トビアス・クリーガー(Tobias Krieger)の論文一覧:心の天気予報をのぞいていたら、自分へのやさしさが意外と最強装備だった件
トビアス・クリーガー(Tobias Krieger)のプロフィール
トビアス・クリーガーさんは、ひとことで言うと、「心がしんどいとき、人はどうすれば少し楽になれるのか」を、研究と実践の両方から追いかけている心理学者です。現在はスイスのベルン大学で、臨床心理と心理療法の分野に関わりながら、主任クラスの心理職、研究者、講師、スーパーバイザーとして活動しています。肩書きだけ見ると少しかっこよすぎて近寄りがたいのですが、やっていることはかなり人間くさくて、孤独、不安、うつ、セルフコンパッション、オンライン心理支援など、まさに「いま困っている心」に手を伸ばすテーマが中心です。
経歴をたどると、チューリッヒ大学で心理学に取り組み、その後ベルン大学でも研究と臨床の経験を積んできたことが確認できます。つまり、机の上で理論だけをこねてきた人というより、現場の空気も知っていて、そのうえで「ちゃんと役に立つ研究」を続けてきたタイプです。研究テーマにもその雰囲気が出ていて、たとえばセルフコンパッション、自分へのやさしさ、社会不安、うつ、孤独へのオンライン支援など、「それ、今の時代にかなり必要では?」と言いたくなる領域にしっかり足を置いています。
しかもクリーガーさんは、ただ「心は大事です」と優しく言うだけではありません。スマホアプリやインターネットを使った支援にも関わっていて、「つらい人が助けを受けやすくなるにはどうしたらいいか」を、かなり現実的に考えている研究者でもあります。研究室の本棚だけで完結せず、ちゃんと日常の入口まで降りてきてくれる感じがあります。こういうタイプの研究者は、読んでいてどこか安心感があります。
さらにベルン大学の案内では、国際心理療法連盟の Mid-Career Research Award を受賞したことも紹介されています。これは、「その分野で着実に仕事を積み重ねてきた人なんだな」とわかる材料のひとつです。派手に前へ出るというより、静かに信頼を積み上げてきた研究者、という印象が似合います。

1.『セルフ・コンパッションと全体的自己肯定感は、日々のポジティブ感情・ネガティブ感情、そしてストレスへの揺れやすさとどう結びつくのか:スマートフォン調査から見えてきたこと』トビアス・クリーガー、ヘレナ・ヘルマン、ヨハネス・ツィンマーマン、マルティン・グロッセ・ホルトフォルト(2015)
Krieger et al. (2015),『Associations of self-compassion and global self-esteem with positive and negative affect and stress reactivity in daily life: Findings from a smart phone study』
「自分にやさしい人って、ほんまに日常でも強いの?」
そんな疑問に、スマホを使って14日間つきあった研究です。参加者の気分やストレスを毎日追いかけてみると、セルフコンパッションが高い人ほど、しんどい場面でも気分が崩れにくいことが見えてきました。しかも、その強さは“自尊心が高い”だけでは説明しきれない。自分を盛るより、自分にやさしくするほうが、案外毎日の心には効くらしい。読み終えるころには、あなたも少し自分への接し方を変えたくなる論文です。

