心理学の論文・著者検索「あ」:あなどれない心の動きを、まじめにおもしろく追いかけた研究者たち
「あ」から始まる心理学の論文著者一覧
心理学における「あ」とは?
心理学における「あ」は、もしかすると「あれ?」の「あ」かもしれません。
「あれ? さっきまで元気だったのに、なんで急に心がしぼんだんだろう」
「あれ? ほめられたはずなのに、なぜか素直に喜べないぞ」
「あれ? 休んでいるのに、頭の中だけ会議室みたいにざわざわしている」
「あれ? あの人の一言、もう終わった話なのに、まだ胸の中で反復横跳びしている」
こういう小さな「あれ?」は、日常の中にけっこう転がっています。朝のコーヒーの底にも、職場のちょっとした会話にも、帰り道のため息にも、ひょっこり顔を出します。心理学というと、白衣を着た先生が難しい顔で「人間行動の構造がうんぬん」と語っているイメージがあるかもしれません。もちろん、ちゃんとした研究ですから、そこには統計や実験や理論もあります。でも、その出発点は意外と身近です。
「なんで人はこんなふうに感じるんだろう?」
この素朴な疑問が、心理学の小さな火種になります。
たとえば、人からやさしくされたときに、うれしいはずなのに少し申し訳なくなることがあります。頑張りたい気持ちはあるのに、体が布団と固い同盟を結んで動かない朝もあります。人間関係を大切にしたいのに、なぜか人と会うだけで心の電池がごっそり減る日もあります。
「気合いが足りないんじゃない?」
「性格の問題じゃない?」
「考えすぎなんじゃない?」
そう片づけるのは簡単です。でも心理学は、そこで「はい終了!」とは言いません。むしろ、そこから腕まくりをします。
「いやいや、ちょっと待ってください。そこに何か心のしくみがあるのでは?」
そんな感じで、心理学は人間の心の裏側にそっとライトを当てます。まるで、夜中に冷蔵庫を開けたらプリンが減っていたときのように、「これは何かが起きているぞ」と静かに調べ始めるわけです。犯人探しではなく、しくみ探しです。
心というものは、ふだんは透明な空気のようで、なかなか見えません。けれど、不安になったとき、誰かの言葉が胸に刺さったとき、うまくいかなかった一日を抱えて帰るとき、ふいに輪郭をあらわします。いつもは姿を見せない猫が、気づいたら足元にいるようなものです。心もまた、「見よう」としたときに、ようやく少しだけ姿を見せてくれます。
そして、心理学者たちはその「あれ?」を大事にしてきました。
「あれ? なぜ人はストレスで燃え尽きてしまうのか」
「あれ? なぜ同じ出来事でも、平気な人と深く傷つく人がいるのか」
「あれ? なぜ人は助けられているのに、かえってつらくなることがあるのか」
「あれ? なぜ目標を立てたのに、三日後には心の中で行方不明になるのか」
こうした疑問のひとつひとつが、研究になり、論文になり、私たちの日常を少しだけ見通しよくしてくれます。心理学は、心を魔法のように一瞬で変える学問ではありません。でも、「自分が変なのではなく、心にはそう動く理由があるのかもしれない」と思わせてくれる。これはなかなか大きなことです。心の中に散らかった書類へ、そっと見出しを貼ってくれるようなものです。
このページでは、「アドラーの昼寝」に収録している人物のうち、名前が「あ」から始まる研究者を紹介しています。
「あ」から始まる研究者たちは、それぞれ違う角度から、人間の心を見つめてきました。ストレス、やる気、人間関係、健康、感情、働き方、生きづらさ。扱うテーマはさまざまですが、どの研究にも共通しているのは、「人の心は、そんなに単純ではない」というまなざしです。
私たちはつい、自分の心を雑に扱ってしまいます。
「また落ち込んでる。弱いなあ」
「また先延ばししてる。だめだなあ」
「また気にしすぎてる。面倒な性格だなあ」
でも心理学の世界を少しのぞくと、その見方が少し変わります。落ち込みにも理由があるかもしれない。先延ばしにも背景があるかもしれない。気にしすぎる心も、何かを守ろうとして必死に働いているのかもしれない。
つまり、「あれ?」は、自分を責めるための言葉ではありません。自分を少し理解するための入口です。
このページに並んでいる研究者の名前は、最初は少し遠く感じるかもしれません。外国の名前も多いですし、「誰ですか、はじめまして」の連続かもしれません。でも、その先にある研究テーマは、案外、私たちの生活のすぐ近くにあります。職場で疲れた日、人間関係で心がごちゃついた日、やる気が迷子になった日、自分でも自分の気持ちがよくわからない日。そんな日に役立つヒントが、研究の中に眠っていることがあります。
