コーネリア・H・M・ファン・ヤールスフェルト(Cornelia H. M. van Jaarsveld)の論文一覧:「三日坊主の観察日記」をつけて、習慣が根づく瞬間をじっと見守った研究者

コーネリア・H・M・ファン・ヤールスフェルト(Cornelia H. M. van Jaarsveld)の論文を読む女性
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コーネリア・H・M・ファン・ヤールスフェルト(Cornelia H. M. van Jaarsveld)のプロフィール

コーネリア・H・M・ファン・ヤールスフェルトは、「よし、今日から毎日やる場から見つめてきた健康行動の研究者です。

彼女の研究をたどると、関心は単なる「根性」や「やる気」の話に収まりません。子どもの食べ方や成長、運動、体重、健康への不安など、人が毎日どんな環境で暮らし、どんな行動を選び、それが心身にどう積み重なっていくのかを幅広く研究してきました。つまり彼女は、「本人がだらしないから」で話を終わらせず、「そもそも、その行動が起きやすい暮らしになっているだろうか?」と、生活の舞台装置まで見に行くタイプの研究者なのです。

いて双子を対象にした研究では、日々どれくらい体を動かすかには、家庭や学校など、子どもたちが共有する環境が大きく関わっていることが示されました。ここで大事なのは、「運動好きかどうかは生まれつきで決まる」と雑に片づけないことです。家の外で遊びやすいか。

親が外出しやすい生活か。学校で体を動かす時間があるか。人の行動は、本人の心の中だけで決まるわけではない。暮らしのほうから、そっと背中を押されたり、逆に椅子へ引き戻されたりしている。そんな見方が、彼女の研究には流れています。 ェルトの名前を知る人が多いのは、フィリッパ・ラリーらとともに発表した、習慣ができる過程を実生活の中で追った研究でしょう。

習慣というと、「何日続けたら完成ですか?」という、まるでカップ麺の待ち時間のような質問が飛んできがちです。けれど彼女たちが見つめたのは、もっと人間らしく、もっとゆっくりした世界でした。

習慣は号令一発で誕生するものではなく、同じような場面で行動をくり返すうちに、少しずつ「考えなくてもやること」へ近づいていく。その過程には個人差があり、一直線でもありません。三日坊主を見て「はい、失格」と赤ペンを入れるより、「では四日目に、もう一度戻りましょうか」と言うほうが、研究の空気にはよく似合います。 道徳のテストにしないところにあります。

早起きできない。運動が続かない。お菓子を前にすると決意が溶ける。そんな場面で私たちは、自分に向かってすぐ説教を始めがちです。「意志が弱い」「もっと本気を出せ」と。けれどファン・ヤールスフェルトの仕事を読むと、そこに別の質問が生まれます。「その行動を続けやすい時間、場所、きっかけは用意されているだろうか?」と。

人は、立派な決意だけではなかなか変わりません。けれど、朝食のあとに水を置く。帰宅したらすぐ歩けるように靴を玄関に出す。机の上から誘惑を一つだけ退場させる。そんな小さな工夫なら、今日からでも置けます。人生を大改造する社長会議ではなく、暮らしの片すみで椅子を一脚動かすくらいの改革です。

コーネリア・H・M・ファン・ヤールスフェルトは、習慣を「意志の強い人だけが持てる勲章」ではなく、環境とくり返しのなかで少しずつ育っていくものとして見せてくれた研究者です。続かない自分にがっかりした夜ほど、彼女の研究は静かに言っている気がします。「あなたを責める前に、明日の行動が始めやすい場所をひとつ、つくってみませんか」と。

参考文献・確認先:キングス・カレッジ・ロンドン:Cornelia Van Jaarsveld 研究者プロフィール / Google Scholar:Cornelia H. M. van Jaarsveld 論文・引用情報 / PubMed:Cornelia H. M. van Jaarsveld 関連論文

阿部牧歌(管理人)
阿部牧歌(管理人)

