トム・カマーク(Tom Kamarck)の論文一覧:ストレスの体温計を片手に、心と体の天気を読む心理学さんぽ

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トム・カマーク(Tom Kamarck)のプロフィール

トム・カマーク、正式には トーマス・W・カマーク は、アメリカの心理学者で、現在は ピッツバーグ大学 心理学部の教授 として紹介されています。研究テーマは、ひとことで言うと「ストレスが心だけでなく、血圧や心臓など体にどう影響するのか」を調べることです。ピッツバーグ大学のプロフィールでも、行動と生物学的な要因が、心臓病や高血圧の発症にどう関わるかを研究している人物として紹介されています。

カマークさんを語るうえで外せないのが、シェルドン・コーエン、ロビン・マーメルスタインとともに発表した有名論文 「知覚されたストレスを測るための全体的な尺度」 です。これは、ざっくり言えば「最近の生活を、どれくらい予測不能で、手に負えなくて、荷物が多すぎるように感じているか」を測る質問紙です。いわば、心のなかに置く“ストレス温度計”。熱があるかどうかを体温計で見るように、「今、心の鍋がどれくらいグツグツしているか」を見える形にした研究です。

ただし、カマークさんは「ストレスを測る人」だけではありません。むしろ本丸は、ストレスと体の関係です。たとえば、心理的な負荷がかかったときに血圧や心臓血管の反応がどう変わるのか、日常生活のストレスが循環器系のリスクとどう結びつくのか、といったテーマを長く研究しています。研究一覧でも、血圧、心血管反応、日常生活でのストレス、睡眠、社会的支援などに関わる論文が多く見られます。

おもしろく言うなら、カマークさんは「心の天気予報士」と「血管の気象観測員」を兼ねたような研究者です。私たちが「今日はなんだかしんどいな」と感じるとき、心の空には低気圧が来ています。でもその低気圧は、気分だけでなく、血圧や心臓の働きにもそっと影を落とすことがあります。カマークさんの研究は、その“心の空模様”と“体の気圧計”を同時に見ようとするものなのです。

つまり、トム・カマークとは、ストレスを「気のせい」で片づけず、「それ、ちゃんと体にも出ているかもしれませんよ」と科学の虫眼鏡で見つめた研究者です。ストレスという透明な雨粒を、質問紙や血圧のデータで拾い集め、「心と体は別々の部署ではなく、同じ会社の隣の席なんですよ」と教えてくれるような存在、と言えるでしょう。

参考文献・確認先:ピッツバーグ大学:Thomas W. Kamarck 公式プロフィール / Google Scholar:Thomas W. Kamarck 論文・引用情報 / PubMed:Thomas W. Kamarck 関連論文

阿部牧歌(管理人)
阿部牧歌(管理人)

トム・カマーク(Tom Kamarck)の論文一覧:ストレスの体温計を片手に、心と体の天気を読む心理学さんぽの研究から学べること

トム・カマークさん、正式にはトーマス・W・カマークさんの研究から学べることをひとことで言うなら、「ストレスは“気のせい”で終わるものではなく、血圧や心臓、血管にまでこっそり足あとを残すことがある」というお話です。

カマークさんは、ピッツバーグ大学の心理学教授で、行動と体のしくみが、心臓病や高血圧のリスクにどう関わるかを研究している心理学者です。大学の紹介でも、行動的要因と生物学的要因が心臓病や高血圧の発達にどう影響するかを研究していると説明されています。

つまり、カマークさんの研究は、「心の問題」と「体の問題」を別々の引き出しにしまわないところが面白いのです。私たちはよく、「ストレス?まあ気にしすぎでしょ」と片づけがちです。でも、体からすると、「いやいや、こっちは心拍数上げたり、血圧上げたり、ホルモン出したり、けっこう忙しく働いておりますけど?」という話です。心の台所で小さな鍋がぐつぐつしていると、体の換気扇も回り出すのです。

カマークさんの研究で大事なのは、日常生活の中で血圧やストレスを測るという視点です。研究室の中だけで「はい、今からストレスを感じてください」と言われても、人間なかなか自然には緊張できません。むしろ「今から緊張せよ」と言われること自体が、ちょっとした心理実験ホラーです。そこで、日常生活の中で血圧を測ったり、そのとき何をしていたか、どんな気分だったかを記録したりする。そうすることで、「本物の日常のストレス」が体にどう出るかを見ようとしたわけです。

