リチャード・ケストナー(Richard Koestner)の論文一覧:やる気の操縦席に座り、“やらされ感”のブレーキをそっと外した心理学者

リチャード・ケストナー(Richard Koestner)の論文を読む女性
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リチャード・ケストナー(Richard Koestner)のプロフィール

リチャード・ケストナーは、人間の「やる気」を研究してきた心理学者です。カナダのマギル大学心理学部の教授で、目標の立て方、自分を律する力、そして「人はどうやって社会のルールや価値観を自分のものにしていくのか」を研究しています。

ざっくり言うと、ケストナー先生は「人はごほうびで動くのか? それとも、自分で納得したときに動くのか?」という、やる気界の大問題に向き合ってきた人です。
たとえば、同じ「勉強する」でも、「怒られるからやる」と「知りたいからやる」では、心のエンジン音がぜんぜん違います。前者はガタガタ鳴る軽トラ、後者は静かに進む電気自動車。ケストナーは、その違いをじっくり見てきた研究者です。

彼の研究で大事になるのは、「自分で選んでいる感じ」です。これは、わがままに好き勝手するという意味ではありません。「これは自分にとって大事だ」と納得して行動できることです。宿題でも、仕事でも、健康づくりでも、人は誰かに首根っこをつかまれて動かされるより、自分の中で意味を見つけたときのほうが、長く、しなやかに続けやすい。ケストナーの研究は、その“やる気の根っこ”を掘っている感じです。

また、彼は「目標」についても研究しています。目標というと、つい「毎日5時起き!」「1か月で10キロ減!」「今年こそ人生を変える!」みたいに、年始のテンションで巨大な旗を立てがちです。でも人間、そんなに単純なロボットではありません。ケストナーは、目標を立てるだけでなく、それをどう自分の価値観と結びつけ、どう続けていくかに注目しました。つまり、目標を根性論の竹刀で叩くのではなく、心に合う靴を履かせる研究をしているわけです。

ケストナーの面白いところは、「外からのごほうび」や「やらなきゃダメだ」という圧力が、かえって人のやる気をしぼませることにも目を向けている点です。マギル大学の紹介でも、彼の近年の研究は、外発的な報酬やコントロールされた動機づけがもたらす不適応的な影響に焦点を当てているとされています。

つまりケストナーは、やる気を「気合いで燃やせ!」とは言いません。むしろ、「その火、誰のために燃えてるの?」と聞いてくるタイプの研究者です。
ごほうびのニンジンをぶら下げるより、本人の中にある「これを大事にしたい」という小さな灯りを見つける。そんな、やる気の厨房で火加減を見守るような心理学者だと言えるでしょう。

参考文献・確認先:Richard Koestner 公式プロフィール / Google Scholar:Richard Koestner 論文・引用情報 / PubMed:Richard Koestner 関連論文

阿部牧歌(管理人)
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リチャード・ケストナー(Richard Koestner)の研究から学べること

リチャード・ケストナーの研究から学べることは、ひとことで言えば、「人は、納得して動くと強い」ということです。

私たちはつい、やる気を出すには「ごほうび」「罰」「根性」「気合い」のどれかを投入すればいいと思いがちです。まるで心の自動販売機に百円玉を入れたら、やる気ドリンクがガコンと落ちてくるような感覚です。

でも、ケストナーの研究はそこに待ったをかけます。

人は、外から「やれ」と押されるだけでは、たしかに一時的には動くかもしれません。でも、その動き方はどこか苦しい。背中に見えない荷物をしょって、「はいはい、やりますよ」と心が半目になっている状態です。

一方で、「これは自分にとって大事だ」「自分で選んでいる」と感じられると、人の行動はぐっと変わります。やる気が、誰かに引っぱられる荷車から、自分でこぎ出す自転車になるのです。

ここで大事なのは、「好きなことだけやればいい」という話ではないところです。

仕事も勉強も生活も、面倒なことはあります。書類、締切、片づけ、運動、健康診断、返信していないメール。人生には、なぜか小さなラスボスが毎日出勤してきます。

でも同じ面倒なことでも、「怒られるからやる」と「自分の暮らしを守るためにやる」では、心の持ち方が変わります。ケストナーの研究は、この“理由の持ち方”が人間のやる気に大きく関わることを教えてくれます。

たとえば、子どもに勉強してほしいときも、部下に仕事を任せたいときも、自分が新しい習慣を始めたいときも、ただ「やりなさい」と押しつけるだけでは、心の中に小さな反乱軍が生まれます。

「なんでそれが大事なのか」
「どこまで自分で選べるのか」
「その人にとって、どんな意味があるのか」

ここを一緒に考えることが大切なのです。

ケストナーの研究から見えてくるのは、人間は操作される機械ではなく、意味を食べて動く生き物だということです。ごほうびのニンジンだけでは、心は長距離を走れません。途中で「ところで私は、なぜ走っているんでしたっけ?」と立ち止まってしまいます。

だから、自分を動かしたいときも、人を支えたいときも、まずは問いかけてみるとよいのです。

「これは、自分にとって何のため?」
「どこに、自分で選べる部分がある?」
「小さくても、自分の価値観とつながるところはどこ?」

この問いは、やる気のスイッチというより、心の窓を少し開けるものです。外から無理やり電気をつけるのではなく、中にある灯りが見えるようにする。

リチャード・ケストナーの研究は、そんなふうに教えてくれます。

人は、命令だけでは育ちにくい。
でも、納得と選択があると、少しずつ前に進める。

やる気とは、根性のムチで叩き起こすものではなく、「自分で選んでいる」という感覚の中で、じわっと起き上がってくるものなのかもしれません。

阿部牧歌(管理人)
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リチャード・ケストナー(Richard Koestner)の論文一覧

1.『ごほうびは、やる気の火を強めるのか消すのか:外からの報酬が内なる意欲に与える影響を読み解くメタ分析レビュー』エドワード・L・デシ、リチャード・ケストナー、リチャード・M・ライアン(1999)

Deci, E. L., Koestner, R., & Ryan, R. M. (1999). A meta-analytic review of experiments examining the effects of extrinsic rewards on intrinsic motivation. Psychological Bulletin, 125(6), 627–668. DOI:10.1037/0033-2909.125.6.627

「ごほうびをあげれば、やる気は上がる」……そう思ったあなた、心理学界から小さな赤ペンが入ります。この論文は、外からの報酬が内側の“やりたい気持ち”にどう影響するかを大量の実験からまとめた研究です。結果はなかなか刺激的。ごほうびは便利なニンジンに見えて、使い方を間違えると「自分でやりたい」の芽をしょんぼりさせることも。やる気のエンジンに、賞品シールを貼ればいいわけじゃないんです。

阿部牧歌(管理人)
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この論文の要約を読む
【論文要約】ごほうびはやる気を奪うのか?報酬と内発的動機づけの意外なしくみ
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