ポーラ・R・ピエトロモナコ(Paula R. Pietromonaco)の論文一覧:わかり合いたいのに、なぜかズレる。その心のからくりをのぞいた論文たち

ポーラ・R・ピエトロモナコ(Paula R. Pietromonaco)の論文を読む女性
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ポーラ・R・ピエトロモナコ(Paula R. Pietromonaco)のプロフィール

ポーラ・R・ピエトロモナコは、ひとことで言うと、「親しい関係の中で、人はどう傷つき、どう安心し、どう支えられるのか」を長年じっくり見てきた心理学者です。アメリカのマサチューセッツ大学アマースト校で、心理学と脳科学の学科の名誉教授を務めています。大学の案内でも、社会心理学の研究者として紹介されています。

学歴もなかなか筋金入りで、学士課程はカリフォルニア大学ロサンゼルス校博士課程はミシガン大学で心理学の博士号を取得しています。つまり、「人の心って、近づくとあったかいけど、近づきすぎるとややこしいですね」を、きちんと学問として積み上げてきた人、という感じです。

研究テーマの中心にあるのは、恋人や夫婦などの親しい関係です。とくに、相手とのやりとりが感情や健康にどう影響するか、愛着の不安や安心感が関係の中でどう動くか、といったテーマを深く追っています。大学の研究紹介では、主観的な感じ方だけでなく、反応の速さ、身体の反応、実際の行動まで使って関係のプロセスを調べていると説明されています。つまりこの人、ただ「仲良しって大事だよね」で終わらず、心拍やストレス反応まで連れてきて、本気で見に行くタイプです。

また、現在はアメリカ心理学会が出している学術誌『感情』の編集長も務めていると大学が案内しています。研究するだけでなく、「今、感情研究の世界でどんな論文が重要か」を見きわめる立場にもいるわけで、まさに感情研究の交通整理役でもあります。

研究の雰囲気をやさしく言うなら、ポーラ・ピエトロモナコは、「親密さは甘いだけじゃない。安心にも不安にも、健康にもつながっている」ということを、静かに、でもかなり本気で掘ってきた人です。恋愛、夫婦関係、支え合い、すれ違い、ストレス、回復。そんなテーマに惹かれるなら、この人の論文一覧はかなりおもしろいです。人間関係という名のスープを、表面だけでなく鍋の底までちゃんとのぞく研究者、と言ってもいいかもしれません。

参考文献・確認先:Paula Pietromonaco 公式プロフィール|University of Massachusetts Amherst / Paula Pietromonaco プロフィール|College of Natural Sciences / Google Scholar:Paula R. Pietromonaco 論文・引用情報 / PubMed:Paula R. Pietromonaco 関連論文 / Social Psychology Network:Paula R. Pietromonaco プロフィール

阿部牧歌(管理人)
阿部牧歌(管理人)

ポーラ・R・ピエトロモナコ(Paula R. Pietromonaco)の研究から学べること

ポーラ・R・ピエトロモナコさんの研究から学べることを、ひとことで言うなら、「人間関係は、心の問題だけでなく、体の調子にもじわじわ関わっている」ということです。

これは、かなり大事です。私たちはよく、「人間関係で疲れた」と言いますよね。でも、それは単なる気分の話ではないかもしれません。心が疲れているだけでなく、体の中でも小さな会議が開かれている可能性があります。ホルモン部長、免疫課長、心拍係、睡眠担当が集まって、「最近この人、ずっと対人ストレスにさらされていますね。どうします?」とざわざわしているわけです。体内会議、けっこう真剣です。

ピエトロモナコさんは、アメリカのマサチューセッツ大学アマースト校の心理学者で、親しい人間関係、愛着、感情、健康のつながりを研究してきた人物です。本人の研究室では、恋人関係や夫婦関係の中で生じる心理的な過程が、関係の結果だけでなく、感情面や身体面の健康に長期的にどう影響するかを研究していると紹介されています。

ここで中心になるのが、「愛着」という考え方です。

愛着というと、ちょっと専門用語っぽいですが、やさしく言えば、「大切な人とどのようにつながろうとするか」という心のクセです。不安なとき、相手に近づきたくなる人もいます。「大丈夫?」と何度も確認したくなる人もいます。逆に、困っていても「平気です」と言って距離を取りたくなる人もいます。これは、性格が良い悪いというより、心が安心をどう探すかのパターンなのです。

たとえば、恋人や配偶者と少し言い合いになったとします。ある人は「嫌われたかも」と不安になって、相手の表情や返事を何度も確認したくなります。心の中の警報機が、少しの煙でビービー鳴る感じです。別の人は、逆に「面倒だから離れたい」と感じて、話し合いを避けたくなります。心のシャッターがガラガラッと閉まる感じです。

