アレカ・M・マクレラン(Aleka M. MacLellan)の論文一覧:心の話を読んでいたら、「その気まずさ名前あったんだ」となる論文たち
アレカ・M・マクレラン(Aleka M. MacLellan)のプロフィール
アレカ・M・マクレランさんは、ざっくり言うと「職場のリーダーって、どうすれば人のやる気に火をつけられるの?」を研究してきた、カナダの組織心理学者です。
現在は、カナダ・ハリファックスを拠点に、ghSMARTという組織で「プリンシパル」として活動しています。ここでいうプリンシパルは、学校の校長先生ではなく、企業の経営層や取締役会、投資家などに助言する立場です。いわば、会社の上のほうで「さて、この組織をどう強くするか」と腕組みしている人たちに、心理学の懐中電灯を持って道案内するようなお仕事ですね。ghSMARTのプロフィールでは、リーダーシップ評価、コーチング、後継者育成、経営チームや取締役会の効果を高める支援を専門にしていると紹介されています。
研究者としての出発点を見ると、マクレランさんはマウント・アリソン大学で心理学を学び、その後、セント・メアリーズ大学で産業・組織心理学を専門に研究していたことが確認できます。ResearchGateでは、セント・メアリーズ大学心理学部門に所属していた研究者として掲載され、産業・組織心理学を学んだ経歴も示されています。
産業・組織心理学というと少し難しく聞こえますが、要するに「職場の人間ドラマを、根性論ではなく研究で考える学問」です。上司の言葉ひとつで部下のやる気がしぼむこともあれば、逆に小さな声かけで職場全体が少し明るくなることもあります。マクレランさんは、そういう“職場の空気の温度計”を心理学で作ろうとしてきた人、と言えそうです。
特に注目されるのは、リーダーが部下のやる気にどう影響するのかを扱った博士論文です。セント・メアリーズ大学の発表によると、マクレランさんは「職場で部下を動機づけるうえで、リーダーが果たす役割」に関する博士研究で、2017年に国際的な学生研究賞を受賞しています。つまり、「よいリーダーとは、ただ指示を出す人ではなく、人の内側にあるエンジンをどうあたためるかを知っている人では?」というテーマに、かなり本気で取り組んでいたわけです。
一方で、初期の研究には「セルフ・コンパッション」と「女性の身体イメージ」に関する論文もあります。これは、自分に対してやさしく接する心の態度が、自分の身体への見方とどう関係するかを調べた研究です。PubMedやScienceDirectでは、ルイーズ・ワシルキウ、アンナ・L・マッキノンとともに、アレカ・M・マクレランさんの名前が共著者として掲載されています。
このあたりが面白いところで、マクレランさんは「職場のリーダーシップ」だけでなく、「自分をどう見るか」「心の健康が行動や働き方にどう関わるか」といったテーマにも接点があります。つまり、研究の根っこにはずっと「人はどんな環境で力を発揮できるのか」という問いが流れているように見えます。職場でも、自分の身体との関係でも、人はただ命令されたり責められたりして元気になるわけではありません。ちゃんと安心できる土があって、そこに水が届いて、ようやく芽が出る。マクレランさんの研究は、その“人が育つ土壌”を見ている感じがあります。
また、プロジェクトチームにおける多文化の違いやコミュニケーションについての章にも参加しています。オックスフォード大学出版局の書籍では、プロジェクトの場面における多文化的な多様性とコミュニケーションを扱う章の共著者として、アレカ・M・マクレランさんの名前が確認できます。
参考文献・確認先: ghSMART:Aleka MacLellan プロフィール / Saint Mary’s University:博士論文・受賞情報 / ResearchGate:Aleka M. MacLellan 研究情報 / PubMed:Aleka M. MacLellan 関連論文 / Google Scholar:Aleka M. MacLellan 論文・引用情報

アレカ・M・マクレラン(Aleka M. MacLellan)の研究から学べること
アレカ・M・マクレランさんの研究から学べることは、ひとことで言うと、「職場のやる気は、本人の心の中だけで勝手に生えてくる雑草ではなく、リーダーや周囲の空気によって育ったり、しおれたりする」ということです。
まず、マクレランさんは産業・組織心理学、つまり「職場で人はどう働き、どうやる気を出し、どうリーダーシップが影響するのか」を研究してきた方です。セントメアリーズ大学で博士号を取得し、博士論文では「職場で部下のやる気を引き出すリーダーの役割」を扱い、その研究で2017年にリーダーシップ研究の賞を受けています。
ここで面白いのは、マクレランさんの研究が、単純に「よいリーダーは部下をやる気にさせます!」という、朝礼のスローガンみたいな話で終わらないところです。彼女の博士論文では、いわゆる変革型リーダーシップの効果と思われていたものの一部が、実は「やる気の感染」のような現象かもしれないと示されています。つまり、リーダー自身のやる気や仕事への向き合い方が、じわじわ周囲にうつっていく可能性がある、ということです。
これ、職場あるあるとして考えると、かなり腑に落ちます。
たとえば、上司が毎朝「はあ、また仕事か……」という顔で登場したら、職場の空気は一気に湿ったタオルになります。まだ何も始まっていないのに、空気だけ先に残業している感じです。反対に、上司が無理に元気ハツラツでなくても、「この仕事には意味があるよね」「一緒に考えよう」「ここは工夫できそうだね」という姿勢でいると、周囲の人も少し動きやすくなります。やる気は、命令されて湧くというより、空気からじわっと染み込むことがあるのです。
