クリストファー・オヴェイス(Christopher Oveis)の論文一覧:感情は顔に出る、体にも出る、そして人間関係にもにじみ出る。感謝・思いやり・社会的つながりをのぞく、心の表情研究さんぽ
クリストファー・オヴェイス(Christopher Oveis)のプロフィール
クリストファー・オヴェイスは、アメリカのカリフォルニア大学サンディエゴ校、ラディ経営大学院で教えている心理学・経営学系の研究者です。肩書きとしては准教授で、専門は「感情」「共感」「思いやり」「感情のコントロール」「人と人とのつながり」などです。いわば、人間の心のなかで鳴っている小さなベルを、「今の音、感謝ですね」「これは共感の響きですね」と聞き分ける、感情研究の音響技師みたいな人です。
彼の研究でおもしろいところは、感情をただの「心の中の気分」として見ていないところです。たとえば、感謝する、思いやる、笑う、相手の苦しみに反応する。こうした感情は、自分ひとりの胸の中で完結するものではなく、人間関係の空気を変えたり、信頼を生んだり、ときには相手との距離を縮めたりします。つまりオヴェイスは、「感情って、実は人間関係を動かす小さなエンジンなのでは?」という視点で研究している人だと言えます。研究テーマには、対人関係、感情、社会的な見方、共感、心身の反応などが並んでいます。
代表的な研究には、「感謝」が人間関係にどんな影響を与えるのかを調べたものがあります。感謝というと、つい「ありがとうと言うだけでしょ?」と思ってしまいますが、研究の世界ではこれがなかなか侮れません。感謝は、言った本人だけでなく、言われた相手、さらにはそれを見ていた周囲の人にまで影響を及ぼす可能性があります。まるで、心のテーブルに置かれた小さなランプが、周囲の顔までふんわり照らすようなものです。
また、彼は「笑い」や「権力」といったテーマにも関わっています。笑い声ひとつにも、立場や関係性がにじむことがあります。上司の笑い、友人の笑い、気まずさをごまかす笑い。人間の笑いは、ただの「ハハハ」ではなく、社会的なメッセージをこっそり運ぶ小包のようなものなのです。オヴェイスの研究は、そうした日常の何気ない反応を、心理学の虫めがねでじっくり観察しているところに魅力があります。
教育者としても評価されており、ラディ経営大学院ではリーダーシップ関連の授業を担当し、教育賞も受けています。さらに2019年には、優れた若手ビジネススクール教授を選ぶ企画でも紹介されています。つまり、研究室で感情を分析するだけでなく、教室でも学生たちに「人を動かすとは何か」「よい関係をつくるとは何か」を伝えている先生なのです。
ざっくり言えば、クリストファー・オヴェイスは、「感謝」「共感」「思いやり」「笑い」「感情の調整」といった、人間関係の油差しみたいな働きを研究している人です。人はなぜ、誰かにやさしくされると心がほどけるのか。なぜ「ありがとう」の一言で関係が少しあたたまるのか。なぜ笑い方ひとつで、その場の空気が変わるのか。そんな、日常にひそむ心のからくりを、まじめに、でもどこか人間くさく追いかけている研究者と言えるでしょう。
参考文献・確認先:クリストファー・オヴェイス 公式プロフィール / UC San Diego:Christopher Oveis プロフィール / Google Scholar:Christopher Oveis 論文・引用情報 / PubMed:Christopher Oveis 関連論文

1.『感謝は、愛を長持ちさせる。親密な絆を守り育てる“ありがとう”の力』エイミー・M・ゴードン、エミリー・A・インペット、アレクサンドル・コーガン、クリストファー・オヴェイス、ダッチャー・ケルトナー(2012)
Gordon, A. M., Impett, E. A., Kogan, A., Oveis, C., & Keltner, D. (2012). To have and to hold: Gratitude promotes relationship maintenance in intimate bonds. Journal of Personality and Social Psychology, 103(2), 257–274. DOI: 10.1037/a0028723
「ありがとう」って、ただの礼儀だと思っていませんか?この論文は、感謝が恋人や夫婦の関係をじわっと長持ちさせる“心の接着剤”になることを調べた研究です。「助かったよ」と感じると、相手を大切にしたくなり、関係を守る行動も増えていく。つまり感謝は、恋愛の飾りではなく、日々のメンテナンス道具。愛の工具箱に、そっと入れておきたい一本です。

