タイラー・W・ワッツ(Tyler W. Watts)の論文一覧:「幼児教育って、大人まで効くんですか?」10年後まで追いかける教育心理学者
タイラー・W・ワッツ(Tyler W. Watts)のプロフィール
タイラー・W・ワッツ(Tyler W. Watts)は、子どもの発達や教育について研究しているアメリカの心理学・教育学の研究者です。
現在は、アメリカのコロンビア大学ティーチャーズ・カレッジで、心理学・教育学の准教授を務めています。専門は発達心理学で、とくに力を入れているのが、**「子どものころに受けた教育や支援は、その後の人生にどこまで影響するのか?」**という、とても息の長いテーマです。
これだけ聞くと、
「幼児教育が大切なのは、まあ分かりますよ」
と思うかもしれません。
ところがワッツは、そこで研究ノートを閉じません。
「いやいや。幼稚園で効果があったとして、それ、小学生になっても残ってます?」
「中学生では?」
「高校生になったら?」
と、教育効果の後ろをずーっと追いかけていく。
研究という名の長距離走です。
「効果がありました!」の、その先を見に行く人
教育研究では、ある新しい授業や支援を行って、
「子どもの成績が上がりました」
「自己コントロール能力が高まりました」
という結果が出れば、それだけでも十分に価値があります。
でもワッツが気になるのは、そこから先です。
たとえば幼児期に算数を教えて、その直後のテストの点数が上がったとします。
普通なら、
「よし、成功!」
と拍手したくなるところでしょう。
ところがワッツ研究室から、静かな声が聞こえてきます。
「……で、数年後は?」
なかなか帰らせてくれません。
ワッツは、教育によって生まれた変化が時間とともに残るのか、それとも少しずつ薄れていくのか、さらに、その変化が別の能力や人生の結果につながっていくのかを研究しています。とくに、子どもの認知能力だけでなく、感情や行動を調整する力なども含めて、発達を長期的に見ているのが特徴です。
つまり彼が見ているのは、
「教育した直後の子ども」ではなく、「その教育を受けた子どもが、その後どう育っていくのか」
なのです。
大学では心理学だけでなく「宗教」も学んでいた
ワッツの経歴を見ていて面白いのが、大学時代の専攻です。
テキサス大学オースティン校では、心理学と宗教学を二重専攻していました。その後、カリフォルニア大学アーバイン校で教育学の修士号と博士号を取得。さらにニューヨーク大学で博士研究員として研究を続けました。
心理学と宗教学。
なかなか味わい深い組み合わせです。
片方では、
「人間はなぜ、こんなふうに考えるのだろう?」
を調べ、
もう片方では、
「人間はなぜ、こんな意味を求めるのだろう?」
を考える。
そこから教育研究へ進んでいったと考えると、人間という生き物をかなり広い角度から眺めてきた研究者なのだな、と感じます。
もちろん現在の研究は、きちんとデータを使った教育・発達研究です。
しかし彼の研究テーマにはどこか、
「人間は、どんな経験によって、その後の人生を形づくっていくのだろう?」
という大きな問いが流れているようにも見えます。
「幼児教育は人生を変える」は、本当なのか?
