コートニー・L・ゴスネル(Courtney L. Gosnell)の論文一覧:うれしい報告にどう返す? 愛と友情の“リアクション芸”から、人間関係のぬくもりを測る心理学さんぽ
コートニー・L・ゴスネル(Courtney L. Gosnell)のプロフィール
コートニー・L・ゴスネルさんは、アメリカのペース大学で心理学を教えている研究者です。現在は同大学の心理学分野の教員として紹介されており、近しい人間関係や社会的サポート、感情、幸福感などを研究しています。ざっくり言うと、「人はつらいときに支え合うけれど、うれしいときにどう反応してくれるかも、実はめちゃくちゃ大事なのでは?」という、人間関係の“温度計”みたいなテーマを扱っている先生です。
たとえば、友人が「仕事でほめられた!」と言ってきたときに、「へえ、よかったね」で終わるのか、「えっ、それすごいじゃないですか!どんなふうに言われたんですか?」と一緒に喜ぶのか。ゴスネルさんの研究は、こういう日常の小さな反応に虫めがねを当てます。まるで、会話の中にひそむ“心の握手”を探している感じです。
代表的な研究のひとつに、シェリー・L・ゲーブルさんたちとの論文「身近な人は、よい出来事にどう反応するのか」という内容の研究があります。この論文では、悪い出来事への支援だけでなく、よい出来事を話したときに周囲がどう反応するかが、人間関係の安心感や支えられている感覚に関わることが示されています。つまり、「困ったときに助けてくれる人」だけでなく、「うれしいときにちゃんと喜んでくれる人」も、心の避難所になるわけです。
ペース大学の記事でも、ゴスネルさんの研究は「よい時も悪い時も、人がどのように近しい関係を保ち、支え合うのか」に注目していると紹介されています。特に、よい出来事を共有したときの反応、つまり「喜びを分け合う支援」に焦点を当てている点が特徴です。これは日本語でいうなら、「お祝い上手な人は、人間関係を育てる名人かもしれない」という話ですね。
また、彼女の研究領域は恋人や友人などの親密な関係だけにとどまらず、リーダーシップ、学生同士のつながり、組織の中での支援などにも広がっています。ResearchGate上では、ペース大学心理学部に所属していることや、社会的サポート、リーダー育成、学生のつながりなどに関する研究が確認できます。
なので、コートニー・L・ゴスネルさんをひと言で紹介するなら、「人間関係の中で、喜びがどう受け止められるかを研究する心理学者」です。悲しみの雨の日に傘を差し出すことも大事。でも、晴れた日に「その光、いいですね」と一緒に空を見上げてくれることも、同じくらい大事。ゴスネルさんの研究は、そんな見落とされがちな“うれしい日の支え合い”を、心理学の言葉で丁寧にすくい上げているのだと思います。
参考文献・確認先:Courtney L. Gosnell 公式プロフィール(Pace University) / Google Scholar:Courtney L. Gosnell 論文・引用情報 / PubMed:Courtney L. Gosnell 関連論文 / Pace University:Courtney Gosnell 研究紹介記事

コートニー・L・ゴスネル(Courtney L. Gosnell)の研究から学べること
コートニー・L・ゴスネル(Courtney L. Gosnell)の研究から学べることは、ひとことで言うと、「人間関係は、つらいときに助け合うだけでなく、うれしいことを一緒に喜べるかどうかで、じわじわ強くなる」ということです。
これ、地味に見えて、かなり大事です。私たちは「支え合い」と聞くと、どうしても困ったときの助けを思い浮かべます。落ち込んだときに話を聞いてくれる。失敗したときに慰めてくれる。病気のときにおかゆを作ってくれる。もちろん、これは大切です。人生には、ときどき心の道路に落石がありますからね。誰かが「大丈夫?」と来てくれるだけで、かなり救われます。
