ブレット・J・ピーターズ(Brett J. Peters)の論文一覧:うれしい報告にどう返す? 喜びを増やす“リアクションの腕前”から、人間関係のぬくもりを探る心理学さんぽ

ブレット・J・ピーターズ(Brett J. Peters)の論文を読む女性
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ブレット・J・ピーターズ(Brett J. Peters)のプロフィール

Brett J. Petersは、人と人との「うれしい!」のキャッチボールを研究している心理学者です。
たとえば、あなたが「今日、面接うまくいった!」と話したときに、相手が「へえ、そうなんだ」で終わるのか、「それ最高じゃん!どこがうまくいったの?」と目をきらっとさせるのか。その違いで、人間関係の温度が変わることに注目している研究者なんですね。

いわば、“喜びの空気測定士”みたいな人です。

ブレット・J・ピーターズの研究では、「悩みを聞いてくれること」だけではなく、「うれしい話を一緒によろこんでくれること」も、人間関係にとても大事だと語られています。
人はつい、「つらい時に支えてくれる人=大切な人」と考えがちですが、実は「うれしい時にちゃんと笑ってくれる人」も、同じくらい心の支えになる。そんな、人間関係の“あたたかい側面”を研究しているのが特徴です。

論文を読むと、まるで居酒屋やカフェの何気ない会話を顕微鏡でのぞいているみたいなんです。
「なんであの人と話すと元気になるんだろう?」
「なぜ同じ『おめでとう』でも、心に残る人と残らない人がいるんだろう?」
そんな日常の“ふわっ”とした感覚を、地道に研究している感じがあります。

心理学の世界には、「不安」「ストレス」「孤独」みたいな重たいテーマも多いのですが、ピーターズの研究は少し違います。
暗い部屋で懐中電灯を探すというより、晴れた公園で「人って、こういう時に笑うんだなあ」と観察しているような空気があります。

だから彼の論文は、「人間ってめんどくさいなあ」ではなく、
「人間って、案外かわいらしい生き物かもしれない」
と思わせてくれるところが魅力なんです。

参考文献・確認先:Ohio University:Brett Peters 公式プロフィール / Ohio University Experts:Dr. Brett J. Peters 研究者情報 / Google Scholar:Brett J. Peters 論文・引用情報 / PubMed:Brett J. Peters 関連論文

阿部牧歌(管理人)
阿部牧歌(管理人)

ブレット・J・ピーターズ(Brett J. Peters)の研究から学べること

ブレット・J・ピーターズさんの研究から学べることを、ひとことで言うなら、「うれしい出来事は、ひとりで味わうだけでもよいけれど、誰かに話して、よい反応をもらうと、もっとおいしくなる」ということです。

これは、人間関係の中ではかなり大事な話です。つらいときに支えてもらうことの大切さは、わりと多くの人が知っています。「落ち込んだときに話を聞いてもらえた」「困ったときに助けてもらえた」。これはもちろん大切です。でもピーターズさんたちの研究が面白いのは、「よいことがあったとき、それをどう分かち合うか」に注目しているところです。

たとえば、あなたが「今日、仕事でほめられたんです!」と誰かに話したとします。そのとき相手が、スマホを見ながら「へえ、よかったね」と返したらどうでしょう。悪い反応ではないけれど、心のクラッカーは湿気ります。パァン!と鳴るはずだった喜びが、ポフッ……となります。

反対に、「え、それすごいですね!どんなところをほめられたんですか?」と身を乗り出して聞いてくれたら、どうでしょう。喜びが二倍、いや体感では二・七倍くらいにふくらみます。心の中で小さな祭りが始まり、屋台の焼きそばまで出てきます。これが、ピーターズさんたちが扱っている「よい出来事を分かち合い、相手の反応によって喜びが育つしくみ」です。

ピーターズさんは、ハリー・T・ライスさん、シェリー・L・ゲイブルさんとともに、よい出来事を他者に伝えて、その反応によって幸福感や関係性が強まるしくみについて整理した論文を発表しています。この論文は、原題では「よいことをさらによくする」という意味のタイトルで、社会心理学・性格心理学の分野の専門誌に掲載されています。

この考えを、むずかしい言葉を使わずに言うなら、「幸せは、分けると減るどころか、相手の反応しだいで増えることがある」ということです。

もちろん、ケーキは分けると物理的には減ります。ショートケーキを四等分したら、一人分は小さくなります。これは残念ながら心理学でも覆せません。でも、うれしい気持ちは少し違います。「聞いて聞いて!」と話したときに、相手がちゃんと喜んでくれると、その出来事の価値がもう一度光ります。心の中の写真に、もう一枚きれいなフィルターがかかる感じです。

ピーターズさんたちの研究から学べるのは、人間関係では「つらいときの支え」だけでなく、「うれしいときの反応」も、とても大切だということです。

これ、意外と見落とされがちです。

誰かが落ち込んでいるときは、「聞いてあげなきゃ」と思いやすいですよね。でも、誰かがうれしい話をしたときは、つい軽く流してしまうことがあります。

「へえ、よかったね」

「まあ、運がよかったんじゃない?」

「でも次も大事だね」

「私なんて今日もっと大変でさ」

これをやってしまうと、相手の喜びにそっと冷蔵庫の冷気を浴びせることになります。本人はそんなつもりがなくても、相手の心では「もうこの人にはあまり話さないでおこう」という小さなシャッターが下りるかもしれません。