心理学における「あ」は、「あれ?」の「あ」。
そして、「ああ、そういうことだったのか」の「あ」でもあります。
このページから、気になる研究者のページをたどりながら、あなた自身の中にある小さな「あれ?」にも、そっと光を当ててみてください。心理学は、遠い学問ではありません。今日のもやもやに名前をつけ、明日の自分を少し扱いやすくしてくれる、心の道具箱のようなものです。
さあ、「あ」から始めてみましょう。
心の旅は、案外いつも、「あれ?」という小さな声から始まります。

アイルランド
- アンドリュー・ガムリー(Andrew Gumley):こころがしんどい人の回復を、研究と臨床の両方からまじめに支えてきた人
アメリカ
- アーロン・T・ベック(Aaron T. Beck):アメリカの精神科医で、認知療法や認知行動療法の土台をつくった人物
- アダム・M・グラント(Adam M. Grant):働く人の「やる気・親切・ひらめき」を、職場の舞台裏で観察した組織心理学者
- アラン・ウィグフィールド(Allan Wigfield):「人は、何なら頑張れるのか?」という、学校でも職場でも人生でもずっと消えない大きな問いに向き合ってきた心理学者
- アルバート・バンデューラ(Albert Bandura):「人は、言われて覚えるだけじゃない。人の姿を見て、こっそり学んでいるんです」と教えてくれた心理学者
- アレクサンドル・コーガン(Aleksandr Kogan):心理学とデータ科学の世界をまたいで活動してきた研究者
- アンジェラ・L・ダックワース(Angela L. Duckworth):「成功する人は、いったい何が違うのだろう?」という、誰もが一度は考える疑問を研究しているアメリカの心理学者
- アンジェロ・S・デニシ(Angelo S. DeNisi):アメリカの経営学・産業組織心理学の研究者
- アントネット・ラスコフ・ツァイス(Antonette Raskoff Zeiss):満足を先延ばしする研究で知られるアメリカの臨床心理学者
イギリス
- アンガス・マクベス(Angus MacBeth):「こころの痛み」と「やさしさ」の両方を、ちゃんと研究している人
イスラエル
- アイエレット・フィッシュバック(Ayelet Fishbach):「やる気はどこへ行った?」という人類の長年の迷子案件を、かなり本気で追いかけてきた心理学者
- アヴラハム・N・クルーガー(Avraham N. Kluger):イスラエルのヘブライ大学エルサレム校で組織行動学を研究してきた心理学・経営学の研究者
オーストラリア
- アリソン・G・ハーヴェイ(Allison G. Harvey):眠れない夜の頭の中を、まるで小さな懐中電灯で照らすように研究してきた臨床心理学者
オランダ
- アーノルド・B・バッカー(Arnold B. Bakker):「職場のしんどさ」と「仕事のやる気」の両方を研究している、働く人の心の整備士さんのような人物
カナダ
- アナ・L・マッキノン(Anna L. MacKinnon):「こころの傷み」と「親子のはじまり」を、かなりまじめに、でも未来につながる形で研究している心理学者
- アレカ・M・マクレラン(Aleka M. MacLellan):「心のしんどさや自分との付き合い方を、まじめに、でもかなり役立つ形で研究している人」という印象の研究者
コロンビア
- アレハンドロ・ジェラス(Alejandro Lleras):人間の「注意力」を研究している認知心理学者
セルビア
- アナ・V・ニクチェヴィッチ(Ana V. Nikcevic):人の心のしんどさを、ちゃんと研究でほどいていくタイプの心理学者
日本
- 有賀敦紀(Atsunori Ariga):人間の注意や知覚、意思決定、消費者心理などを研究している心理学者
国籍不明
- アイザック・リプカス(Isaac M. Lipkus):「人はなぜ健康リスクをわかっているのに、なかなか行動を変えられないのか?」を追いかけている心理学・健康行動研究の研究者
- アダム・ザッカーマン(Adam Zuckerman):心理学・社会的支援・ストレス研究の文脈で名前が出てくる研究者
- アマンダ・ダフィー(Amanda Duffy):オーストラリアのグリフィス大学でSchool of Applied Psychology の Senior Lecturerを務めている心理学研究者
- アン・O・マシオン(Ann O. Massion):不安で心が大騒ぎしている人に、薬だけでなく“今ここに戻る練習”という選択肢を差し出した精神科医・研究者