カマークさんたちの研究では、健康な成人270人を対象に、携帯型の血圧測定や電子日記を使って日常生活の経験を記録し、その後6年間にわたって頸動脈の動脈硬化の進み方を調べています。その結果、日常生活で感じる心理的な要求の高さが、6年後の頸動脈の変化と関連していたと報告されています。

ここから学べるのは、「日々の小さなストレスを、あなどらないほうがいい」ということです。

もちろん、一回イライラしただけで、すぐ血管が大事件を起こすわけではありません。そんなに体が短気だったら、私たちは全員、朝の通勤だけで大変です。でも、「毎日ずっと急かされている」「いつも時間に追われている」「責任ばかり重くて休めない」「人間関係で気を張り続けている」という状態が続くと、体はじわじわ疲れていきます。ストレスは、雷みたいに一発で落ちるものだけではありません。霧雨みたいに、知らないうちに服を重くするものでもあります。

カマークさんの研究から学べる一つ目のことは、「体は、心の声をかなり正直に聞いている」ということです。

本人が「大丈夫です」と言っていても、血圧は「いや、けっこう来てます」と言っていることがあります。顔は平静、メールの文面も丁寧、でも体の中では小さな消防車が走っている。これがストレスのややこしいところです。人は社会生活の中で、表情や言葉を整えることができます。でも、心拍や血圧は、なかなか忖度してくれません。体は空気を読まない正直者です。

二つ目に学べるのは、「ストレス対策は、気分転換だけでなく、体のメンテナンスでもある」ということです。

ストレス対策というと、つい「気持ちを楽にするためのもの」と考えます。もちろん、それも大切です。でもカマークさんの研究を読むと、ストレス対策は心臓や血管を守るための生活習慣でもあると考えられます。散歩する、睡眠を整える、深呼吸する、人に相談する、予定を詰め込みすぎない。こうしたことは、ただの“癒やし活動”ではありません。体の内部で働いている小さな作業員たちに、「今日は少し休憩していいですよ」と伝える行為でもあります。

三つ目に学べるのは、「日常のストレスは、日常の中で観察しないと見えにくい」ということです。

たとえば、病院で血圧を測ると、いつもより高くなる人がいます。白衣を見るだけで、体内の小さな緊張係が「出番です!」と立ち上がるわけです。反対に、診察室では落ち着いていても、職場の電話、家庭の用事、締め切り、苦手な相手との会話で血圧が上がっている人もいるかもしれません。だから、日常の中で体の反応を見ることには大きな意味があります。カマークさんの研究は、「人間は研究室ではなく、生活の中で生きている」という当たり前だけれど大事なことを教えてくれます。

四つ目に学べるのは、「社会的な支えや人間関係も、体の健康と切り離せない」ということです。

カマークさんの研究領域は、ストレス反応や血圧だけでなく、社会的な環境や行動が心血管リスクにどう関わるかにも広がっています。ピッツバーグ大学の研究紹介では、行動医学研究グループとして、心臓病や高血圧に影響する行動的・生物学的要因の相互作用を研究していると示されています。

これは、職場や家庭にもそのまま使える考え方です。人間関係がぎすぎすしていると、心だけでなく体も身構えます。苦手な人の足音が聞こえただけで、心の中の猫が背中を丸める。逆に、安心して話せる人がいると、体の緊張も少しゆるみます。「相談できる」「助けてもらえる」「自分だけで抱えなくていい」と思えることは、心の毛布であると同時に、体への負担を減らすクッションにもなります。

カマークさんの研究から考えると、「ストレスに強くなる」とは、何でも平気になることではありません。鉄の心臓を手に入れることでもありません。むしろ、自分の体が出している小さなサインに気づき、早めに手を打つことです。

肩がこる。眠りが浅い。胸がざわつく。血圧が高めになる。疲れが抜けない。イライラが増える。こういうサインは、体からの小さなメモです。「そろそろ働かせすぎです」「少し荷物を減らしてください」「人に話してください」と、体が控えめに付箋を貼ってくれているのかもしれません。無視し続けると、そのうち付箋ではなく、赤い封筒で届くことがあります。できれば、その前に読みたいところです。