ワッツの研究を理解するうえで重要なのが、幼児教育への少し慎重な姿勢です。
幼児教育については、
「幼いころに良い教育を受ければ、その後の人生にも大きな効果がある」
という話を耳にすることがあります。
これは希望のある話です。
しかし研究者としては、
「なるほど。それでは、本当にそうなのか調べてみましょう」
となります。
ここが科学の少し面倒で、でも大切なところです。
いい話だから採用。
感動したから採用。
テレビで専門家が言っていたから採用。
とはいきません。
ワッツは、早期教育によって生まれた学力や社会性などの変化が、実際に長期的な発達につながっていくのかを、長期間のデータから検討しています。現在の研究でも、教育への介入が人間の発達の道筋そのものを長く変えられるのかを、大きなテーマとして掲げています。
言ってみれば、
「教育の効果には、賞味期限があるのか?」
を調べているようなものです。
冷蔵庫を開けて、
「幼児教育……まだ効いてる?」
と確認しているわけですね。
もちろん実際の研究は、そんな牧歌的なものではありません。
何年にもわたる追跡調査や、大規模なデータ分析が必要になります。
でも、その地道さこそがワッツ研究の面白いところです。
「能力が上がった」だけでは終わらない
ワッツの研究では、自己調整能力も重要なテーマになっています。
自己調整とは、ものすごく簡単に言えば、
「やりたいことを少し我慢する」
「気持ちを切り替える」
「集中する」
「計画を立てて行動する」
といった、自分自身をうまく運転する力です。
こうした能力は、子どもの将来を予測する重要な力として注目されてきました。
すると、こんな発想が出てきます。
「じゃあ、幼いうちに自己調整能力を鍛えれば、人生もうまくいくのでは?」
話としては、とてもきれいです。
ところがワッツは、その「きれいすぎる物語」にもデータを持って近づいていきます。
自己調整能力と将来の結果に関連があったとしても、
「自己調整能力を伸ばせば、そのまま将来が良くなる」
とは限らないからです。
ここには、家庭環境、学校環境、周囲の友人、経済状況、その後に受ける教育など、たくさんの要素が入り込んできます。
人生というものは、心理学者が一本の矢印を書いただけで説明できるほど素直ではありません。
むしろ矢印を一本書いた瞬間、
「すみません、こちらからも矢印が来ています」
「こっちにもあります」
「後ろから三本追加です」
となる。
人生、だいたい配線が多いのです。
ワッツの研究の魅力は、この複雑さをなるべく単純化しすぎずに見ようとしているところにあります。
教育を否定する研究ではなく、「本当に効く教育」を探す研究
ここで誤解したくないのは、ワッツが、
「幼児教育なんて意味ありませんよ」
と言っているわけではないことです。
むしろ反対です。
教育に本当に長期的な力があるのなら、
「何が効いたのか」「なぜ効いたのか」「どんな条件なら効果が残るのか」
をもっと正確に知りたい。
そのために、短期的な成功だけで満足せず、数年後まで見届けようとしているのです。
ワッツは、経済的に不利な環境に置かれた子どもたちを支える教育政策や教育プログラムについても研究してきました。研究資金は、アメリカの教育科学研究所や国立小児保健・人間発達研究所などから支援されており、教育政策と発達心理学をつなぐ研究を続けています。
だから彼の研究を読んでいると、
「もっと早く教育しよう」
という単純な話ではなく、
「子どもの人生を長く支えるには、どんな環境をつくればいいのだろう?」
という問いに行き着きます。
人生は、一回の介入で完成するほど単純ではない
タイラー・W・ワッツの研究を眺めていると、個人的にとても大切な視点が浮かんできます。
それは、
人間は、一度の経験だけで完成するわけではない
ということです。
幼児期は大切です。
教育も大切です。
家庭環境も大切でしょう。
でも人生は、幼稚園のころに押された一個のボタンで、その後すべてが決まる機械ではありません。
小学校で新しい先生に出会うかもしれない。
中学校で友達ができるかもしれない。
高校で得意なものが見つかるかもしれない。
20歳で人生観がひっくり返るかもしれない。
40歳で、
「今からでもやってみようかな」
と思うかもしれない。
人間の発達は、一本の線ではなく、途中にいくつもの分岐点がある長い道です。