ピエトロモナコさんの研究が面白いのは、こうした関係のクセが、ただ気持ちのすれ違いで終わらないところです。夫婦や恋人同士のストレス場面では、愛着のあり方が、心理的なつらさだけでなく、ストレスホルモンや体の反応とも関わる可能性が調べられています。ある研究では、新婚夫婦が関係上の対立について話し合う場面を調べ、不安の強い愛着傾向を持つ人は、とくに距離を取りやすい相手と組み合わさったとき、対立を前にしたストレス反応が強まりやすいことが示されています。

これ、日常語にすると、「不安になりやすい人」と「逃げたくなりやすい人」が組み合わさると、心のダンスが少し難しくなる、ということです。

片方は「こっちを見て。ちゃんと話して」と近づきたい。もう片方は「今は無理。距離を取りたい」と離れたい。すると、近づくほど逃げる、逃げるほど追いかける、という人間関係の回転寿司が始まります。しかも、流れてくる皿はだいたい不安と沈黙です。これはしんどい。

でも、この研究から学べるのは、「だから相性が悪い」と切り捨てることではありません。大切なのは、「お互いの安心の求め方が違うのかもしれない」と理解することです。相手が冷たいのではなく、近づきすぎると怖いのかもしれない。自分が重いのではなく、不安になると安心確認が必要になりやすいのかもしれない。そう見方を変えるだけで、会話の角が少し丸くなります。

ピエトロモナコさんは、親しい関係が健康に影響する道すじについても整理しています。ナンシー・コリンズさんとの論文では、親しい関係が人の健康に関わることは知られているものの、その具体的なしくみ、たとえば支援、対立、感情調整、生理的反応などをもっと詳しく見る必要があると述べられています。

つまり、「人間関係が大事です」で終わらせないのです。

どんな関わりが安心につながるのか。

どんな会話がストレスを強めるのか。

支えられている感じは、体の反応にどう関係するのか。

対立が続くと、睡眠や体調にどう影響するのか。

こういうところを、心理学の虫めがねでじっくり見ているわけです。人間関係の台所に入って、「このスープ、何が効いているんでしょうね」と材料を確かめる感じです。

ここから私たちが学べる一つ目の知恵は、「人間関係のストレスを軽く見ないこと」です。

「ただの夫婦げんかでしょ」

「友人関係の悩みくらいで」

「職場の人間関係なんて、どこもそんなもの」

こう言われることがあります。でも、親しい関係や日常的な関係のストレスは、毎日少しずつ体に入ってくる小雨のようなものです。土砂降りではなくても、傘なしでずっと歩けば、じわじわ冷えます。だから、人間関係のしんどさを「気にしすぎ」で片づけないことが大切です。

二つ目の知恵は、「安心できる関係は、体にもやさしい可能性がある」ということです。

安心できる相手がいると、人は気持ちを落ち着けやすくなります。困ったときに相談できる。つらいときに受け止めてもらえる。自分の気持ちを言っても関係が壊れないと思える。こういう関係は、心の毛布になるだけでなく、体の緊張をゆるめる助けにもなります。ピエトロモナコさんとリンジー・ベックさんの論文では、大人の愛着の違いが、ストレスへの体の反応、健康行動、健康状態に関わる可能性が整理されています。

ただし、ここで大事なのは、「関係があるから全部決まる」という話ではないことです。健康には、睡眠、食事、運動、医療、経済状況、仕事、遺伝など、いろいろな要素が関わります。人間関係だけで全部を説明するのは、さすがに荷物を持たせすぎです。心理学も腰を痛めます。

それでも、親しい関係が心と体に関わる大切な要素であることは、かなり重要です。人間は単独稼働の家電ではありません。人とのつながりの中で、安心したり、緊張したり、回復したり、消耗したりします。

三つ目の知恵は、「話し合い方を整えるだけで、関係のストレスは変わる」ということです。

夫婦や恋人、家族、職場の関係で、対立そのものをゼロにするのは難しいです。人間が二人いれば、意見のズレはあります。洗濯物のたたみ方から、将来設計まで、ズレの種はあちこちに落ちています。問題は、ズレがあることではなく、ズレをどう扱うかです。

不安になりやすい人は、相手に確認したくなる。

距離を取りやすい人は、いったん離れたくなる。

この違いを知らないまま話し合うと、「なんで逃げるの!」「なんで詰めてくるの!」となります。まるで、アクセルとブレーキが同時に踏まれている車です。進まないうえに、エンジンが悲鳴を上げます。

