エヴァン・R・アッシャー(Evan R. Asher)の論文一覧:うれしい出来事は、ひとりで抱えるともったいない。喜びの報告から人間関係がじんわり温まる、幸せ共有の心理学さんぽ

エヴァン・R・アッシャー(Evan R. Asher)の論文を読む女性
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エヴァン・R・アッシャー(Evan R. Asher)のプロフィール

エヴァン・R・アッシャーは、心理学の世界では「うれしい出来事、ひとりで抱えてないで誰かに話してみようよ」という、とても人間くさいテーマに関わった研究者として知られています。代表的に名前が出てくるのは、シェリー・L・ゲーブル、ハリー・T・リース、エミリー・A・インペットと共著した2004年の論文「良いことが起きたとき、人はどうするのか? ポジティブな出来事を共有することの個人内・対人関係へのメリット」です。この論文は『パーソナリティと社会心理学の専門誌』に掲載され、良い出来事を他者に話すことが、本人の気分や幸福感、さらに人間関係にどんな良い影響をもたらすのかを調べています。

アッシャーは当時、ロチェスター大学の「臨床・社会科学心理学部門」に所属していた研究者として記載されています。つまり、ざっくり言えば「人と人との関係」「感情のやりとり」「社会的なつながり」といった、心のキャッチボールを研究する畑にいた人物です。研究者プロフィールとして公開されている情報は多くありませんが、論文上ではハリー・T・リースと同じロチェスター大学側の研究者として位置づけられています。

この人の研究テーマをひと言でやさしく言うなら、「良いことがあったとき、それを誰にどう話すかで、幸せの育ち方が変わる」という感じです。たとえば、誰かに「今日、仕事でほめられたんです」と話したとき、相手が「へえ、よかったですね」で終わるのか、「それはすごいですね!どんなところをほめられたんですか?」と一緒に喜んでくれるのか。その反応ひとつで、心の中の小さな花火が、線香花火で終わるか、夏祭りの大玉になるかが変わるわけです。アッシャーが関わった研究は、まさにその“喜びの増幅装置”を心理学の虫めがねでのぞいたものだと言えます。

参考文献・確認先: ロチェスター大学掲載PDF:Gable, Reis, Impett & Asher(2004)論文 / PubMed:Evan R. Asher 関連論文 / Google Scholar:Evan R. Asher 論文・引用情報 / Semantic Scholar:Evan R. Asher 関連研究

阿部牧歌(管理人)
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エヴァン・R・アッシャー(Evan R. Asher)の研究から学べること

エヴァン・R・アッシャーさんの研究から学べることは、ひとことで言うと、「人間関係を育てるには、つらいときに支えるだけでなく、うれしいときに一緒に喜ぶこともめちゃくちゃ大事」ということです。

これ、けっこう見落とされがちです。

人間関係の支えというと、私たちはまず「困ったときに助ける」「落ち込んでいるときに話を聞く」「しんどいときにそばにいる」といった場面を思い浮かべます。もちろん、それは大切です。心の火事が起きたときに、バケツを持って駆けつけてくれる人はありがたいです。でも、人間関係は火事場だけで育つわけではありません。晴れた日に一緒に散歩してくれる人、よい知らせを一緒に喜んでくれる人、こちらの小さな成功に「それ、いいじゃないですか!」と灯りを足してくれる人。そういう存在も、関係を深くしてくれます。

アッシャーさんは、シェリー・ゲーブルさん、ハリー・T・レイスさん、エミリー・A・インペットさんとともに、「よい出来事を人に話すこと」の効果を研究しました。2004年の論文では、うれしい出来事を他者に伝えることが、本人の気分や幸福感、そして人間関係にどのようなよい影響をもたらすのかが調べられています。この研究は『Journal of Personality and Social Psychology』に掲載され、「よいことが起きたとき、人はそれを誰かに話すことで、さらによい効果を得ることがある」と示した重要な研究として引用されています。