ワッツは、その道をデータで追いかけています。
教育によって最初の一歩を少し前に進めることができたとして、その一歩がどこまで続くのか。
途中で差が縮まるなら、なぜ縮まるのか。
逆に、小さな変化が何年もかけて大きな違いに育つことはあるのか。
そんな問いを、一つひとつ調べている研究者です。
派手に、
「この方法で人生が変わります!」
とは言わない。
むしろ、
「本当に変わったのか、もう少し長く見てみましょう」
と言う。
その慎重さこそ、タイラー・W・ワッツという研究者の面白さなのだと思います。
教育の効果を信じたいからこそ、簡単には信じない。
希望を否定するためではなく、どんな希望なら本当に長く人を支えられるのかを確かめる。
タイラー・W・ワッツは、そんな「教育のその後」を追いかけ続けている研究者です。
参考文献・確認先:コロンビア大学ティーチャーズ・カレッジ:Tyler W. Watts 公式プロフィール / Tyler W. Watts 公式サイト / Google Scholar:Tyler W. Watts 論文・引用情報 / PubMed:Tyler W. Watts 関連論文

タイラー・W・ワッツ(Tyler W. Watts)の研究から学べること
タイラー・W・ワッツの研究を読んでいると、だんだん一つのことに気づきます。
この人、「そんな簡単に人生を決めないでください」係なのではないか、と。
「幼児期の教育が人生を決める!」
「我慢できる子は将来成功する!」
「この能力さえ伸ばせば大丈夫!」
世の中には、こういう分かりやすい話がたくさんあります。
分かりやすいので、私たちもつい、
「なるほど。じゃあ、その能力を鍛えよう!」
となります。
ところがワッツは、その横から静かにやってきて、
「ちょっと待ってください。その子の家庭環境とか、その後の学校生活とか、ほかの能力とかも関係していませんか?」
と資料を一冊置いていく。
そして一冊では終わりません。
もう一冊置く。
また置く。
気づけば机が研究論文で埋まっています。
でも、その慎重さから学べることは、私たちの日常にもかなり多いのです。
「ひとつの能力」で人生は決まらない
ワッツの名前を広く知らしめた研究の一つが、有名な「マシュマロ実験」の再検討です。
子どもの前にお菓子を置いて、
「今食べてもいいけれど、少し待てたら、もう一つもらえるよ」
とする実験ですね。
もともとの研究からは、幼いころに欲しいものを我慢できた子どもほど、後の学業成績などが良かったという結果が報告されました。
ここから世間では、
「幼いころに我慢できる子は、人生で成功する」
という、ものすごく覚えやすい物語が広がっていきました。
マシュマロ一個に人生の未来予知機能が搭載されたような扱いです。
しかし、ワッツたちは2018年にこの関係を改めて検討しました。
すると、たしかに幼いころの「待てる力」と後の学力には関係が見られましたが、家庭環境や幼少期の認知能力などを考慮すると、その関係はかなり小さくなりました。つまり、
「マシュマロを我慢できたから成功した」
と単純には言えなかったのです。
ここ、ものすごく大事だと思うのです。
私たちは人を見るとき、
「この人は意志が弱い」
「集中力がない」
「昔から勉強が苦手だった」
など、一つの特徴でその人の未来まで説明したくなることがあります。
でも人生は、そんな一教科だけのテストではありません。
家庭があります。
学校があります。
友人があります。
先生との出会いがあります。
経済状況があります。
本人の性格もあります。
運もあります。
そして、ときどき訳の分からない偶然まで乱入してきます。
人生、登場人物が多いのです。
だからワッツの研究からまず学べるのは、
「一つの特徴を、その人の運命にまで昇格させなくていい」
ということだと思います。
「関係がある」と「原因である」は別の話
もう一つ、大切なのがこれです。
たとえば、
「自己調整が得意な子どもほど、将来の成績がいい」
という結果があったとします。
すると私たちは、
「よし。自己調整能力を鍛えれば成績が上がるぞ」
と思います。
ところが、研究の世界ではここに大きな穴があります。
「関係があること」と、「それが原因であること」は違う。
たとえば、傘を持っている人が多い日は、道路が濡れているでしょう。
