デニス・R・ケリー(Dennis R. Kelly)の論文一覧:才能が近道を探す横で、粘り強さの歩数を数えていた研究者
デニス・R・ケリー(Dennis R. Kelly)のプロフィール
デニス・R・ケリーは、アメリカの陸軍士官学校ウェストポイントで、人の性格や心の強さと、その後の成果との関係を研究してきた心理学者です。
「陸軍士官学校の研究者」と聞くと、迷彩服を着て双眼鏡をのぞきながら、「あの学生は根性がありそうだ」と判断している姿を想像するかもしれません。
もちろん、そんな野生の勘だけで研究しているわけではありません。
ケリーが見つめてきたのは、試験の点数や運動能力だけでは測りきれない、人間の内側にある力です。
つらくても続けられるか。失敗しても立て直せるか。目標を途中で投げ出さず、今日も靴ひもを結び直せるか。
いわば、成績表の余白に隠れている「この人は、ここからどこまで歩けるのだろう」という部分を、数字で確かめようとした研究者なのです。
人の「強み」は、成果につながるのか
公開されている著者略歴によると、ケリーはニューヨーク市立大学大学院センターで博士号を取得し、ウェストポイントで研究心理学者として勤務してきました。主な関心は、人が持つ人格的な強みと、学業・身体・軍事訓練などの成果との関係です。
なんとも硬そうな研究分野です。
「人格的な強みと成果との関連を検討します」
そう言われると、会議室の空気まで四角くなりそうですが、問いそのものは私たちの生活にもつながっています。
同じくらいの能力を持っているはずなのに、なぜ最後まで続けられる人と、途中で離れてしまう人がいるのか。
入学試験の点数が高ければ、その後もうまくいくのか。それとも、試験では見えない別の力が必要なのか。
ケリーの研究は、こうした素朴でありながら答えにくい疑問を、士官候補生たちの長期的な記録から調べていくものでした。
「やり抜く力」を世界に広めた論文の一人
ケリーの名前が広く知られるきっかけとなったのが、アンジェラ・ダックワース、クリストファー・ピーターソン、マイケル・D・マシューズと共同で発表した、2007年の「長期的な目標に対する粘り強さと情熱」に関する論文です。
この研究で注目されたのが、日本では一般に「やり抜く力」と訳される性格的な特徴でした。
研究では、成人、大学生、ウェストポイントの士官候補生、全国規模の英単語つづり大会の参加者など、異なる集団が調べられました。その結果、長期的な目標に向けて努力を続ける傾向は、学歴、大学での成績、士官学校に残る可能性、大会での順位などと関係していました。成功の違いを説明する割合は平均すると約4%であり、万能の魔法ではないものの、無視できない一片だったのです。
4%と聞くと、
「えっ、意外と小さくないですか」
と思うかもしれません。
けれど、人の成功は一つの性格だけで決まるものではありません。家庭環境、能力、教育、健康、運、周囲の支援など、人生という鍋には、さまざまな材料が放り込まれています。
その複雑な鍋の中から、「努力を続ける性格にも、確かに独自の役割がありそうだ」と見つけたことに、この研究の意味がありました。
ケリーたちは、才能を王様の椅子から引きずり下ろしたわけではありません。
ただ、その隣にもう一脚、少し地味な椅子を置いたのです。
椅子の背もたれには、こう書かれていました。
「続ける力も、ここに座ってよろしい」
入学できる人と、卒業まで歩ける人は同じなのか
ケリーはその後も、ウェストポイントの士官候補生を対象に、「やり抜く力」と、困難に負けにくい心の丈夫さについて研究を続けました。
2014年に筆頭著者として発表した研究では、2009年と2010年の卒業期に属する計1,558人を対象に、入学直後の基礎訓練から卒業までの約4年間を追っています。
ここで興味深いのは、ひと口に「根性」と言っても、中身は一枚岩ではなかったことです。
最初の厳しい基礎訓練を乗り越えられるかどうかには、目標への関心を保つ力や、自分の役割に関わり続ける姿勢が関係していました。一方、基礎訓練を終えたあと、卒業まで長く続けられるかどうかには、努力を持続する傾向が関係していました。