ここで大事なのは、「よいことは、ひとりで持っているだけでもうれしい。でも、誰かに喜んでもらえると、さらにふくらむ」という点です。

たとえば、仕事でほめられたとします。自分の中でも「やった」と思いますよね。でも、それを誰かに話したときに、「へえ、よかったね」で終わるのと、「え、それすごいですね!どんなところを評価されたんですか?」と前のめりで喜んでくれるのとでは、心の広がり方が違います。前者は、炭酸の抜けたサイダー。後者は、開けた瞬間にしゅわっと弾ける祝福ソーダです。

アッシャーさんたちの研究から学べる一つ目のことは、「よい出来事は、共有すると味が濃くなる」ということです。

うれしいことを人に話すのは、ただの自慢ではありません。もちろん、言い方によっては自慢大会になることもあります。そこは心の司会者に気をつけてもらいましょう。でも本来、よい出来事を誰かに話すことは、「この喜びを一緒に持ってほしい」という自然な行動です。人は、つらさだけでなく、喜びも分かち合いたい生き物なのです。

そして、相手がうれしい知らせを持ってきたときの反応も、とても大切です。

ゲーブルさんたちの後の研究でも、よい出来事を話したとき、相手が積極的に、関心をもって、喜びながら反応してくれることが、関係の満足感や親密さと関係することが示されています。つまり、「よかったね」と心から一緒に喜べる人は、人間関係の中でかなり強い存在なのです。

ここから二つ目の学びが出てきます。「人間関係では、相手の成功や喜びにどう反応するかが、信頼の貯金になる」ということです。

たとえば、友人が「資格試験に受かった」と言ったとき。家族が「今日、上司にほめられた」と言ったとき。利用者さんが「今日は作業を最後までできた」と言ったとき。そこで、「そうなんですね。では次はこれを」と流してしまうと、もったいないです。せっかく心の小鳥が肩にとまったのに、こちらが無表情で事務処理してしまうようなものです。

そういうときは、少しだけ立ち止まる。

「それはうれしいですね」
「どんなところがよかったんですか?」
「頑張っていたことが形になりましたね」
「その話、もう少し聞かせてください」

こうした反応は、相手の喜びを増やします。喜びは、誰かに受け止められると、ただの出来事から「大切な思い出」に変わります。心のアルバムに、ちゃんと写真として貼られる感じです。

三つ目の学びは、「支援とは、悲しみに寄り添うことだけではない」ということです。

支援の現場では、困りごとに目が向きやすいです。何ができないか。どこでつまずいているか。何に不安があるか。もちろん、それを見ることは大事です。でも、それだけだと、支援が“問題探しの探偵事務所”になってしまいます。虫眼鏡を持って、困りごとばかり追いかける。すると、本人の中にある「できた」「うれしい」「ちょっと進んだ」が見えにくくなります。

アッシャーさんたちの研究が教えてくれるのは、よい出来事への反応も、人を支える大切な力だということです。誰かが小さな成功を話してくれたら、それをちゃんと受け止める。広げる。一緒に喜ぶ。これは、心の栄養補給です。ビタミン喜びです。足りないと、人間関係がじわじわ乾燥します。

四つ目の学びは、「喜びを共有するには、相手の話を奪わないことが大切」ということです。

よくあるのが、相手がうれしい話をした瞬間に、「私も前にね」と自分の話に切り替えてしまうパターンです。悪気はないんです。むしろ共感のつもりだったりします。でも、相手からすると、せっかく持ってきた花束を、こちらがさっと奪って自分の花瓶に挿してしまう感じになります。花泥棒、現る。

相手のよい知らせには、まず相手の話の中にとどまることが大切です。

「あなたにとって、それはどんな意味がありましたか」
「どんな気持ちになりましたか」
「そこまでに何を頑張ったんですか」

こう聞くと、相手は自分の喜びをもう一度味わえます。これは、人間関係の中でかなりあたたかい反応です。相手の喜びの部屋に入って、勝手に家具を動かさず、まず「いい部屋ですね」と座らせてもらう感じです。

五つ目の学びは、「よい出来事を話せる相手がいることは、人生の安心につながる」ということです。

つらい話をできる相手も大切です。でも、うれしい話をできる相手も同じくらい大切です。なぜなら、人は、自分の幸せを喜んでもらえると、「この人は自分の人生の明るい部分も大事にしてくれる」と感じられるからです。

