オリバー・P・ジョン(Oliver P. John)の論文一覧:性格という“心の取扱説明書”を読み解く、ビッグファイブ心理学さんぽ
オリバー・P・ジョン(Oliver P. John)のプロフィール
オリバー・P・ジョンは、アメリカの心理学者で、カリフォルニア大学バークレー校の心理学部に所属する著名な研究者です。専門は、ざっくり言うと「人の性格って、どうやってできていて、どう測ればいいの?」という分野です。公式プロフィールでは、自己概念、自己認識の正確さや偏り、生涯にわたる性格発達、感情の経験や表現、文化差などが研究関心として紹介されています。
ジョン先生をひとことで言うなら、「性格という見えない生き物に、名前札をつけて整理した人」という感じです。人間の性格って、放っておくと「明るい」「まじめ」「ちょっとクセ強め」「朝だけ別人格」みたいに、言葉の森で迷子になりますよね。そこでジョン先生は、性格を測るための道具や考え方を整え、「人の性格をもう少し科学的に見てみましょう」と心理学の世界に大きな地図を広げた研究者です。
特に有名なのが、ビッグファイブと呼ばれる性格研究です。これは、人の性格を大きく5つの方向から見る考え方で、外向性、協調性、誠実性、神経症傾向、開放性などを扱います。ジョン先生は、このビッグファイブを測る質問紙、たとえば「ビッグファイブ尺度」関連の研究でよく知られています。性格診断の世界でいうと、かなり重要な測量士さんです。心の土地家屋調査士、ここに登場です。
また、彼の研究は「あなたはどんな性格ですか?」だけで終わりません。「自分ではこう思っているけれど、実際の自分はどうなのか」「性格は年齢とともに変わるのか」「感情の出し方や感じ方にはどんな個人差があるのか」といった、なかなか味わい深いテーマにも広がっています。カリフォルニア大学バークレー校の研究紹介でも、性格という個人の特徴が、状況や環境とどう関わり、その人の人生や社会的な結果に影響するかを研究していると説明されています。
つまり、オリバー・P・ジョンは、「性格って、ただの占いっぽい話でしょ?」という空気に対して、「いえいえ、ちゃんと測って、比べて、人生との関係まで見られますよ」と、白衣を着た案内人のように登場する人物です。人間観察を、井戸端会議から学問のテーブルへ運んできた人、と言ってもよいかもしれません。
参考文献・確認先:Oliver P. John 公式プロフィール / Google Scholar:Oliver P. John 論文・引用情報 / PubMed:Oliver P. John 関連論文 / UC Berkeley Research:Oliver John 研究者情報

オリバー・P・ジョン(Oliver P. John)の研究から学べること
オリバー・P・ジョン(Oliver P. John)の研究から学べることは、ひとことで言うと「人の性格は、なんとなくの印象だけで決めつけず、ちゃんと整理して見ていこうよ」ということです。
私たちはつい、「あの人は明るい」「この人はまじめ」「私は飽きっぽい」みたいに、性格をふわっとした言葉で語りますよね。まるで心の中に、ラベル貼り職人が住んでいるみたいです。「はい、あなたは人見知り」「はい、あなたは神経質」「はい、あなたは計画倒れ名人」みたいに、ぺたぺた貼ってしまう。
でも、ジョンさんの研究が教えてくれるのは、「ちょっと待って。そのラベル、もう少し丁寧に見てみませんか?」ということです。
ジョンさんは、性格心理学の中でも特に「ビッグ・ファイブ」と呼ばれる考え方に関わってきた研究者です。これは、人の性格を大きく5つの方向から見ようとする考え方です。たとえば、外向性、協調性、勤勉性、感情の安定性、開放性といったものです。ざっくり言うと、「人と関わるエネルギー」「人にやさしくできる傾向」「コツコツできる力」「不安や落ち込みへの揺れやすさ」「新しいものへの好奇心」みたいなものですね。ジョンさんは、この性格を測るための質問紙「ビッグ・ファイブ・インベントリー」の開発にも関わったことで知られています。
ここで大事なのは、「性格を測る」と聞いても、「あなたはこういう人です。以上、閉店ガラガラ」と決めつけるためのものではない、ということです。性格の研究は、心に判子を押すためのものではなく、自分の取り扱い説明書を少しずつ読めるようにするためのものです。