つまり、最初の坂道を登る力と、その後の長い平地を歩き続ける力は、まったく同じではなかったのです。
入学試験の成績は、学業や軍事面の成果を予測するうえで依然として重要でした。しかし、努力の継続や心の丈夫さを加えることで、その人が卒業まで残る可能性や、学業・軍事訓練・身体面でどのような成果を上げるかを、もう少し詳しく捉えられることが示されました。
ここから見えてくるのは、「頭がよければ全部大丈夫」という単純な世界ではありません。
試験に合格する力は、玄関の鍵を開けてくれます。
けれど、建物の中には長い廊下があり、階段があり、雨漏りする日もあります。最後の部屋までたどり着くには、鍵とは別の道具も必要なのです。
ケリーが研究したのは、その道具箱の中身だったと言えるでしょう。
「努力すれば何でもできる」と言った研究者ではない
やり抜く力の研究は、ときどき「とにかく努力せよ」という精神論として受け取られます。
しかし、ケリーたちの研究結果は、それほど乱暴ではありません。
学業では入学時の能力が重要であり、軍事面や身体面では、それぞれ異なる性格的特徴が関係していました。努力の継続だけですべてを説明できたわけではなく、状況によって役立つ強みが違っていたのです。
たとえば、スプーンが優れた道具だからといって、スプーン一本で家を建てようとすれば、さすがのスプーンも困ります。
粘り強さも同じです。
続ける力は大切ですが、正しい目標、基礎能力、周囲からの支援、休息、環境との相性も必要です。
ケリーの研究のおもしろさは、根性を大声で礼賛したことではなく、「どんな心の強みが、どんな場面で役立つのか」を細かく分けて調べたところにあります。
朝型か夜型かまで調べ始める
ケリーの関心は、やり抜く力だけにとどまりません。
後年の共同研究では、士官候補生1,149人を入学時から卒業まで追跡し、朝型・夜型の傾向、感情の状態、心の丈夫さ、入学時の能力が、その後の成果とどう関係するかを調べています。
その結果、朝型の傾向は身体面と軍事面のよい成果に関係し、否定的な感情が少ないことは、学業・身体・軍事のすべてでよい成果と関連していました。一方、心の丈夫さとの関連が確認されたのは、主に軍事面の成果でした。
ここでも、答えはきれいな一本線にはなりません。
朝型だから全部うまくいくわけでもなければ、心が強ければ試験の点数まで自動的に上がるわけでもありません。
人間の成果は、才能、習慣、感情、性格、置かれた環境が、台所の引き出しの中で箸や輪ゴムと一緒になっているようなものです。
ケリーは、そのごちゃごちゃした引き出しを一段ずつ開け、「これは何に使われているのだろう」と確かめ続けました。
有名な概念の後ろで、静かに数字を支えた人
「やり抜く力」と聞けば、多くの人はアンジェラ・ダックワースの名前を思い浮かべるでしょう。
一方、デニス・R・ケリーは、一般向けの本や講演で前面に立つというより、ウェストポイントという実際の教育現場で、長期間にわたる記録を分析し続けてきた研究者です。
華やかな理論の看板を立てる人がいる一方で、その看板が風で飛ばされないよう、地面に杭を打つ人もいます。
ケリーは、おそらく後者に近い研究者です。
才能だけで人を決めつけない。しかし、努力だけを神様にもしない。
人は何を持って困難を越えるのか。どの強みが、どの場面で働くのか。そして、入学時には見えなかった何が、数年後の姿を分けるのか。
ケリーの論文を読んでいると、「人間は一つの数字では測れない」という、ごく当たり前で忘れやすい事実が見えてきます。
成績表には点数が並びます。
けれど、その人が何度靴ひもを結び直したのかは、書かれていません。
デニス・R・ケリーは、その見えない回数を、心理学の数字に変えようとしてきた研究者なのです。
参考文献・確認先:米国陸軍士官学校:デニス・R・ケリーの研究業績掲載資料 / SAGE Journals:デニス・R・ケリーの著者略歴・関連論文 / Google Scholar:Dennis R. Kelly 論文・引用情報 / PubMed:Dennis R. Kelly 関連論文

