クリスティン・L・カークパトリック(Kristin L. Kirkpatrick)の論文一覧:自分にやさしくする研究を読んでいたら、心のこわばりまで少しほどけてきそうな論文たち
クリスティン・L・カークパトリック(Kristin L. Kirkpatrick)のプロフィール
クリスティン・L・カークパトリックさんは、ひとことで言うと、「自分にきびしすぎる心に、研究という名の座布団をそっと差し出した人」です。心理学の世界では、とくにセルフ・コンパッション、つまり「失敗した自分を責め倒すのではなく、苦しんでいる自分にやさしく向き合う力」に関わる研究で名前が見られます。
代表的に知られているのは、クリスティン・D・ネフさん、ステファニー・S・ルードさんとともに発表した、セルフ・コンパッションと心理的な健康の関係を調べた研究です。この論文では、セルフ・コンパッションが幸福感、楽観性、前向きな感情、知恵、好奇心などと関係し、反対に否定的な感情や神経質傾向とは低い関係を示すことが報告されています。つまり、「自分にやさしい人は、ただ甘えているのではなく、心の足場が意外としっかりしているかもしれないぞ」という話です。心の体育館に、ふかふかマットを敷くような研究ですね。
公開情報では、カークパトリックさんはイースタン・ケンタッキー大学に所属していた研究者として記載されています。また、テキサス大学オースティン校で博士論文をまとめており、その題名は「ゲシュタルト療法の二つの椅子を使った方法で、セルフ・コンパッションを高める」という内容です。ここでいう「二つの椅子」とは、ざっくり言えば、自分の中の責める声と、傷ついている声を別々に座らせて対話させるような心理療法の方法です。心の中で会議が始まるわけです。「お前はダメだ」と言う議長と、「いや、ちょっと待って、私もつらかったんです」と言う書記が、ようやく同じ部屋で話し合う感じです。
カークパトリックさんの研究の面白いところは、「自信を持ちましょう!」という元気印の旗を振るだけではないところです。むしろ、「自信が持てない日にも、人は自分とどう付き合えるのか」という、もっと現実に近い問いを扱っています。自己肯定感という言葉は、ときどき“心の筋肉ムキムキ大会”みたいに語られますが、セルフ・コンパッションは少し違います。強くなるというより、折れそうなときに自分を乱暴に扱わない力です。
彼女が関わった2007年の研究は、その後のセルフ・コンパッション研究でもよく引用されており、Semantic Scholarでは同論文が『Journal of Research in Personality』に掲載されたこと、著者にカークパトリックさんが含まれることが確認できます。
ただし、注意点もあります。カークパトリックさんについては、大学の現役公式プロフィールのような詳しい経歴情報は多く見つかりません。わかる範囲では、セルフ・コンパッション研究の初期に重要な役割を果たした研究者であり、特に「自分を責める心を、どうやってやわらげるか」というテーマに取り組んだ人物、と紹介するのが安全です。
まとめると、クリスティン・L・カークパトリックさんは、心理学の表舞台で大々的に名前が知られているタイプというより、セルフ・コンパッション研究の土台づくりに関わった“静かな職人”のような研究者です。派手な花火というより、暗い部屋でそっと点く読書灯。自分にやさしくすることは、弱さではなく、回復するための知恵なのだと教えてくれる研究者のひとりです。
参考文献・確認先: テキサス大学リポジトリ:Kristin L. Kirkpatrick 博士論文 / ScienceDirect:Self-compassion and adaptive psychological functioning / Google Scholar:Kristin L. Kirkpatrick 論文・引用情報 / PubMed:Kristin L. Kirkpatrick 関連論文

1.『セルフ・コンパッションが支える、しなやかな心のはたらき』クリスティン・D・ネフ、クリスティン・L・カークパトリック、ステファニー・S・ルード(2007)
Neff, K. D., Kirkpatrick, K. L., & Rude, S. S.(2007). Self-compassion and adaptive psychological functioning. Journal of Research in Personality, 41(1), 139-154. DOI:10.1016/j.jrp.2006.03.004
「失敗した。やばい。自分、終わったかも……」となったとき、心の中で鬼教官が出てくる人に、この論文はそっと言います。
「いや、そこで必要なの、追い打ちじゃなくて手当てでは?」と。
この研究は、自分にやさしくできる人ほど、不安や落ち込みに飲まれにくく、ものごとを健やかに受け止めやすいことを示した一本です。読むと、自分への接し方を少し変えたくなります。

