パトリック・C・L・ヘブン(Patrick C. L. Heaven)の論文一覧:心のクセを追いかけていたら、生き方の地図まで描きはじめた論文たち

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パトリック・C・L・ヘブン(Patrick C. L. Heaven)のプロフィール

パトリック・C・L・ヘブンさんって、ひとことで言うと、「若者の心を、根気よく見つめ続けてきた心理学者」です。性格、自己肯定感、希望、学校生活、心の健康などを研究していて、とくに思春期や青年期の発達に強い関心をもってきた人物として知られています。論文タイトルを見ていると、「この人、ただ性格を測って終わりじゃないな。人生の進み方まで気にしているな」と感じるタイプです。

経歴を見ると、オーストラリアのウーロンゴン大学で心理学のシニア・レクチャラーを務めていたことが確認できます。さらに、2007年の同大学の心理学スクール年次報告では、Professor and Head of School として掲載されています。つまり、「研究もする、教える、しかも組織も見る」という、なかなかの重責ポジションにいたわけです。静かな研究者に見えて、大学の中ではかなり働いていた気配があります。

また、のちの研究情報では、オーストラリア・カトリック大学で Dean of Research と記されている資料もあります。なので、キャリアの中では大学教員としてだけでなく、研究全体を引っぱる役割も担っていたことがうかがえます。研究者というより、研究チームの操縦席に座る時間も長かった人、と言ってよさそうです。

研究テーマはかなり幅広いのですが、とくに目立つのは「性格と学校成績」「自己肯定感と希望」「家族関係と非行や感情面」「宗教的価値観と若者の心の健康」などです。つまり、「この子はどんな性格か」だけではなく、「その性格が学校や人間関係や幸福感にどうつながるのか」まで追いかけているんですね。まるで、心の地図を描きながら、その先の進路標識まで立てようとしている感じです。

著書としては Adolescent Health: The Role of Individual Differences があり、紹介文ではウーロンゴン大学のシニア・レクチャラーとされています。ほかにも思春期や発達に関する本を出していて、「青年期」という、心が晴れたり曇ったり忙しい季節を、研究でじっくり扱ってきたことがわかります。つまりヘブンさんは、名前が Heaven だからといってふわっと天の上を見ていた人ではなく、むしろ地上の10代のリアルにかなり足をつけていた研究者です。

参考文献・確認先: ウーロンゴン大学:School of Psychology Research Report 2007 / Routledge:Adolescent Health: The Role of Individual Differences / ResearchGate:Patrick C. L. Heaven 研究プロフィール / PubMed:Patrick C. L. Heaven 関連論文 / Google Scholar:Patrick C. L. Heaven 論文・引用情報

阿部牧歌(管理人)
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パトリック・C・L・ヘブン(Patrick C. L. Heaven)の研究から学べること

パトリック・C・L・ヘブンさんの研究から学べることを、ざっくり言うなら、「人の性格や考え方は、ある日突然ポンッとできあがるのではなく、若いころから少しずつこねられていく粘土細工のようなものだ」ということです。しかも、その粘土には、家庭、学校、友人関係、価値観、知能、宗教観、性格、社会への見方など、いろいろな色の絵の具が混ざっています。ヘブンさんは、特に青年期、つまり子どもから大人へ向かう時期の心や行動を、社会心理学の立場から研究してきた人物です。著書にも『現代の青年期』や『青年期の社会心理学』にあたる本があり、青年期の自己、家族の影響、友人関係などを扱っています。

青年期というのは、心の中に小さな工事現場ができる時期です。「自分って何者なんだろう」「みんなにどう見られているんだろう」「勉強って何のため?」「親の言うことは正しいの?」「あの人に好かれたいけど、どうしたらいいの?」と、心の作業員たちが朝から晩までカンカン、トントン働いています。大人から見ると「なんでそんなことで悩むの?」と思うことでも、本人にとっては人生初の大事件。初めての人間関係、初めての劣等感、初めての反抗、初めての将来不安。もう心の中は、文化祭前日の体育館くらいごちゃごちゃしています。

ヘブンさんの研究の面白いところは、「若者の行動」をただ表面だけで見ないところです。たとえば、勉強に前向きな子、友だちに親切な子、少し攻撃的になりやすい子、権威に従いやすい子、人を上下で見やすい子。こうした違いを、「性格がいい・悪い」でバッサリ切るのではなく、その背景にある性格特性、考え方、環境、価値観を見ようとします。つまり、「その人の行動」という氷山の一角だけでなく、水面下にある大きな心のかたまりを見ようとするわけです。心理学の探検隊、虫めがね装備です。

