心理学の論文タイトル検索「U」:「うーん、なぜそうなる?」人間の謎を追いかける論文散歩
「U」から始まる心理学の論文一覧
心理学論文タイトルにおける「U」とは?
心理学における「U」は、もしかすると「うーん、なぜそうなる?」の「U」なのかもしれません。
「うーん、昨日まではやる気があったのに、今日はなぜ布団と固い同盟を結んでいるんだろう」
「うーん、気にしないぞと決めたことほど、なぜ頭の中で再放送されるんだろう」
「うーん、自分では冷静なつもりなのに、どうして人はこんなに簡単に思い込みに引っぱられるんだろう」
人間の心を眺めていると、ときどき説明書をどこかに置き忘れてきた家電のように感じることがあります。
ボタンを押しても予定どおり動かない。
昨日まで平気だったことが今日は妙に気になる。
「こうすれば幸せになれるはず」と思って進んだのに、なぜか心だけ別方向へ歩いている。
そこで研究者たちは腕を組みます。
「うーん。これは、なぜそうなる?」
心理学は、案外この「うーん」から始まっている学問なのです。
心理学は、「わからない」をそのままにしない
私たちは日常生活のなかで、心についてたくさんの説明をしています。
「あの人は性格が悪いんだよ」
「自分は意志が弱いから」
「子どもだから仕方ない」
「年齢のせいだろう」
「たまたま気分が悪かったんじゃない?」
もちろん、それで話が終わることもあります。
でも心理学者は、ときどきそこで帰ってくれません。
「本当に性格だけでしょうか?」
「状況が変わっても同じでしょうか?」
「ほかの人でも起こるでしょうか?」
「数字で確かめるとどうなるでしょう?」
……急に話が長くなってきました。
けれど、この少々しつこい姿勢こそ、心理学のおもしろいところでもあります。
人間について「なんとなくそう思う」で済ませず、観察したり、実験したり、質問したり、何百人、何千人というデータを集めたりしながら、「ほんとうのところ、どうなんだろう」と確かめていく。
心理学の論文とは、研究者たちが世界に向かって提出した巨大な「うーん」の記録とも言えるのです。
Uから始まる論文にも、人間の不思議が詰まっている
このページでは、「アドラーの昼寝」に収録している心理学論文のうち、英語タイトルが「U」から始まる論文を紹介しています。
もちろん、「U」から始まる論文だからといって、すべてが同じテーマを扱っているわけではありません。
理解すること、人間関係、無意識の働き、行動、感情、発達、仕事、幸福。
研究テーマは、それぞれ別々の方向へ枝を伸ばしています。
でも論文を一つずつ眺めていくと、どこか共通した空気も見えてきます。
それは、
「人間って、思っていたより単純じゃないな」
という感覚です。
ある条件ではうまくいくのに、別の条件ではうまくいかない。
本人が言っている理由と、実際に行動を動かしている理由が少し違う。
良かれと思ってしたことが、逆効果になることさえある。
心というものは、一直線の道路というより、路地裏だらけの古い町に近いのかもしれません。
地図を一枚もらったくらいでは、とても全部は歩ききれない。
だから研究者たちは、一本ずつ路地に入っていきます。
「この先には何があるんだろう」
そうやって残された足跡が、心理学の論文です。
論文は、「遠い世界の話」ではない
「心理学論文」と聞くと、少し身構えてしまう人もいるかもしれません。
難しい言葉。
数字。
グラフ。
知らない研究者の名前。
なんだか白衣を着ないと読んではいけない雰囲気があります。
でも、その研究が扱っているものを少しだけ日本語にほどいてみると、意外なほど身近です。
「どうして人は先延ばしするのか」
「なぜ褒められてもうれしくないときがあるのか」
「人はどんなときに他人を信じるのか」
「なぜ同じ出来事でも、立ち直れる人と引きずる人がいるのか」
これらは研究室だけの問題ではありません。
月曜の朝にもあります。
職場の休憩室にもあります。
家族との会話にもあります。
夜、布団に入ってから急に始まる一人反省会にもあります。
心理学は、人間の暮らしから遠く離れた場所にあるのではなく、むしろ私たちの日常のすぐ裏側を歩いている学問なのだと思います。
この「U」のページも、ただアルファベット順に論文を並べるだけの場所ではありません。
論文タイトルをひとつ眺めて、
「へえ、こんなことまで研究するのか」
もうひとつ読んで、
「待って。これ、自分にもあるぞ」
そして最後には、
「人間って、変だけどおもしろいな」
そんな小さな発見を持って帰ってもらえたらうれしいです。
「U」から始まる心理学論文をたどりながら、あなたの中にある「うーん、なぜそうなる?」にも、少し耳を澄ませてみてください。
その疑問は、ただのモヤモヤではないかもしれません。
研究者が何十年も追いかけている問いと、案外すぐ隣に座っていることがあります。
心理学の入口は、案外立派な門ではありません。
「うーん、なんでだろう」
その一言くらいの、小さな扉なのです。

子ども・発達・教育
- 『Undermining children’s intrinsic interest with extrinsic reward: A test of the “overjustification” hypothesis.』Lepper, M. R., Greene, D., & Nisbett, R. E. (1973):『ごほうびをあげると、『好き』が減る? 外的報酬が子どもの内発的な興味を弱める:『過剰正当化』仮説の検証』マーク・R・レッパー、デイヴィッド・グリーン、リチャード・E・ニスベット(1973)