アナ・V・ニクチェヴィッチ(Ana V. Nikcevic)の論文一覧:心の研究のはずなのに、『それ私のことでは?』が何度か起こる論文たち
アナ・V・ニクチェヴィッチ(Ana V. Nikcevic)のプロフィール
アナ・V・ニクチェヴィッチは、ひとことで言うと、「人の心のしんどさを、ちゃんと研究でほどいていくタイプの心理学者」です。いわゆる“気合いでなんとかしましょう”ではなく、「その不安、どういう考え方や心のクセで強くなるの?」と、心のしくみをかなり本気で見にいく研究者です。
所属先は、キングストン大学(Kingston University London)で、心理学・メンタルヘルスの教授を務めています。さらに、MSc Clinical Applications of Psychology のコースディレクターであり、Clinical and Applied Behavioural Research Group のアカデミックリードも担当しています。肩書きを見るだけで、「この人、たぶん会議でも授業でも研究でもずっと忙しいぞ」という感じがあります。
学歴もかなりしっかりしていて、ベオグラード大学で臨床心理学系の学士を修め、その後ロンドンのCity Universityで健康心理学の修士、さらにKing’s College Londonで心理学の博士号を取得しています。加えて、認知行動療法や高等教育の教授法、メタ認知療法に関する資格も持っています。つまり、机の上の研究だけでなく、実際の支援や教育の場ともつながっているタイプです。
研究テーマは、ひとことで言えば「つらい出来事のあと、人は心の中で何をしてしまうのか」です。特に、メタ認知、つまり「自分の考えについてどう考えるか」という部分や、感情調整、注意の向け方、行動のクセなどに注目しています。研究の対象には、自己肯定感の低さ、先延ばし、依存的な行動、そして妊娠・出産まわりのつらい経験やCOVID-19が心に与えた影響なども含まれています。守備範囲が広いのですが、芯にはずっと「心の苦しさのしくみを理解したい」が通っています。
職歴を見ても、かなり地道にキャリアを積んでいます。King’s College Hospital の Harris Birthright Research Centre for Fetal Medicine で研究職を務めたあと、2002年にキングストン大学へ着任し、その後もKing’s College Hospital の名誉研究フェローや、イタリアの Sigmund Freud University, Milan の客員教授も歴任しています。静かに見えて、研究者としての歩幅がかなり大きい人です。

1.『低い自己肯定感にCBTは効くのか-フェネルモデルにもとづく介入研究を読み解く系統的レビューとメタ分析』ダニエル・C・コルビンスキ、ダニエル・フリングス、アナ・V・ニクチェヴィッチ、ジャクリーン・A・ローレンス、マルカントニオ・M・スパーダ(2018)
Daniel C. Kolubinski、Daniel Frings、Ana V. Nikcevic、Jacqueline A. Lawrence、Marcantonio M. Spada (2018),『A systematic review and meta-analysis of CBT interventions based on the Fennell model of low self-esteem』
「自己肯定感が低いんです…」
「では気合いではなく、認知のクセから見ていきましょう」
そんな感じで、この論文は“低い自己肯定感”に向けたCBTをまとめて点検した研究です。8本の研究を洗い、7本をメタ分析したところ、自己評価の改善には手応えあり。ただし「自己肯定感そのものへの特効薬なのか、うつ改善のついでなのか」はまだ検討の余地あり。だからこそ、読めば“心の立て直し方”が少し具体的に見えてきます。

