クリスティン・ネフ(Kristin D. Neff)の論文一覧:自分責めが通常運転の人に、ちょっと待ったをかける論文たち

クリスティン・ネフ(Kristin D. Neff)の論文を読む女性
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クリスティン・ネフ(Kristin D. Neff)のプロフィール

クリスティン・ネフさんは、ひとことで言うと、「自分にやさしくすること」を、ふわっとした励ましではなく、きちんと研究にした人です。現在はテキサス大学オースティン校で教育心理学の准教授を務めていて、セルフ・コンパッション研究の第一人者として知られています。本人の公式プロフィールでは、20年以上前にセルフ・コンパッションの理論を組み立て、測定尺度まで作ったと紹介されています。つまり、「自分を責めすぎるとしんどいよね」で終わらず、「では、それをどう定義し、どう測るか」までやった人です。研究者の執念、なかなかのものです。

学歴の流れを見ると、UCLAでコミュニケーション学を学び、その後カリフォルニア大学バークレー校で道徳発達の博士号を取得しています。さらにデンバー大学で自己概念の発達についてポスドク研究を行い、その後UT Austinで教えるようになりました。大学院の終わりごろに仏教に関心を持ち、自分でもセルフ・コンパッションを実践し始めたことが、のちの研究テーマにつながったそうです。研究の種って、案外こういう「自分の人生で引っかかったこと」から芽を出すんですね。

そしてネフさんのすごいところは、「やさしさ」をただの甘やかしにしなかったところです。セルフ・コンパッションを、自分への思いやり、つながりの感覚、そしてマインドフルな受けとめ方として整理し、多くの論文や書籍で広めてきました。公式サイトでは、世界でもっとも影響力のある心理学研究者の一人として紹介され、クリス・ガーマーとともにMindful Self-Compassionのトレーニングプログラムや関連組織の立ち上げにも関わっています。つまり、「落ち込んだ自分に毛布をかける方法」を、学問にも実践にもした人、という感じです。

なので、クリスティン・ネフさんのプロフィールをひとことでまとめるなら、“自分へのやさしさ”を、気休めではなく学問に変えた研究者です。気合いと根性だけでは心がもたないときに、「いや、そこはまず自分に少し親切でいてください」と、データ付きで静かに言ってくれる人ですね。

阿部牧歌(管理人)
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1.『セルフ・コンパッション:自分を大切にする健全なあり方の新しい捉え方』クリスティン・ネフ(2003)

Neff (2003), Self-Compassion: An Alternative Conceptualization of a Healthy Attitude Toward Oneself

「失敗した。もうだめだ」と心の中で反省会が始まったとき、この論文はそっと言います。
「その叱り方、ほんとに必要ですか?」と。
Neffは、自分にやさしくすることを“甘え”ではなく、心を立て直す力として描きます。鍵は、自分への思いやり、みんな同じく不完全だという感覚、そして感情に飲まれすぎない視点。自己肯定感とは少し違う、静かで強いやさしさの正体を知りたい人に、かなり刺さる一本です。

阿部牧歌(管理人)
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この論文の要約を読む
【心理学論文】なぜ人は自分にだけ厳しくしてしまうのか? 研究が示したセルフ・コンパッションの3つのポイント
【心理学論文】なぜ人は自分にだけ厳しくしてしまうのか? 研究が示したセルフ・コンパッションの3つのポイント

2.『自分へのやさしさを測る尺度はどう作られたのか その開発と検証』クリスティン・D・ネフ(2003)

Neff (2003), The Development and Validation of a Scale to Measure Self-Compassion

「自分にやさしくしましょう」と言われるたびに、こちらは心の中で「それができたら苦労しません」と小さくつぶやきたくなりますよね。この論文は、そんな“自分へのやさしさ”を、ふわっとした理想論で終わらせず、ちゃんと測れる尺度にしてみた研究です。しかも面白いのは、セルフ・コンパッションが、ただ自分を甘やかすことでも、自己肯定感とまったく同じでもなかったこと。しんどいときの自分にどう接するかを、心理学がまじめな顔でのぞきこんだ一篇です。読むと、自分との付き合い方が少し変わるかもしれません。

阿部牧歌(管理人)
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この論文の要約を読む
【心理学論文】なぜ人は自分にやさしくできないのか? 研究が示したセルフ・コンパッション尺度のポイント
【心理学論文】なぜ人は自分にやさしくできないのか? 研究が示したセルフ・コンパッション尺度のポイント
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