でもゴスネルさんの研究が面白いのは、「よい出来事があったとき、周りの人がどう反応するか」も、人間関係にとってすごく大切だと見ているところです。ペース大学の紹介によると、ゴスネルさんは親しい人間関係、支え合い、感情的なつながり、そしてよいニュースを共有したときの反応などを研究している心理学者です。特に、昇進、婚約、目標達成など、うれしい出来事を人に話したとき、相手がどう受け止めるかが、支えられている感覚や関係の質に関わるとされています。
たとえば、あなたが「今日、仕事でほめられたんです!」と話したとします。そこで相手が「へえ、よかったね」とスマホを見ながら返したら、どうでしょう。言葉としては祝っています。でも心には届きにくい。まるで、冷めたたこ焼きを紙皿ごと渡された感じです。食べられなくはない。でも、なんか違う。
一方で、「え、すごいですね!どんなところをほめられたんですか?」と身を乗り出してくれたらどうでしょう。うれしさが二倍になります。心の中で小さなくす玉が割れます。自分のよい出来事が、相手の反応によって、さらにあたたかい記憶になるのです。
ここから学べるのは、「人の喜びにちゃんと反応する力」は、ただの愛想ではなく、人間関係の栄養になるということです。人は、困ったときに助けられるとうれしい。でも、うれしいときに一緒に喜んでもらえると、「この人は自分の人生の明るい部分も大事にしてくれるんだ」と感じます。これはかなり深い安心感です。
考えてみると、つらいときに寄り添うのは「雨の日に傘を差す」ようなものです。もちろん大切です。でも、よい出来事を一緒に喜ぶのは「晴れた日に一緒に空を見上げる」ようなものです。人間関係は、雨の日だけでできているわけではありません。晴れの日の記憶も、関係の骨になります。
ゴスネルさんの研究から考えると、よいニュースを聞いたときの反応には、かなり差があります。いちばん関係を温めるのは、相手の喜びに関心を持って、前向きに反応することです。「よかったね」で終わらせず、「それはうれしいですね」「どういう流れだったんですか」「頑張っていたことが伝わったんですね」と、相手の喜びを少し広げてあげる。これは、喜びに水をやるような反応です。小さな芽が、にょきっと伸びます。
逆に、せっかく相手が喜びを持ってきたのに、「でも次が大変だよね」「調子に乗らないほうがいいよ」「それって本当にすごいの?」と返してしまうと、喜びの風船に針を刺すことになります。本人としては現実的な助言のつもりでも、相手の心では「しゅるしゅるしゅる」と空気が抜けていきます。もちろん、必要な注意をする場面もあります。でも、相手がまず喜びを分かち合いたくて話しているときには、最初に受け止めることが大切です。
これは仕事でも使えます。部下や同僚が「できました」「うまくいきました」と報告してきたとき、すぐに改善点だけを言うと、相手の心は「提出した瞬間に赤ペンで全身を塗られた」みたいになります。もちろん改善点は大事です。でもその前に、「そこまで進めたんですね」「ここはよかったですね」と受け取る。すると、相手は自分の努力が見てもらえたと感じます。人は、見てもらえた場所から、もう少し頑張れるのです。
恋愛や夫婦関係でも同じです。パートナーが「今日こんないいことがあって」と話してきたとき、そこは関係を育てるチャンスです。大げさに拍手喝采しなくてもいいのです。家の中で突然ファンファーレを鳴らす必要はありません。でも、「それはうれしいね」「聞かせて」「よく頑張ったね」と返すだけで、相手の一日が少し光ります。
ゴスネルさんの研究は、「支え合い」を暗い場面だけのものにしません。人間関係には、悲しみを半分にする働きもありますが、喜びを二倍にする働きもあります。これがいいところです。人とのつながりは、救急箱であると同時に、花瓶でもあるのです。傷を手当てするだけでなく、よい出来事を飾っておく場所にもなる。
さらにゴスネルさんは、政治的な考え方の違いがある親しい関係についても研究していると紹介されています。家族、きょうだい、恋人など、近い関係の中で意見が違うときに、その関係をどう保つのかというテーマです。これは現代らしい大切な視点です。世の中の空気が分断されやすいときでも、身近な関係の中でどうつながりを残すかを考えているわけです。