たとえばヘブンさんたちの研究には、青年期の認知能力、権威主義的な考え方、社会的な支配志向を5年間追跡したものがあります。中学相当の時期から高校卒業前までを調べ、言語能力や数的能力、性格、宗教的価値観なども考慮しながら、社会や人間関係をどう見やすいかを検討しています。 ここから学べるのは、「人の考え方は、その場の気分だけで決まるものではない」ということです。もちろん、人は変われます。でも、考え方には“育ってきた道すじ”がある。だからこそ、誰かの意見が自分と違うときに、すぐに「なんでそんなこと言うの!」と火山を噴火させるより、「この人は、どんな経験や見方からそう考えているのかな」と一歩引いて見ることが大切になります。

また、ヘブンさんの研究領域では、共感や思いやり、自己へのとらわれすぎない心のあり方が、若者の親切な行動とどう関係するかも扱われています。ある研究では、15歳の若者を対象に、共感や「自分にしがみつきすぎない柔らかさ」が、友人から見た親切さや助け合いと関係するかが調べられています。 ここがまた、じんわり大事です。人にやさしくする力は、単に「道徳の教科書を読みました!」だけで育つものではありません。相手の気持ちを想像する力、自分のプライドにガチガチに縛られない力、心の中に少し余白を持つ力。そういうものが合わさって、親切という小さな灯りになるのです。

これは支援や教育、職場の人間関係にも使えます。たとえば、誰かがミスをしたとき、「なんでできないの?」と責めるのは簡単です。でも、それは壊れかけの自転車に「走れ!」と怒鳴るようなものです。必要なのは、タイヤの空気を見ること、チェーンが外れていないか見ること、本人がどこで困っているかを見ることです。ヘブンさんの研究から学べるのは、人の行動を理解するときには、「その瞬間の結果」だけでなく、「その人の性格、考え方、環境、これまでの積み重ね」を見ることの大切さです。

そしてもうひとつ大事なのは、「若い時期の経験は、その後の人生にじわじわ効いてくる」ということです。青年期は、人生の試作品をいろいろ作る時期です。友だちとの関係で失敗する。親とぶつかる。勉強で自信をなくす。誰かに認められて、急に背筋が伸びる。そういう一つひとつが、未来の自分を作る材料になります。まるで、見えないところで味がしみていく煮物です。急には変わらないけれど、確実に変わっていく。だからこそ、青年期の支援では「今すぐ完璧にしよう」としすぎないことが大切です。

パトリック・C・L・ヘブンさんの研究は、私たちにこう教えてくれます。人を理解するとは、目の前の言動だけを切り取って採点することではありません。その人がどんな価値観を持ち、どんな環境で育ち、どんな不安や希望を抱えているのかを、少し長い物語として見ることです。人間は、テストの答案用紙ではなく、途中まで書かれた長編小説です。誤字もあるし、脱線もあるし、なぜか急に登場人物が増える章もあります。でも、その物語には必ず背景があります。

だから、ヘブンさんの研究から日常に持ち帰れる知恵は、「人をすぐに決めつけないこと」です。若者にも、大人にも、自分自身にもです。「この人はこういう人だ」とラベルを貼るのは、心の引き出し整理としては楽ですが、人間はそんなに薄い紙ではありません。性格も、価値観も、行動も、時間の中で揺れながら育っていきます。人は、変わりにくい部分を持ちながら、それでも変わる余地を持っている。ヘブンさんの研究は、そのややこしくて愛おしい人間らしさを、静かに照らしてくれる研究だと言えます。

阿部牧歌(管理人)
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パトリック・C・L・ヘブン(Patrick C. L. Heaven)の論文一覧

1.『自分にやさしくできる人は、低い自己評価に飲み込まれにくい-青年期を追跡した大規模研究』サラ・L・マーシャル、フィリップ・D・パーカー、ジョセフ・チアロッキ、バルジンダー・サドラ、クリス・J・ジャクソン、パトリック・C・L・ヘブン(2015)

Marshall, S. L., Parker, P. D., Ciarrochi, J., Sahdra, B., Jackson, C. J., & Heaven, P. C. L.(2015). Self-compassion protects against the negative effects of low self-esteem: A longitudinal study in a large adolescent samplePersonality and Individual Differences, 74, 116-121. DOI:10.1016/j.paid.2014.09.013

自己肯定感が低いと、心まで一緒にしぼんでしまいそう。そんな場面でこの論文が言うのは、「ちょっと待って、自分にやさしくできる人は、そんなに簡単には崩れませんよ」という話です。オーストラリアの青年2,448人を追った縦断研究で、セルフ・コンパッションが低い自己肯定感のダメージをやわらげる可能性が示されました。読むと、自分を励ます力の正体が少し見えてきます。

阿部牧歌(管理人)
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この論文の要約を読む
【論文要約】低い自尊心はなぜ心を苦しくするのか? その悪影響をやわらげる“自己へのやさしさ”の研究
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