コーネリア・H・M・ファン・ヤールスフェルト(Cornelia H. M. van Jaarsveld)の研究から学べること

「よし、今日から毎日やるぞ!」

人はときどき、月曜日の朝に壮大な宣言をします。運動する。早起きする。野菜を食べる。本を読む。ついでに部屋も片づける。人生も立て直す。たいへん頼もしいのですが、木曜日あたりになると、その決意はソファのすき間に落ちたリモコンのように見当たらなくなります。

ここで、自分に向かって「意志が弱い!」と説教を始める前に、コーネリア・H・M・ファン・ヤールスフェルトらの研究を思い出したいところです。彼女たちの研究が教えてくれるのは、習慣とは、気合いの花火大会ではなく、毎日の同じ場所に小さな石を一つずつ置いて道をつくる作業だ、ということです。

習慣は「いつやるか」が決まると、急に働き者になる

習慣づくりの研究では、参加者が「朝食のあとに水を飲む」「夕食のあとに歩く」といった行動を、自分で決めた同じ場面で続けました。すると、行動をくり返すほど、「よし、やらなきゃ」と毎回考えなくても動ける感覚が少しずつ育っていきました。つまり習慣は、「やる気が満タンだからやる」のではなく、「この場面になったら、これをする」が決まることで育ちやすくなるのです。

たとえば「運動をする」は、立派ですが少し広すぎる目標です。運動界の大海原です。そこへ「平日の帰宅後、着替える前に五分だけ歩く」と杭を一本打つと、急に話が具体的になります。

「本を読む」なら、「歯を磨いたあと、布団に入る前に二ページ読む」でもいいでしょう。

「水を飲む」なら、「コーヒーをいれたら、先にコップ一杯の水を飲む」。

大事なのは、行動を大きく見せることではありません。行動の前にある“いつもの場面”と、くっつけることです。朝食、歯磨き、帰宅、入浴、昼休み。すでに毎日そこにいる生活の登場人物に、新しい行動をひとり追加する。習慣づくりとは、暮らしの台本に新しい役をそっと配ることなのです。

「一日できなかった」で、物語を最終回にしない

新しい習慣が続かなかったとき、人はすぐに大げさなナレーションを始めます。

「昨日できなかった。もう私は続けられない人間だ」
「三日坊主だった。向いていなかった」
「はい終了。解散!」

しかし、この研究では、一度だけ行動をしそびれたことは、習慣が育つ過程を大きく損なわなかったと報告されています。大切なのは、一回も休まない完璧さよりも、全体として同じ場面でくり返していくことでした。

これは、かなり救いのある話です。

風邪の日もある。残業の日もある。子どもが泣く日もある。気持ちが泥だんごみたいに重い日もあります。そんな日に予定どおり動けなかったからといって、これまでの積み重ねが消えるわけではありません。

一日抜けたら、翌日に戻る。それで十分です。

むしろ問題になりやすいのは、「できなかった自分が嫌になって、二度と戻らない」という流れでしょう。習慣づくりでは、休まない人より、戻ってこられる人のほうが強いのです。立派な連続記録よりも、「あ、昨日忘れた。今日はやろう」が言える軽さのほうが、長い目で見ると頼りになります。

「何日で身につく?」より、「自分の生活に根づくか」を見る

習慣は何日で身につくのか。気になるところです。人間は数字が好きです。「二十一日で変わる」「六十六日で定着する」と聞くと、カレンダーに丸をつけたくなります。

けれど、この研究では、行動がかなり自動的になるまでの目安には大きな個人差があり、十八日ほどの人もいれば、二百五十四日ほどかかった人もいました。早く身につく人も、ゆっくり育つ人もいる。つまり、習慣に共通の締切日はないのです。

ここで焦ってはいけません。

習慣は、資格試験のように「この日までに合格」と決まっているものではありません。むしろ観葉植物に近い。日当たり、水やり、置き場所が合えば育つ。でも、「まだ芽が出ない。根性がないぞ」と鉢を毎朝ゆすっても、植物は困るだけです。

自分の習慣にも、少し同じやさしさを向けてみましょう。早くできるようになることより、来週も来月も、無理なく戻ってこられる形になっているか。そのほうが、ずっと大切です。