ここから学べるのは、「違いがあるから終わり」ではないということです。人間関係は、同じ意見の人だけで作るぬくぬく毛布ではありません。ときには、考え方の違う人と同じテーブルにつく必要があります。そのとき大事なのは、相手を論破して勝つことではなく、「この人との関係をどう扱いたいのか」を忘れないことです。
もちろん、何でも受け入れましょうという話ではありません。傷つけられる関係、尊重がない関係、対話が成り立たない関係では、距離を取ることも大切です。でも、違いがあるだけで即終了にするのではなく、「どこまでなら話せるか」「何を大切にすれば関係を保てるか」を考えることも、人間関係の知恵です。
ゴスネルさんの研究全体から見えてくるのは、人間関係は大事件だけで決まるのではなく、日々の小さな反応で育つということです。
相手のよいニュースに、ちゃんと目を向ける。
相手の喜びを、雑に扱わない。
違いがあるときも、相手を人として見失わない。
支え合いを、悲しい場面だけでなく、うれしい場面にも広げる。
こういう小さな反応が、関係の土をふかふかにしていきます。逆に、毎回そっけなくしたり、喜びに水を差したり、違いを見つけるたびに壁を建てたりしていると、関係の土はだんだん固くなります。そこに種をまいても、芽が出にくくなります。
日常で活かすなら、まずは誰かがよい報告をしてくれたときに、「それで?」「どんな気持ちだった?」と一歩だけ深く聞いてみることです。これは難しい技術ではありません。でも効果は大きいです。相手の喜びを、こちらの反応で少しふくらませる。喜びのパン生地を、やさしく発酵させる感じです。
また、自分がうれしいことを話したときに、相手がどう反応してくれるかも見てみるとよいです。よい関係というのは、しんどいときに支えてくれるだけでなく、うれしいときに一緒に喜んでくれる関係でもあります。喜びを話すたびにしぼんでしまう関係なら、少し距離感を見直してもいいかもしれません。心の花束を持っていったのに、毎回「花粉がつくから」と追い返されるような関係は、なかなかつらいです。
コートニー・L・ゴスネルの研究からたどりつく学びは、とてもあたたかいものです。
人は、困ったときだけ人を必要とするのではありません。うれしいときにも、「ねえ、聞いて」と誰かを必要とします。そのとき、相手がこちらを向いて、ちゃんと喜んでくれる。その経験が、「自分の人生は、この人にとっても少し意味があるんだ」という感覚につながります。
人間関係は、苦しみを運ぶ救急車だけではありません。喜びを運ぶ小さな屋台でもあります。「いいことあったよ」と言われたら、心ののれんを出して、「それは聞かせてください」と迎える。そんな反応が、関係の中にあたたかい灯りを増やしていくのだと思います。

コートニー・L・ゴスネル(Courtney L. Gosnell)の論文一覧
1.『うれしい知らせは、信頼関係の“避難訓練”になる?-ポジティブな出来事への身近な人の反応を探る研究』シェリー・L・ゲイブル、コートニー・L・ゴスネル、ナタリア・C・マイゼル、エイミー・ストラクマン(2012)
Gable, S. L., Gosnell, C. L., Maisel, N. C., & Strachman, A. (2012). Safely testing the alarm: Close others’ responses to personal positive events. Journal of Personality and Social Psychology, 103(6), 963–981. DOI:10.1037/a0029488
「いいことがあったんです!」と話したとき、相手がどう返すか。実はそこに、人間関係の“安心センサー”がこっそり作動しているかもしれません。この論文は、うれしい出来事を伝えたときの反応が、相手への信頼や親密さにどう関わるのかを調べた研究です。「へえ」で終わるか、「それ最高ですね!」と一緒に喜ぶか。返事ひとつで、心の距離はぐっと近づく。喜びの共有は、ただの雑談ではなく、関係を点検する小さなアラーム実験なのです。