たとえば、自分は飽きっぽいと思っている人がいたとします。でもよく見てみると、「新しいことに興味を持ちやすい」という開放性の高さがあるのかもしれません。つまり、欠点だと思っていたものが、見方を変えると「新しい風を部屋に入れる才能」になることもあるわけです。逆に、まじめすぎて疲れる人も、「勤勉性が高いから、責任を抱え込みやすいんだな」とわかれば、自分を責めるより先に、荷物を少し下ろす工夫ができます。
ジョンさんの研究から学べる一番おいしいところは、「性格は善悪ではなく、傾向である」という見方です。外向的だから偉い、内向的だから損、という話ではありません。協調性が高い人は人に合わせるのが上手ですが、合わせすぎて自分の本音が迷子になることもあります。感情が揺れやすい人はしんどさを感じやすい一方で、小さな変化に気づける繊細なセンサーを持っているとも言えます。性格とは、長所と短所が表裏一体になった、ちょっとクセのある道具箱みたいなものなのです。
また、ジョンさんとクリストファー・J・ソト(Christopher J. Soto)による改訂版の性格尺度では、5つの大きな性格だけでなく、さらに細かい15の側面から見られるようになっています。つまり、「明るい人」「まじめな人」といった大ざっぱな見方だけでなく、「どんな場面でそうなりやすいのか」まで見ようとしているわけです。心の地図を、ただの世界地図から、路地裏まで載った町歩きマップにしていく感じですね。
この考え方は、日常生活にもかなり使えます。
たとえば職場で、「あの人、細かすぎるなあ」と思う相手がいたとしても、それは勤勉性の高さや慎重さの表れかもしれません。「あの人、反応が薄いなあ」と思う相手も、ただ内向的で、心の中ではしっかり考えているのかもしれません。性格を知ることは、人を箱に入れることではなく、箱だと思っていたものに窓をつけることです。
自分についても同じです。「私はダメだ」と一枚岩のように決めるのではなく、「私はこういう場面で不安になりやすい」「でも、新しいことへの興味はある」「人に合わせすぎるところがあるから、少し自分の希望も言ってみよう」と分けて考えられるようになります。心の中のぐちゃぐちゃした毛糸玉に、少しずつ色分けのリボンをつけていくようなものです。
オリバー・P・ジョンの研究は、「人間をもっと正確に、でももっとやさしく見るための研究」と言えるかもしれません。
性格は、人生の成績表ではありません。どちらかというと、自分という乗り物のハンドルのクセ、ブレーキの効き方、燃料の減り方を知るための説明書です。自分の性格を知ると、「なんで自分はこうなんだ」と責める時間が少し減り、「じゃあ、どう扱えばうまく走れるかな」と考えられるようになります。
つまり、ジョンさんの研究から学べることはこうです。
人は、ひとことで決めつけるには複雑すぎる。でも、何もわからないほど謎だらけでもない。性格を丁寧に見ていけば、自分にも他人にも、少しだけやさしい目を向けられるようになる。
性格心理学は、心に貼るレッテル作りではなく、人間という不思議な生き物を、もう少し上手に抱きしめるための知恵なのです。

オリバー・P・ジョン(Oliver P. John)の論文一覧
1.『感情を「見直す人」と「押し殺す人」は何が違うのか:感情・人間関係・幸福感に及ぼす影響』ジェームズ・J・グロス、オリバー・P・ジョン(2003)
Gross, J. J., & John, O. P. (2003). Individual Differences in Two Emotion Regulation Processes: Implications for Affect, Relationships, and Well-Being. Journal of Personality and Social Psychology, 85(2), 348–362. DOI:10.1037/0022-3514.85.2.348
感情って、心の中の小さな暴れん坊将軍ですよね。この論文は、その感情をどう扱うかに注目した研究です。ポイントは「考え方を変えて感情を整える人」と「表情や態度を押し殺す人」では、心の元気さや人間関係、幸福感にかなり差が出るというところ。前者は感情のハンドル操作がうまい運転手、後者は内側で火災報知器が鳴っているのに笑顔で会議に出る人、という感じです。感情との付き合い方を知ると、毎日のモヤモヤに少し取扱説明書がついてきます。