逆に、よいことを話すたびに、水を差されたり、比べられたり、無関心だったりすると、人はだんだん話さなくなります。「どうせ言っても反応薄いし」「また否定されるかも」と思って、喜びを心の引き出しにしまい込むようになります。これは少し寂しいです。喜びは、しまいっぱなしにすると、光を失います。

だから、よい関係を育てたいなら、相手の喜びにちゃんと参加することです。大げさでなくてもいい。演劇部の発声練習みたいに「すごぉぉぉい!」と叫ばなくてもいい。大切なのは、関心を向けること。心を少し前に出すことです。

日常に置き換えるなら、アッシャーさんの研究はかなり使えます。

家族が小さな成功を話したら、スマホを見ながらではなく、顔を上げて聞く。職場で誰かが「うまくいきました」と言ったら、すぐ次の指示に進まず、一言ねぎらう。支援の現場で利用者さんが「できました」と言ったら、「できた」という事実を一緒に確認する。こういう小さな反応が、関係の土をふかふかにしてくれます。

そして、自分自身も、よいことがあったら誰かに話していいのです。

「自慢みたいかな」と遠慮しすぎなくても大丈夫です。もちろん、相手への配慮は必要ですが、うれしいことを分かち合うのは自然なことです。よい出来事を誰かに話すことで、その出来事のうれしさがもう一度立ち上がります。心の中で、喜びが二度炊きされるのです。炊き込みご飯ならぬ、炊き込み幸福です。

エヴァン・R・アッシャーさんの研究から学べることをまとめるなら、「人間関係は、つらいときの支えだけでなく、うれしいときの反応によっても深まる」ということです。

人は、悲しみを分け合いたい。
でも、喜びも分け合いたい。
困ったときに助けてくれる人は大切。
でも、うれしいときに一緒に笑ってくれる人も、同じくらい大切です。

アッシャーさんの研究は、心にこう語りかけているように思います。

「誰かのよい知らせを、ただ聞き流さないでください。そこには、関係を育てる種が入っていますよ。」

これは、とてもやさしい知恵です。人間関係は、大きな事件への対応だけで決まるわけではありません。日々の小さな「よかったね」「それはうれしいね」「もっと聞かせて」という反応で、少しずつ育ちます。

喜びは、ひとりで持つと灯りです。
誰かと分け合うと、ランタンになります。
そして、そのランタンが増えるほど、人間関係の夜道は少し歩きやすくなるのです。

阿部牧歌(管理人)
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エヴァン・R・アッシャー(Evan R. Asher)の論文一覧

1.『うまくいったとき、人は何をするのか? ポジティブな出来事を分かち合うことが、自分の心と人間関係にもたらす恵み』シェリー・L・ゲイブル、ハリー・T・リース、エミリー・A・インペット、エヴァン・R・アッシャー(2004)

Gable, S. L., Reis, H. T., Impett, E. A., & Asher, E. R. (2004). What do you do when things go right? The intrapersonal and interpersonal benefits of sharing positive events. Journal of Personality and Social Psychology, 87(2), 228–245. DOI: 10.1037/0022-3514.87.2.228

「いいことあった!」を誰かに話す。たったそれだけで、心の中の小さな花火がもう一発ドンと上がるかもしれません。この論文は、うれしい出来事を人に共有すると、本人の幸福感や人間関係にどんな良い変化が起きるのかを調べた研究です。しかも大事なのは、聞き手の反応。「ふーん」で流されると花火は湿気りますが、「それすごい!もっと聞かせて!」と喜んでもらえると、幸せは増量キャンペーンに突入。喜びは、分けると減るどころか、むしろふくらむのです。

阿部牧歌(管理人)
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この論文の要約を読む
【心理学論文】なぜ人はうれしいことを誰かに話したくなるのか? 研究が示した3つのポイント
【心理学論文】なぜ人はうれしいことを誰かに話したくなるのか? 研究が示した3つのポイント
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