心理学の論文タイトル検索「S」:それって私のことですかと、つい聞きたくなる心理学論文たち
「S」から始まる心理学の論文一覧
心理学論文タイトルにおける「S」とは?
心理学論文タイトルにおける「S」は、もしかすると「それって私のことですか?」の「S」かもしれません。
心理学の論文タイトルを眺めていると、たまに妙な瞬間があります。こちらはただ、ふむふむと知的な顔で読んでいるだけなのに、論文のほうから急に近づいてきて、肩をトントンと叩いてくるのです。
「ストレスの話です」
「自己肯定感の話です」
「社会的なつながりの話です」
「支援を受けること、助けることの話です」
「人がしんどくなるしくみと、少し楽になるしくみの話です」
……え、すみません。それ、私のことですか?
もちろん、研究者さんがこちらの日記をこっそり読んでいたわけではありません。たぶん。けれど心理学の論文は、人間に共通する心の動きを扱うので、読んでいると自分の生活に思い当たることが次々と出てきます。仕事で疲れた日。人間関係で少し気をつかいすぎた日。誰かの言葉に救われた日。反対に、何気ない一言で心がしゅんと小さくなった日。そういう日々の小さな事件が、心理学では立派な研究の入口になるのです。
「どうして、人はストレスを感じると考え方まで狭くなるんだろう」
「なぜ、人とのつながりは安心にもなるし、疲れにもなるんだろう」
「自分らしさって、どこから生まれて、どう揺らぐんだろう」
「支えられることや認められることは、心にどんな影響を与えるんだろう」
こうした問いは、私たちの毎日の中に静かに転がっています。朝の支度中、仕事の合間、帰り道、夜に布団へ入ったあと。心はふいに小さな紙を差し出してきます。「本日の議題はこちらです」と。こちらとしては「もう閉店しました」と言いたいところですが、心の会議はなかなか時間外労働が好きなようです。
このページでは、「アドラーの昼寝」に収録している論文のうち、タイトルが「S」から始まる心理学論文を紹介しています。
「S」から始まる論文タイトルをたどっていくと、ストレス、自己、社会的関係、支援、満足感、心の健康など、私たちの日常と深く結びついたテーマが見えてきます。論文タイトルだけを見ると、少し硬そうに感じるかもしれません。「これは研究室の奥にある、分厚い本棚専用の言葉では?」と思うものもあるでしょう。
けれど、その奥にはかなり身近な心の動きがあります。頑張っているのに報われないと感じること。人に認められて少し元気になること。誰かと一緒にいるのに孤独を感じること。自分の気持ちをうまく説明できず、心の中で小さな渋滞が起きること。そうした“あるある”に、心理学はそっと名前をつけてくれます。
「S」の論文たちは、まじめな顔をしながら、こちらの生活のすぐそばに座っています。難しそうに見えて、実は人間のしんどさや優しさ、不安や希望を丁寧に見つめている研究たちです。まるで心の落とし物係のように、「この気持ち、あなたのものかもしれませんよ」と差し出してくれるのです。
どうぞ、「S」から始まる論文タイトルを眺めながら、あなた自身の中にある「それって私のことかも」という小さな反応にも、そっと耳をすませてみてください。心理学の論文は、遠い研究室だけのものではありません。今日のストレスに名前をつけ、明日の自分を少し扱いやすくしてくれる、心の説明書のようなものです。

自己理解・自己肯定感
- 『Self-compassion protects against the negative effects of low self-esteem』Marshall et al. (2015):『自分にやさしくできる人は、低い自己評価に飲み込まれにくい-青年期を追跡した大規模研究』サラ・L・マーシャル、フィリップ・D・パーカー、ジョセフ・チアロッキ、バルジンダー・サドラ、クリス・J・ジャクソン、パトリック・C・L・ヘブン(2015)
- 『Self-esteem development across the life span: A longitudinal study with a large sample from Germany』Ulrich Orth, Jürgen Maes, Manfred Schmitt(2015):『自己肯定感は人生を通してどう育っていくのか ドイツの大規模縦断調査が明かした生涯発達の軌跡』ウルリッヒ・オルト、ユルゲン・メース、マンフレート・シュミット(2015)
- 『Social Relationships and Mortality Risk: A Meta-analytic Review』Julianne Holt-Lunstad, Timothy B. Smith, J. Bradley Layton(2010):『人とのつながりは寿命を左右するのか?-社会的関係と死亡リスクをめぐるメタ分析レビュー』ジュリアン・ホルト=ランスタッド、ティモシー・B・スミス、J・ブラッドリー・レイトン(2010)