デニス・R・ケリー(Dennis R. Kelly)の研究から学べること
デニス・R・ケリーの研究から学べることは、ひと言でまとめるなら、「人は、最初に持っていた能力だけで最後まで決まるわけではない」ということです。
もちろん、能力は大切です。
知識が必要な場面では知識が役に立ちますし、体力が必要な場面では体力が助けになります。計算問題を前にして、「私は粘り強い人間です」と胸を張っても、答えが空から降ってくるわけではありません。
けれど、能力があるだけで、長い道のりを最後まで歩けるとも限りません。
学校、仕事、資格の勉強、人間関係。私たちの人生には、始める力だけでなく、続ける力が必要になる場面がたくさんあります。
ケリーの研究は、能力という立派なエンジンの隣に、「途中で降りずに走り続ける力」という、もう一つの部品があることを教えてくれます。
才能は入場券でも、完走証明書ではない
ある学校や職場に入るとき、私たちは試験の点数や経歴、資格などで評価されます。
これは言ってみれば、建物の入口で見せる入場券です。
「はい、あなたは中に入ってよろしい」
ここまでは能力や実績が大きな役割を果たします。
しかし、入口を通った瞬間に物語が終わるわけではありません。むしろ、そこからが本編です。
課題が難しくなる日もあれば、思ったような結果が出ない日もあります。周囲の人が自分より優秀に見えて、「すみません、私は入口を間違えました」と受付へ戻りたくなる夜もあるでしょう。
ケリーたちの研究が示したのは、こうした長い過程では、目標に向けて努力を続ける傾向も重要になるということでした。
ここで大切なのは、「才能なんて必要ない」という話ではないことです。
才能はあります。能力も必要です。ただし、それだけでは説明できない部分がある。
速い車を持っていても、途中で燃料が切れれば目的地には着きません。反対に、燃料がたっぷりあっても、車輪が一つなければ庭をぐるぐる回るだけです。
人の成果は、一つの力だけで決まるほど単純ではないのです。
「始める根性」と「続ける根性」は少し違う
ケリーの研究から見えてくる興味深い点の一つは、困難なことを始める力と、長期間続ける力が、必ずしも同じではないことです。
新しいことを始めるとき、人はわりと元気です。
新しい手帳を買った日には、予定を色分けして、「今年の私は違う」と未来の自分に圧をかけます。
資格の参考書を買った日には、最初の十ページを勢いよく読み、「これは三か月でいける」と根拠の薄い自信が湧いてきます。
問題は、その参考書が机の風景になり始める三週間後です。
最初の厳しい環境に飛び込む力と、慣れや疲れが出てからも淡々と続ける力は、別々に考えたほうがよいのです。
これは、続かない自分を責める前に、「自分はどの段階で止まりやすいのか」を考えるヒントになります。
始める前に不安で動けない人もいます。
始めることはできるけれど、成果が出ないと急に心がしぼむ人もいます。
最初は元気でも、単調な繰り返しに弱い人もいます。
どれも「意志が弱い」の一言で片づける必要はありません。
止まりやすい場所が違うなら、必要な対策も違います。
始める前に止まる人には、最初の一歩を小さくする工夫が役立ちます。
途中で飽きる人には、記録や変化を加える工夫が必要です。
失敗で止まる人には、結果ではなく取り組んだ回数を見る方法が助けになるでしょう。
根性を鍛えるというより、根性が迷子になりやすい交差点に、案内板を立てるのです。
続けることと、しがみつくことは違う
「やり抜く力」が大切だと聞くと、どんなことでも最後まで続けなければならないように感じるかもしれません。
しかし、ここには注意が必要です。
続けることは大切ですが、間違った方向へ全速力で走り続ければ、目的地からは元気よく遠ざかっていきます。
「五年間も続けたのだから、もう引き返せない」
「ここで辞めたら、今までの努力が無駄になる」
そんなふうに考えてしまうことがあります。
けれど、合わない仕事、健康を壊す環境、意味を感じられなくなった目標から離れることは、必ずしも敗北ではありません。