だからといって、
「傘が道路を濡らしている!」
とはなりません。
犯人は雨です。
人間の発達でも同じことが起こります。
自己調整能力の高い子どもが良い結果を残していたとしても、そこには家庭環境、教育環境、認知能力など、さまざまな要因が関係している可能性があります。
だから、
「成功した人には○○という特徴があった」
という話を聞いたとき、
「では○○を身につければ、自分も同じように成功できる」
と一直線につなげるのは少し危ない。
成功者が毎朝バナナを食べていたとしても、
「よし、明日からバナナ三本だ」
ではないのです。
ワッツの研究には、この**“矢印を急いで一本にしない姿勢”**があります。
これは心理学を読むときだけでなく、自己啓発本や教育情報、ネットの記事を見るときにも、とても役立つ視点だと思います。
子どもに必要なのは「一回の魔法」ではない
ワッツは、幼児期に行われた教育的な支援が、その後どこまで効果を残すのかについても研究しています。
ここには少し意外な問題があります。
幼児教育によって、学力や自己調整能力などが一時的に高まったとしても、その差が何年もそのまま残るとは限りません。
最初は、
「おおっ、効果が出た!」
となったのに、
数年後に測ってみると、
「あれ……差が小さくなっていますね」
となることがあります。
教育研究では、こうした現象が大きなテーマになっています。
ワッツ自身も、幼児期の教育的介入について、効果が長く残る場合と薄れていく場合を研究してきました。また、幼児期の支援を受けた子どもたちを高校年代まで追跡した研究も行っています。
ここから見えてくるのは、
人を支えるというのは、一度何かを与えれば終了する仕事ではない
ということです。
これは教育だけではありません。
就職支援でも、
子育てでも、
人材育成でも、
自分自身の成長でも同じでしょう。
一回いい研修を受けた。
一冊いい本を読んだ。
一度ものすごく感動した。
「よし。今日から人生を変えるぞ!」
翌朝。
「眠い。」
人間です。
感動の賞味期限は意外と短い。
だから、本当に人を変えていくものは、
人生を一撃で変える「ものすごい一回」より、
小さな支援や経験が、その後も続いていく環境
なのかもしれません。
「幼いころが大事」は「今さら遅い」ではない
幼児教育の研究を読んでいると、ときどき不安になる人もいると思います。
「幼少期がそんなに重要なら、もう手遅れじゃない?」
と。
30歳。
40歳。
50歳。
幼児教育の論文を読みながら、
「こちら、幼児期からだいぶ離れております」
となります。
でもワッツの研究を、私はむしろ反対方向に受け取りたいのです。
子どもの未来が、幼いころの一つの能力だけでは説明できない。
初期の教育効果も、その後の環境によって変わっていく。
自己調整能力のような特徴も、それ単独で人生の結果を決定するわけではない。
ということは、
人生は、その後に起きることによって、まだ変わり続ける
ということでもあります。
幼児期は大切。
でも幼児期だけが大切なのではない。
小学校もある。
中学校もある。
高校もある。
社会に出てからもある。
転職もある。
失敗もある。
やり直しもある。
42歳の火曜日の午後に突然、
「ちょっと勉強してみようかな」
と思う日だってある。
人間の発達には「本日の受付は終了しました」という看板が、そう簡単には立たないのです。
「本人の努力」だけを見ると、大切なものを見落とす
ワッツの研究からもう一つ持ち帰りたいのは、
人の結果を、本人の能力だけで説明しないこと
です。
マシュマロ実験の話が象徴的でしょう。
「待てた子は意志が強い」
「待てない子は我慢が足りない」
と考えてしまえば、とても簡単です。
でも、その子がどんな環境で育ったのか。
大人を信頼できる環境だったのか。
家庭にどんな資源があったのか。
それまでどんな経験をしてきたのか。
そうした背景を入れると、話はずっと複雑になります。ワッツらの再検討でも、家庭背景などを考慮することで、幼児期の待ち時間と後の成績との関連は大きく弱まりました。
これは大人の世界でも同じです。
仕事が長続きしない人を見て、
「根性がない」
と言うのは簡単です。
勉強できない人を見て、
「努力不足だ」
と言うのも簡単。
でも、その人が背負っている条件まで見れば、まったく違う景色が見えるかもしれません。
