きていくのでしょう。心というのは、案外、放っておくとすねるし、丁寧に扱うと少し機嫌を直してくれるものです。なかなか手がかかります。でも、その手のかかり方も含めて、人間の味なのだと思います。

「アドラーの昼寝」では、論文をただ“知識”として並べるだけではなく、読んだあとに少し自分の生活が見え直すような文章にできたらいいなと思っています。この論文もまさにそうで、自尊心の研究を読んでいたはずなのに、気づけば「自分はこれまでどうやって自分と付き合ってきただろう」と考えていました。そういう読後感のある研究は、やっぱりいいですね。論文なのに、少し人のぬくもりがある。数字の顔をしているのに、読んでいるとちゃんと生活に戻ってくる。その感じが、とても好きでした。

もし今、自分にあまり自信が持てない方がいるなら、この研究は静かにこう言ってくれる気がします。「まだ途中ですよ」と。人生は、そんなにせっかちに結論を出さなくてもいいのかもしれません。

阿部牧歌(管理人)
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制作ノート

出典:Orth, U., Erol, R. Y., & Luciano, E. C. (2018). Development of self-esteem from age 4 to 94 years: A meta-analysis of longitudinal studies.

本記事は、GPT-5.4 Thinking を用いて下書きを作成したうえで、当サイト管理人・阿部牧歌が内容を確認し、表現や流れを整えながら仕上げています。機械の速さと、人の目と感覚の両方を生かしながら、読みやすく信頼できる記事づくりを目指しています。

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心理学論文のうたたね案内人
はじめまして。心理学の論文要約サイト「アドラーの昼寝」を運営している阿部牧歌です。 これまで、障がい者福祉事業所の施設長などを経て、現在は某就労支援機関にてキャリアコンサルタントとして働いています。 日々、さまざまな悩みや不安、迷いにふれる中で感じるのは、人の心はとても複雑なのに、ひとつの言葉や考え方で少し楽になることがある、ということです。心理学の論文には、そんな「心を理解するためのヒント」がたくさん詰まっています。けれど、そのまま読むには少しかたくて、専門用語も多く、気軽には近づきにくいものでもあります。 「アドラーの昼寝」では、そんな心理学の論文を、なるべくわかりやすく、やわらかく、そして少し面白く読める形にしてお届けしたいと思っています。読書が好きで、本の中を歩くように言葉を読む時間が昔から好きでした。論文もまた、少し入り口を整えるだけで、ぐっと親しみやすいものになります。 このサイトが、忙しい日々のなかでほんの少し立ち止まり、自分や誰かの心をやさしく見つめるきっかけになれば嬉しいです。
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