体や食べ方の悩みも、「本人のせい」だけで片づけない

ファン・ヤールスフェルトは、子どもの食べ方や体重、家庭環境についても研究してきました。双子のデータを用いた研究では、子どもの体格に遺伝的な要素が関わる一方で、食べ物、体を動かす機会、画面を見る時間など、家庭の環境によって、その影響の現れ方が違いうることが示されました。

この話を聞くとき、注意したいことがあります。「遺伝だからどうにもならない」とも、「環境さえ整えれば全部うまくいく」とも言い切れない、ということです。

人は、遺伝だけでできているわけでも、努力だけでできているわけでもありません。家にどんな食べ物があるか。忙しい日でも体を動かせる余白があるか。テレビや動画が生活の中心になりすぎていないか。家族が食事をどう楽しんでいるか。こうした日々の小さな条件が、静かに行動を形づくります。

だから、健康や体型の話を「だらしない」「自己管理が足りない」で終わらせるのは、あまりにも雑です。人を責める前に、まず環境を見てみる。これは子どもに限らず、大人にもそのまま使える視点でしょう。

夜中にお菓子を食べてしまうなら、意思が弱いのではなく、帰宅後すぐに食べられる夕食がないのかもしれません。運動が続かないなら、怠け者なのではなく、靴が押し入れの奥で遭難しているのかもしれません。仕事終わりに勉強できないなら、集中力がないのではなく、すでに一日の電池を使い切っているのかもしれません。

責める言葉は、だいたい仕組みを見落とします。

自分を変える前に、暮らしを少しだけ動かしてみる

ファン・ヤールスフェルトの研究から学べる、いちばん実用的なこと。それは、「自分を大改造しようとしない」ことかもしれません。

朝から一時間走るのではなく、玄関に歩きやすい靴を出しておく。
読書家になろうとするのではなく、枕元に一冊置く。
野菜中心の食生活を誓うのではなく、冷蔵庫に切った野菜を一品だけ入れる。
スマホをやめるのではなく、寝る前だけ充電場所を別の部屋にする。

人は、自分の心を直接つかんで動かすことはなかなかできません。けれど、目に入るもの、手の届くもの、行動の順番は、少し変えられます。人生のハンドルをいきなり切り返せなくても、道路脇の案内板なら立てられるのです。

習慣とは、「強い人だけが守れる約束」ではありません。疲れる日も、失敗する日もある普通の人が、明日の自分を少し助けるための仕組みです。

昨日できなかったことを責めるより、今日できるように何を近くへ置くか。

コーネリア・H・M・ファン・ヤールスフェルトの研究は、そんな問いを私たちに渡してくれます。気合いが尽きたあとにも残るもの。根性が昼寝している日にも働くもの。それが、暮らしのなかに静かに育てる習慣なのかもしれません。

阿部牧歌(管理人)
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コーネリア・H・M・ファン・ヤールスフェルト(Cornelia H. M. van Jaarsveld)の論文一覧

1.『習慣は、どうやって身につくのか:日常のなかで「続く行動」が育つまでを追った習慣形成モデル』フィリッパ・ラリー、コーネリア・H・M・ファン・ヤールスフェルト、ヘンリー・W・W・ポッツ、ジェーン・ウォードル(2010)

Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40(6), 998–1009. DOI:10.1002/ejsp.674

「習慣は21日で完成!」と聞いて、22日目にサボったあなたへ。ちょっと待った、この論文には96人の暮らしの記録がある。朝食後に果物、夕食後に散歩。同じ場面で続けるうち、行動は少しずつ「考えなくてもやる」側へ育っていった。ただし、定着までの道のりは18日から254日まで大渋滞。1日抜けても即・習慣破産ではない。三日坊主を裁くより、明日の自分が動きやすい“いつもの場面”を用意しよう。やる気の正体を、生活のなかで追いかけた一篇です。

阿部牧歌(管理人)
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この論文の要約を読む
【心理学論文】習慣は何日で身につく?「続けられる人」が無意識に育てている習慣化のしくみ
【心理学論文】習慣は何日で身につく?「続けられる人」が無意識に育てている習慣化のしくみ
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