日常に活かすなら、まず「自分のストレス地図」を作ることです。

一日の中で、どの場面で疲れやすいか。誰と話すと緊張するか。どんな仕事のあとに体が重くなるか。逆に、何をすると回復するか。これを少し観察してみる。大げさな記録でなくても大丈夫です。「電話のあとに肩がこる」「昼休みに外へ出ると少し楽」「寝不足の日は人の言葉が刺さりやすい」くらいで十分です。自分の体は、世界で一番身近な研究対象です。しかも協力者はいつも同伴しています。

次に、「ストレスをゼロにする」より、「回復の時間を入れる」ことです。

現実的に、ストレスを完全になくすのは難しいです。仕事もありますし、人間関係もありますし、なぜかプリンターは急いでいるときに限って紙詰まりします。人生は、こちらの予定をあまり尊重してくれません。だから大事なのは、ストレスが来たあとに体を戻す時間を作ることです。歩く。深呼吸する。水を飲む。スマホから少し離れる。話を聞いてもらう。寝る前に仕事のことを考えすぎない。こうした小さな回復が、体のブレーキになります。

さらに、「がんばっている自分」を体の面からもねぎらうことです。

私たちは、成果が出たかどうかで自分を評価しがちです。でも、体は成果に関係なく働いています。緊張した会議を乗り切った日、苦手な電話をした日、怒らずに対応した日、疲れていても出勤した日。体はずっと裏方として働いています。心の劇場で舞台が進んでいる間、照明係、音響係、警備係、清掃係を全部やっているようなものです。そりゃ疲れます。だから、ちゃんと休ませてあげたいのです。

カマークさんの研究から学べることは、結局こういうことです。ストレスは、頭の中だけの出来事ではありません。日常の小さな負荷は、血圧や血管、心臓の働きとも関係している可能性があります。だからこそ、ストレスを「気にしすぎ」と片づけるのではなく、「体からの大事な情報」として受け取ることが大切です。

心は、体という楽器で鳴っています。弦が張りすぎれば音はきしみます。太鼓を叩き続ければ皮は疲れます。笛も休まず吹けば息が切れます。だから、よい演奏を続けるには、楽器の手入れが必要です。

トム・カマークさんの研究は、私たちにこう教えてくれます。ストレスに負けない人とは、いつも平気な顔をしている人ではありません。自分の体の変化に耳をすませ、早めに休み、助けを求め、生活の中で少しずつ負荷を調整できる人です。

心が「まだいける」と言っていても、体が「そろそろ休憩を」と言っている日があります。その声を聞くことは、弱さではありません。むしろ、自分という乗り物を長く走らせるための、かなり賢い整備なのです。体はあなたの相棒です。雑に扱えばすねますし、ていねいに扱えば、また明日も一緒に坂道を登ってくれます。

阿部牧歌(管理人)
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トム・カマーク(Tom Kamarck)の論文一覧:ストレスの体温計を片手に、心と体の天気を読む心理学さんぽの論文一覧

1.『心がどれだけ“ストレスを感じているか”を測る、知覚ストレスの総合尺度』シェルドン・コーエン、トム・カマーク、ロビン・マーメルスタイン(1983)

Cohen, S., Kamarck, T., & Mermelstein, R. (1983). A global measure of perceived stressJournal of Health and Social Behavior, 24(4), 385–396. DOI:10.2307/2136404

「最近、なんかしんどいんですよね……でも、何がどうしんどいのか聞かれると、心の引き出しが全部ひっくり返ってまして」そんな人のために登場したのが、この論文です。コーエン、カマーク、マーメルスタインは、ストレスを“なんとなくの気分”で終わらせず、「どれくらい自分の生活を予測不能・手に負えない・重たいと感じているか」を測る尺度を作りました。つまり、心のモヤモヤにメモリをつけた研究です。ストレス研究の名脇役、いや、もはや温度計界のスター選手。読めば「私のしんどさ、測っていいんだ」と少し肩の荷が下りるかもしれません。

阿部牧歌(管理人)
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この論文の要約を読む
【論文要約】「ストレスが多い人」とは何か?知覚ストレス尺度から見えた心の負担の正体
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