やり抜く力とは、どんな壁にも頭から突っ込む力ではないのです。
本当に大切なのは、自分が大事にしたい目的を見失わず、その目的に合う方法を試し続けることです。
方法は変えてもいい。
休んでもいい。
誰かに助けてもらってもいい。
ときには目標そのものを見直してもいい。
「毎日二時間勉強する」と決めて続かなかったなら、三十分に減らしてもかまいません。
毎日できないなら、週三回でもいい。
紙の参考書が苦痛なら、動画や音声を使ってもいい。
大切なのは、最初に決めた方法へ忠誠を誓うことではなく、自分が進みたい方向と関係を切らないことです。
心の強さは、我慢大会の優勝者になることではない
ケリーは、粘り強さだけでなく、困難な状況に向き合う心の丈夫さについても研究しました。
心が丈夫な人と聞くと、何を言われても動じず、雨にぬれても眉一つ動かさない人物を想像するかもしれません。
けれど、本当の心の強さは、痛みを感じないことではありません。
苦しいときに「苦しい」と気づき、それでも自分にできる行動を探せることです。
疲れているのに「まだいける」と言い続けるのは、強さではなく、心の警告灯にガムテープを貼っているだけかもしれません。
車なら整備工場へ連れていくのに、自分の心となると「気合で走れ」と急に扱いが雑になる。人間とは、なかなか不思議な生き物です。
困難に耐える力には、休息も含まれます。
相談する力も含まれます。
自分の状態を言葉にする力も含まれます。
粘り強い人とは、倒れない人ではありません。
倒れたあとに、自分に合った起き上がり方を少しずつ覚えていく人なのです。
成果には、場面ごとに違う力が必要になる
ケリーの研究からは、「この性格さえあれば全部うまくいく」という万能の性格は見つかりません。
学業で成果を出すために役立つ力と、身体的な課題を乗り越えるために役立つ力は、必ずしも同じではありません。
人をまとめる仕事で必要な強みと、一人で細かな作業を続ける仕事で必要な強みも違います。
これは、私たちにとって少し安心できる話です。
ある場所でうまくいかなかったからといって、「自分は何をやっても駄目な人間だ」と結論づける必要はないからです。
魚が木登りの試験を受けて落第したとしても、魚の人生が終わるわけではありません。
むしろ、試験会場の選び方に少々問題があります。
人には、力を発揮しやすい場所と、消耗しやすい場所があります。
大勢の前で話すことは苦手でも、一対一なら相手の話を丁寧に聞ける人がいます。
急な判断は苦手でも、時間をかければ正確な仕事ができる人がいます。
新しい企画を次々と考えるのは得意でも、細かな管理は苦手な人もいます。
大切なのは、強みがあるかないかではありません。
自分の持っている強みが、今いる場所で使われているかどうかです。
うまくいかないとき、自分を丸ごと否定するのではなく、「この場所では、どんな力が求められているのだろう」「自分の得意な力は、別の形で使えないだろうか」と考える。
その視点を、ケリーの研究は与えてくれます。
成功した人より、残り続けた人を見る
私たちは、成功者の華やかな結果に目を奪われがちです。
合格した人、優勝した人、昇進した人。
けれど、ケリーの研究が見つめたのは、結果だけではありません。
途中で誰が残り、誰が離れたのか。
長い期間の中で、どんな特徴が成果と結びついたのか。
つまり、花が咲いた瞬間だけでなく、その前に水をやり続けた日々を見ていたのです。
これは、自分の成長を見るときにも役立ちます。
大きな成果が出ていないと、私たちは「何も進んでいない」と感じます。
しかし、昨日も机に座った。
今日も職場へ行った。
一度断られても、もう一度応募した。
体調が悪い日は休み、少し回復してから戻った。
こうした行動は、表彰状には書かれません。
けれど、長期的な成果を支えているのは、たいてい、この表彰されない日々です。
成功とは、ある日突然、天井を突き破って降ってくる金色の玉ではありません。
目立たない小さな行動が、押し入れの奥で少しずつ発酵して、ある日ようやく味が出てくるようなものです。