- 『Self-compassion and adaptive psychological functioning』Kristin D. Neff, Kristin L. Kirkpatrick, Stephanie S. Rude(2007):『セルフ・コンパッションが支える、しなやかな心のはたらき』クリスティン・D・ネフ、クリスティン・L・カークパトリック、ステファニー・S・ルード(2007)
- 『Self-Compassion: An Alternative Conceptualization of a Healthy Attitude Toward Oneself』Neff (2003):『セルフ・コンパッション:自分を大切にする健全なあり方の新しい捉え方』クリスティン・ネフ(2003)
- 『Self-discrepancies in clinical depression and social phobia』Strauman (1989):『うつ病と社交不安を生む「理想の自分」と「現実の自分」のずれ』ストローマン(1989)
人間関係・コミュニケーション
- 『Safely testing the alarm: Close others’ responses to personal positive events.』Gable, S. L., Gosnell, C. L., Maisel, N. C., & Strachman, A. (2012):『うれしい知らせは、信頼関係の“避難訓練”になる?-ポジティブな出来事への身近な人の反応を探る研究』シェリー・L・ゲイブル、コートニー・L・ゴスネル、ナタリア・C・マイゼル、エイミー・ストラクマン(2012)
感情・ストレス・メンタル
- 『Stress, social support, and the buffering hypothesis.』Cohen, S., & Wills, T. A. (1985):『ストレスの衝撃を、人とのつながりはやわらげるのか:社会的支援と「緩衝仮説」』シェルドン・コーエン、トーマス・A・ウィルズ(1985)
やる気・習慣・行動
- 『Self-regulation of goal setting: Turning free fantasies about the future into binding goals.』Oettingen, G., Pak, H.-J., & Schnetter, K. (2001):『未来への「ただの空想」を、逃げられない目標に変える方法――目標設定を自分で動かす心理学』ガブリエレ・エッティンゲン、ヒョンジュ・パク、カロリーネ・シュネッター(2001)
- 『Self-Determination Theory and the Facilitation of Intrinsic Motivation, Social Development, and Well-Being.』Ryan, R. M., & Deci, E. L. (2000):『自己決定理論とは何か:内発的動機づけ、社会的成長、そしてウェルビーイングを育てる心理学』リチャード・M・ライアン、エドワード・L・デシ(2000)
- 『Stages and processes of self-change of smoking: Toward an integrative model of change.』Prochaska, J. O., & DiClemente, C. C.(1983):『人はどうやってタバコをやめるのか-禁煙に至る「変化の段階」とプロセスを統合する』ジェームズ・O・プロチャスカ、カルロ・C・ディクレメンテ(1983)
- 『Self-efficacy: Toward a unifying theory of behavioral change.』Bandura, A. (1977):『「できるかもしれない」が行動を変える。自己効力感で読み解く、変化の統一理論』アルバート・バンデューラ(1977)
仕事・学び・パフォーマンス
- 『Self-Regulated Learning: Beliefs, Techniques, and Illusions.』Bjork, R. A., Dunlosky, J., & Kornell, N.(2013):『自分の学びを自分で導くには?――勉強法への思い込み、学習テクニック、そして「わかったつもり」の罠』ロバート・アレン・ビョーク、ジョン・ダンロスキー、ネイト・コーネル(2013)