もちろん、これは「リーダーはいつも明るく元気でいなければならない」という話ではありません。そんなことを言い出したら、リーダーの心が先に段ボール箱に詰められて出荷されてしまいます。大切なのは、無理やり笑顔を貼りつけることではなく、自分自身が何に納得して働いているのか、どんな姿勢で周囲と向き合っているのかです。やる気は、口先の「頑張ろう!」だけではなく、日々の態度、判断、声かけ、仕事の任せ方からにじみ出ます。
マクレランさんの研究から学べる一つ目のポイントは、「リーダーの状態は、周囲に思った以上に伝わる」ということです。
これは少し怖いけれど、同時に希望でもあります。職場では、上に立つ人の感情や姿勢が、見えない香りのように広がります。イライラしている人がいると、周囲まで肩に力が入ります。逆に、落ち着いて話を聞く人がいると、場の緊張がほどけます。リーダーとは、単に指示を出す人ではなく、職場の温度を少し変える人でもあるのです。
二つ目のポイントは、「人のやる気は、個人の根性だけでは説明できない」ということです。
よく「最近の若い人はやる気がない」とか、「あの人は主体性がない」といった言い方を聞きます。でも、マクレランさんの研究を踏まえると、そこで話を終わらせるのは早すぎます。やる気が出ない背景には、仕事の意味が見えていない、任され方が合っていない、支援が足りない、リーダー自身が疲れきっている、という要素があるかもしれません。やる気は、個人のポケットの中に最初から入っている小銭ではなく、職場の関係性の中で増えたり減ったりするものなのです。
三つ目のポイントは、「リーダーシップとは、人を動かす技術である前に、自分のあり方を整えることでもある」ということです。
リーダーというと、強い言葉で引っ張る人、かっこよく決断する人、会議でビシッと締める人を想像しがちです。もちろん、それも場面によっては大事です。でも、マクレランさんの研究が教えてくれるのは、リーダー自身の動機づけ、つまり「自分はなぜこの仕事をしているのか」「何を大切にしているのか」が、周囲に影響するということです。リーダーが自分の仕事をただの作業として扱っていると、部下も仕事をただの作業として見やすくなります。反対に、リーダーが仕事の意味を見つけようとしていると、その姿勢が周囲にも伝わることがあります。
これは、支援の現場やチーム運営にもかなり使えます。
たとえば、利用者さんに作業をお願いするときも、「これをやってください」とだけ言うのと、「この作業はこういう形で役に立っています」と伝えるのでは、受け止め方が変わります。職員同士でも、「早く終わらせて」だけでは、心は乾いた雑巾になります。でも、「ここを一緒に整えると、次の人がかなり助かるんです」と言われると、仕事に少し意味が灯ります。人は、ただ動かされるより、「自分の行動に意味がある」と感じたときに力を出しやすいのです。
そして、マクレランさんは、リーダーシップや組織心理学の知見を実務にもつなげている方です。大学紹介では、産業・組織心理学を学び、リーダーシップや人材開発の分野に進んだことが紹介されています。 つまり、研究室の中だけで「やる気とは何か」を考えるのではなく、実際の職場で人がどう育ち、どう働き、どう支え合うかに関心を向けている研究者と言えます。
ここから私たちが日常に持ち帰れる知恵は、「人をやる気にさせたいなら、まずその人の周りにある空気を見よう」ということです。
やる気がない人を見たとき、すぐに「本人の問題」と決めつけない。仕事の意味は伝わっているか。任せ方はちょうどよいか。相談できる人はいるか。リーダー自身が不安や疲れをまき散らしていないか。評価や感謝はあるか。そうした環境を見ることが大切です。やる気という花に向かって「咲け!」と怒鳴っても、花は困ります。必要なのは、光、水、土、そして踏み荒らされない場所です。
アレカ・M・マクレランさんの研究から学べることをまとめるなら、「職場のやる気は感染する。だからこそ、リーダーの姿勢と職場の空気づくりが大切」ということです。
やる気は、命令で生まれるものではありません。説教で増えるものでもありません。むしろ、意味のある仕事、信頼できる関係、ほどよい裁量、前向きな姿勢の中で、じわじわ育つものです。リーダーが全部を背負う必要はありません。でも、リーダーの言葉や態度が、周囲の人の心の天気に影響することは確かです。
だから、職場で誰かのやる気が見えないとき、こう考えてみたいところです。
「この人の心のエンジンが壊れているのかな?」ではなく、「この職場には、エンジンが温まる空気があるかな?」と。
マクレランさんの研究は、リーダーシップを派手な演説やカリスマの魔法ではなく、日々の関わりの中で生まれる“やる気の温度管理”として見せてくれます。職場は、人がただ働く場所ではなく、気持ちがうつり、意味が伝わり、元気が育ったりしぼんだりする場所です。そこに気づけるだけで、チームづくりはずいぶん人間らしくなるのだと思います。

アレカ・M・マクレラン(Aleka M. MacLellan)の論文一覧
1.『大学生女性におけるセルフ・コンパッションとボディイメージのつながりを探る』ルイーズ・ワシルキウ、アナ・L・マッキノン、アレカ・M・マクレラン(2012)
Wasylkiw, L., MacKinnon, A. L., & MacLellan, A. M.(2012). Exploring the link between self-compassion and body image in university women. Body Image, 9(2), 236-245. DOI: 10.1016/j.bodyim.2012.01.007
「鏡を見るたびに減点方式、つらいなあ…」という空気に、この論文はそっと割って入ってきます。テーマは、大学生女性のボディイメージとセルフ・コンパッションの関係。結果はなかなか興味深くて、自己肯定感とは別に、自分にやさしくできる人ほど体への悩みが少ない傾向が見えてきます。しかも、食べ方の罪悪感や気分の落ち込みとのつながりまでのぞいてくる。心と見た目のややこしい関係を、「やさしさ」という鍵で開けにいく一本です。読んでみると、鏡の前の気持ちが少し変わるかもしれません。