私たちはつい、人間の問題を「性格」に押し込んでしまいます。
しかしワッツの研究を読んでいると、
「ちょっと待って。その人だけを拡大して見る前に、周りの景色も見ませんか?」
と言われているような気がします。
人を変えるなら、「本人」だけでなく「環境」も見る
では、私たちの生活ではどう活かせるでしょうか。
たとえば、
「自分は意志が弱い」
と思っているとします。
すると普通は、
「もっと意志を強くしなければ」
と考えます。
でも、
スマートフォンが机の上にある。
通知が鳴る。
ベッドが隣にある。
お菓子が手の届くところにある。
そしてYouTubeが、
「あなたが絶対好きそうな動画を見つけました」
と満面の笑みで待っている。
この状態で自制心だけを鍛えようとするのは、なかなか厳しい。
だったら、
スマートフォンを別の部屋に置く。
通知を切る。
勉強する場所を変える。
誰かと一緒に取り組む。
最初から誘惑の少ない環境にする。
本人の「根性」を改造するより、環境を少し動かしたほうが簡単なこともあります。
これはワッツの研究そのものから直接導かれた生活術というより、彼の研究が示している**「人間の結果を本人の一能力だけで考えない」**という視点を、日常に持ち込んだ考え方です。
「自分がダメだから」
だけで話を終わらせず、
「環境のどこを変えたら、少し楽になるだろう?」
と考える。
この一言があるだけで、自分への見方はかなり変わると思います。
人生は「一発勝負」ではなく、長い物語である
タイラー・W・ワッツの研究を読んで、最後に私がいちばん持ち帰りたいのはここです。
人間の人生を、短い一場面だけで判断しないこと。
幼稚園のころ我慢できなかった。
小学校で成績が悪かった。
高校を中退した。
就職に失敗した。
仕事が続かなかった。
そんな一場面だけを切り取れば、
「自分はダメなのかもしれない」
という物語はいくらでも作れます。
でもワッツが研究しているのは、まさに「その後」です。
ある時点の能力。
ある時点の教育。
ある時点の環境。
それらが数年後、十数年後にどうつながっていくのかを見る。
すると、人間は一枚の写真ではなくなります。
一本の映画になります。
途中で登場人物が増え、
舞台が変わり、
思わぬ伏線が回収され、
「そこでそうなるんかい」
という展開もある。
人生は長い。
だから、一つの失敗にも、一つの成功にも、未来を全部決めてもらわなくていい。
「幼いころの経験は大切です」
そこで文章を終わらせず、
「でも、その後に何が起きるかも同じくらい見ていきましょう」
と続ける。
それが、タイラー・W・ワッツの研究から私たちが学べる、とても人間的な視点なのではないでしょうか。
過去は確かに私たちを形づくっています。
でも、過去だけが脚本家ではありません。
今日の環境も、人との出会いも、これから積み重ねる経験も、まだペンを持っています。
人生の原稿は、思っているよりずっと長いのです。

タイラー・W・ワッツ(Tyler W. Watts)の論文一覧
1.『マシュマロ・テストを再検証する:「我慢できる子は将来うまくいく」は本当か? 幼少期の『待つ力』とその後の人生を追った研究』タイラー・W・ワッツ、グレッグ・J・ダンカン、ハオナン・クアン(2018)
Watts, T. W., Duncan, G. J., & Quan, H. (2018). Revisiting the Marshmallow Test: A Conceptual Replication Investigating Links Between Early Delay of Gratification and Later Outcomes. Psychological Science, 29(7), 1159–1177.
「マシュマロを我慢できる子は、将来もうまくいく」……ほんとに? ワッツたちは、有名なマシュマロ実験をより大きなデータで再検討しました。すると、待てた子ほど後の成績が良い傾向はあったものの、家庭環境や幼少期の能力まで考えると、その差はぐっと小さくなります。「自制心さえ鍛えれば人生安泰!」とは、どうやら言えない。マシュマロ一個に人生の脚本を書かせるのは荷が重かったようです。では、子どもの未来を本当に左右するものは何なのか。そこからが、この論文のおもしろいところです。