そこで、少し言葉を変えてみるのです。

「今、不安になっているから、少し安心できる言葉がほしい」

「今すぐ話すときつくなりそうだから、30分後に話したい」

「逃げたいわけではなく、整理する時間がほしい」

「責めたいわけではなく、つながりを確認したい」

こう言えると、関係の中に通訳さんが登場します。自分の反応を、そのままぶつけるのではなく、相手に伝わる形に翻訳する。これがかなり大切です。

ピエトロモナコさんの研究は、親密な関係の中で起きる日々のやり取り、感情、体の反応をていねいに見ようとします。研究室の紹介でも、発達的な方法、生物学的な方法、現場研究、実験、長期追跡、日々の記録など、さまざまな方法を使って研究していることが紹介されています。 つまり、「人間関係って大事だよね」というふんわり話ではなく、実際の会話やストレス反応まで見に行く、かなり現場密着型の研究なのです。

支援や職場でこの考え方を使うなら、「人の反応の奥にある安心・不安のパターンを見ること」が大切です。

相談者さんが何度も確認する。

利用者さんが急に距離を取る。

職員同士で話し合いがこじれる。

相手がすぐ防御的になる。

こういうとき、表面的には「しつこい」「冷たい」「面倒」「怒りっぽい」と見えるかもしれません。でも、その奥には、不安、傷つき、過去の経験、安心確認、自己防衛があるかもしれません。もちろん、相手の行動に困ることはあります。境界線も必要です。でも、理解の視点があると、対応は少しやわらかくなります。

たとえば、確認が多い人には、見通しを伝える。

「次はこの流れで進めます」

「確認はこの時間に一緒にしましょう」

「困ったときはここで聞けます」

距離を取りやすい人には、急に詰め寄らない。

「話せるところからで大丈夫です」

「今は整理する時間にしましょう」

「必要なときに声をかけてください」

こうした関わりは、相手の安心の形に少し合わせる工夫です。人間関係は、全員同じ充電器で充電できるわけではありません。端子が違うことがあります。無理に押し込むと壊れます。合う形を探すことが大切です。

ポーラ・R・ピエトロモナコさんの研究が教えてくれるのは、親しい関係は、ただ楽しいだけのものでも、ただ面倒なものでもないということです。関係は、心と体をつなぐ生活のインフラです。水道や電気のように、ふだんは当たり前に見えても、調子が悪くなると生活全体に影響します。

安心できる関係は、心を休ませる場所になります。

こじれた関係は、体の緊張を長引かせることがあります。

不安な愛着は、相手とのやり取りを通してストレスを強めることがあります。

でも、理解と工夫によって、関係の中に少しずつ安心を増やすこともできます。

つまり、人間関係は「運」だけではありません。育て方があります。話し方があります。距離の取り方があります。休ませ方があります。

ピエトロモナコさんの研究は、私たちにこう語りかけているようです。

「大切な人との関係を、心だけの問題だと思わないでください」

「そこには体の反応も、健康も、日々の回復も関わっています」

「だからこそ、安心して話せる関係を少しずつ作っていきましょう」

人間関係は、心のソファであり、ときには心拍数を上げるジェットコースターでもあります。できれば、毎日ジェットコースターでは疲れます。たまにはソファに座りたい。お茶もほしい。できればクッションもふかふかであってほしい。

ピエトロモナコさんの研究は、その「ふかふかクッション」をどう人間関係の中に置くかを教えてくれる研究です。人とつながることは、心を温めるだけでなく、体の緊張をゆるめ、毎日を少し生きやすくする力を持っているのです。

阿部牧歌(管理人)
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ポーラ・R・ピエトロモナコ(Paula R. Pietromonaco)の論文一覧

1.『親密さは、人と人とのやりとりの中で育つ――自分を語ること、相手が語ってくれること、そして「ちゃんと受けとめてもらえた」と感じることの大切さ』ジャン=フィリップ・ロランソー、リサ・フェルドマン・バレット、ポーラ・R・ピエトロモナコ(1998)

Laurenceau, Jean-Philippe, Barrett, Lisa Feldman, & Pietromonaco, Paula R. (1998). Intimacy as an Interpersonal Process: The Importance of Self-Disclosure, Partner Disclosure, and Perceived Partner Responsiveness in Interpersonal Exchanges. Journal of Personality and Social Psychology, 74(5), 1238-1251. DOI: 10.1037/0022-3514.74.5.1238

「親密さって、何でできるの?」という難題に、この論文はまっすぐ切り込みます。結論をざっくり言うと、ただ自分のことを話すだけでは足りません。相手も心を開き、しかも「ちゃんと受け止めてもらえた」と感じてはじめて、心の距離はぐっと縮むのです。つまり親密さは、ひとり芝居ではなく見事なキャッチボール。恋愛にも友情にも効いてくる、人間関係の“あたたまり方”をのぞける一本です。

阿部牧歌(管理人)
阿部牧歌(管理人)
この論文の要約を読む
【論文要約】人はどうやって親しくなるのか? 研究からわかった「わかってもらえた」が心を近づけるしくみ
【論文要約】人はどうやって親しくなるのか? 研究からわかった「わかってもらえた」が心を近づけるしくみ
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