成果がまだ見えなくても、続けた回数は消えません。
自分を励ますなら、「もっと頑張れ」より「続けやすくしよう」
ケリーの研究を日常に生かすなら、自分に精神論を投げつけるより、努力を続けやすい仕組みをつくることが大切です。
「もっと根性を出せ」
これほど便利で、これほど具体性のない言葉もありません。
根性を出すボタンが体のどこかにあるなら、話は早いのですが、残念ながら取扱説明書には載っていません。
それよりも、行動を小さくするほうが現実的です。
本を一冊読むのが重いなら、二ページ読む。
運動を一時間するのが難しいなら、五分歩く。
毎日記事を書くのが苦しいなら、見出しだけ考える日をつくる。
大きな行動を気合で押し通すのではなく、小さな行動を繰り返せる形にするのです。
人は、立派な一回より、地味な十回によって変わることがあります。
今日の五分は、見た目こそ小さいものです。
けれど、明日の五分と手をつなぎ、来週の五分を連れてくれば、やがて無視できない長さになります。
粘り強さとは、歯を食いしばり続ける顔の筋肉ではありません。
「明日もできる程度に、今日を終える力」なのかもしれません。
ケリーの研究が教える、静かな希望
デニス・R・ケリーの研究は、人間を単純な勝ち組と負け組に分けるものではありません。
むしろ、人にはさまざまな力があり、その力が役立つ場面も違うことを教えてくれます。
能力は大切です。
努力も大切です。
心の丈夫さも、感情の状態も、生活習慣も、周囲の環境も大切です。
どれか一つだけで人の未来を決めることはできません。
それは裏を返せば、今の一つの評価だけで、あなたの可能性が決まりきるわけではないということです。
試験の点数が低かった。
仕事で失敗した。
一度続かなかった。
だからといって、「自分には何もない」と結論づける必要はありません。
人の未来は、一枚の成績表よりもずっと広くできています。
昨日まで続かなかった人が、続けやすい方法を見つけることもあります。
自分に合わない場所で苦しんでいた人が、別の環境で力を発揮することもあります。
一度立ち止まった人が、休んだことで前より遠くまで歩けることもあります。
ケリーの研究から学べるのは、「根性を出せ」という厳しい号令ではありません。
才能だけで自分を決めなくていい。
一度の失敗だけで自分を閉じなくていい。
続ける力は、生まれつき完成しているものではなく、環境や方法を整えながら育てていける。
そんな、静かで実用的な希望です。
大きな目標の前で足が止まったときは、無理に英雄にならなくてもかまいません。
まずは、明日も戻ってこられる一歩を選ぶ。
その小さな一歩こそが、長い道のりでは、案外いちばん粘り強い一歩なのです。

デニス・R・ケリー(Dennis R. Kelly)の論文一覧
1.『やり抜く力「グリット」:長い目標を追い続ける情熱と粘り強さ』アンジェラ・L・ダックワース、クリストファー・ピーターソン、マイケル・D・マシューズ、デニス・R・ケリー(2007)
Duckworth, A. L., Peterson, C., Matthews, M. D., & Kelly, D. R. (2007). Grit: Perseverance and passion for long-term goals. Journal of Personality and Social Psychology, 92(6), 1087–1101.
DOI:10.1037/0022-3514.92.6.1087
「才能がある人が勝つんでしょ?」と聞かれた研究者たちは、首をかしげました。「でも、才能が途中で帰宅したらどうします?」この論文が追いかけたのは、長い目標に情熱を持ち、地味な努力を続ける“やり抜く力”です。陸軍士官学校の候補生や全国規模の英単語つづり大会の参加者などを調べると、能力だけでは説明できない粘り強さが、脱落しにくさや成績と結びついていました。成功の主役は才能か、努力か。それとも二人羽織なのか。根性論をデータの机に座らせた、読み応えのある一篇です。

