ロビン・L・モフィット(Robyn L. Moffitt)の論文一覧:「自分にきびしすぎ問題」を、わりと本気で解きにきた論文たち
ロビン・L・モフィット(Robyn L. Moffitt)のプロフィール
ロビン・L・モフィットさんは、ざっくり言うと「人は自分の体や心をどう受け止めると、少しラクに生きられるのか」を研究している心理学者です。現在はオーストラリアのディーキン大学で活動しており、心理学の博士号を持ち、登録心理士としての経歴もある研究者です。ディーキン大学の紹介では、心理学の優等学位、修士号、博士号を取得し、2005年から心理士として登録されていることが示されています。
研究テーマの中心にあるのは、自己コンパッション、つまり「自分にやさしくする力」です。日本語で言うなら、「失敗した自分を、心の中で土下座させ続けない技術」みたいなものですね。たとえば、体型や見た目に対して落ち込んだとき、「こんな自分はダメだ」と責めるのではなく、「つらいよね。でも人間って、誰でもそう感じることがあるよね」と少しあたたかく受け止める。その心の使い方が、からだへの不満や自己改善への意欲にどう関わるのかを調べています。
特に有名な研究のひとつに、2018年の『Body Image』に掲載された論文があります。この研究では、自己肯定感を高める方法と、自分にやさしく向き合う方法を比べ、からだへの不満や「もっとよくなりたい」という気持ちにどう影響するかを調べました。結果として、自己コンパッションを使った介入は、体重や外見への不満を下げ、自分をよくしていこうとする意欲も高める可能性が示されています。つまり、「自分を甘やかすと成長できない」のではなく、「自分を責めすぎないほうが、むしろ前に進みやすいかもしれない」という、心に毛布を一枚かけてくれるような研究です。
また近年も、自己コンパッション、感情のコントロール、否定的な身体イメージの関係について研究に関わっています。2025年の論文では、成人女性を対象に、自己コンパッションや感情調整の難しさが、体への不満、体重増加への恐れ、体型へのとらわれなどにどう関係するかが検討されています。その中で、自己コンパッションは否定的な身体イメージを予防・改善するうえで重要な手がかりになる可能性が示されています。
さらに、モフィットさんの研究は「見た目の悩み」だけに閉じていません。運動、健康行動、スポーツ心理、慢性疾患の管理、アスリートのメンタルヘルスなどにも関わっています。たとえば、2024年のスポーツ心理学系の論文では、オセアニア地域のエリート選手がスポーツ心理学の支援をどう受け止めるかという研究にも参加しており、所属はディーキン大学心理学部とされています。
おもしろく言えば、モフィットさんは「心の中の鬼コーチを、少し話のわかる顧問の先生に変える研究」をしている人です。私たちはつい、自分に対してだけブラック企業の上司みたいになりがちです。「もっと頑張れ」「まだ足りない」「その見た目でいいと思ってるの?」と、心の会議室で毎日つめられる。モフィットさんの研究は、そこに「いやいや、まず椅子に座ってお茶を飲みましょう」と入ってくる感じがあります。
もちろん、彼女の研究は「なんでも自分を許せばいい」というゆるふわ理論ではありません。むしろ、自分を責めすぎるとかえって苦しくなり、行動する力も弱くなることがある。だからこそ、自分にやさしくすることは、逃げではなく、回復のための足場になる。そういう現実的で、しかも人間味のある心理学を扱っている研究者だと言えます。
まとめると、ロビン・L・モフィットさんは、自己コンパッション、身体イメージ、運動や健康行動、スポーツ心理などを通して、「人が自分の体や心と、もう少し仲よく暮らすにはどうしたらよいか」を研究している心理学者です。心の中にある小さな裁判所を、少しだけ休憩室に変えてくれる。そんな研究をしている方ですね。
参考文献・確認先:ディーキン大学:Robyn Moffitt 公式プロフィール / Google Scholar:Robyn L. Moffitt 論文・引用情報 / PubMed:Robyn L. Moffitt 関連論文 / ORCID:Robyn L. Moffitt 研究者ID

1.『短時間の自己肯定感・セルフコンパッション介入はどちらが効くのか-その場の身体への不満と、自分をよりよくしたい気持ちをめぐる比較研究』ロビン・L・モフィット、デイヴィッド・L・ニューマン、シャノン・P・ウィリアムソン(2018)
Moffitt, R. L., Neumann, D. L., & Williamson, S. P.(2018). Comparing the efficacy of a brief self-esteem and self-compassion intervention for state body dissatisfaction and self-improvement motivation. Body Image, 27, 67-76. DOI: 10.1016/j.bodyim.2018.08.008
鏡を見て「今日はちょっと無理かも…」となった心に、効くのは自信か、それともやさしさか。そんな勝負をしてみた論文です。結果は、ただ「自分をすごいと思おう」とするより、「しんどい自分にもやさしくしよう」のほうが、体への不満をやわらげて、前向きに整えようとする気持ちまで高めてくれた。心の応急手当箱、意外と“やさしさ”が主役かもしれません。