逆に、よい反応ができる人は、人間関係の中でかなり強いです。相手のうれしい話を、自分のことのように喜べる人。そこに質問を足せる人。「それはうれしいですね」「どんな気持ちでした?」「頑張ってきたことが伝わったんですね」と返せる人。こういう人は、心の焚き火係です。相手の小さな火を、消さずに、ふわっと大きくしてくれます。

ピーターズさんたちの論文では、よい出来事を他者に話すことや、そのときの反応が、本人のよい感情や人間関係の親密さに関わるものとして整理されています。特に、相手が前向きで関心を示す反応をすると、よい出来事の価値が高まり、関係にもよい影響が出やすいと考えられています。

ここから、日常で使える知恵が見えてきます。

誰かがうれしい話をしてきたときは、「すごいですね」で終わらせず、もう一歩だけ踏み込むのです。

「それ、どんなところが一番うれしかったんですか?」

「そこまでに、どんな工夫をしたんですか?」

「その瞬間、心の中で何が起きました?」

「それは、ちゃんと見てもらえた感じがしてうれしいですね」

こういう返しをすると、相手はもう一度その喜びを味わえます。うれしい出来事の再加熱です。電子レンジではなく、人間関係レンジです。しかも、あたためムラが少ない。

これは支援の場面でも、とても役立ちます。

利用者さんや相談者さんが「今日は遅刻せずに来られました」「作業が最後までできました」「面接の練習で少し話せました」と言ったとします。そのときに、「よかったですね、次も頑張りましょう」で終わってしまうと、少しもったいないです。もちろん悪くはありません。でも、せっかくの小さな成功の芽に、水をひとしずくしかあげていない感じです。

そこで、「それは大きいですね。朝、来るまでにどんな工夫をしたんですか?」「最後までできたのは、集中の持っていき方がよかったんですね」「少し話せたというのは、前より一歩進んでいますね」と返すと、本人は自分の成功をもう一度確認できます。

これは、ただほめることとは少し違います。相手のよい出来事を、相手自身がしっかり受け取れるように手伝うことです。

「できたね」で終わらせるのではなく、「どうやってできたのか」「どこが大事だったのか」「それが本人にとってどんな意味を持つのか」を一緒に見ていく。すると、小さな成功が、次の行動につながる“心の燃料”になります。

ピーターズさんの研究から見ると、よい反応は、人間関係のごちそうです。しかも高級食材はいりません。必要なのは、少しの関心、少しの質問、少しの喜びです。

ただし、注意点もあります。

相手のうれしい話に対して、うっかり「水を差す反応」をしてしまうことがあります。たとえば、相手が「昇進したんです」と言ったときに、「責任が増えて大変ですね」と最初に言ってしまう。たしかに事実かもしれません。でも、相手が今ほしいのは、未来の苦労の予告編ではなく、今の喜びを一緒に味わうことかもしれません。

あるいは、「私も昔ね」とすぐ自分の話に持っていく。これも会話あるあるです。相手が持ってきた喜びのお皿を、こちらの体験談で上書きしてしまう。気づけば主役交代。相手の喜びは、舞台袖で三角座りです。

だから、まずは相手の話を主役にすることが大切です。

「それはうれしいですね」

「聞かせてくれてありがとうございます」

「もう少し詳しく聞きたいです」

このあたりの言葉は、人間関係の栄養剤になります。派手ではありません。でも効きます。じわじわ効きます。

そして、この研究は自分自身にも使えます。よいことがあったとき、「これくらいで喜んではいけない」と押し込める人がいます。でも、小さなよいことをちゃんと味わう力は、心の回復力につながります。

「今日は予定通り起きられた」

「苦手な連絡を一本できた」

「少しだけ片づけた」

「前より落ち着いて話せた」

こういう小さな成功を、ちゃんと自分の中で受け止める。そして、安心できる人に話してみる。すると、喜びが少し長持ちします。心の中のロウソクに、風よけのガラスをつけるようなものです。

ブレット・J・ピーターズさんの研究が教えてくれるのは、人間関係には「悲しみを半分にする力」だけでなく、「喜びをふくらませる力」もあるということです。

つらいときに支えてくれる人は大切です。

でも、うれしいときに一緒に喜んでくれる人も、同じくらい大切です。

なぜなら、人は苦しみを受け止めてもらうことで安心し、喜びを一緒に味わってもらうことで、自分の人生に光があることを確認できるからです。

つまり、人間関係は傘であり、日なたでもあります。雨の日に濡れないようにしてくれるだけでなく、晴れた日に「いい天気だね」と一緒に笑ってくれる。その両方が、私たちの心を支えているのです。

ピーターズさんの研究は、こう語りかけているようです。

誰かのよい知らせを、軽く流さないでください。

その人の喜びは、あなたの反応によって、もっと育つかもしれません。

「よかったね」の先に、もう一歩だけ足してみる。

「それ、どんな気持ちだった?」

「そこまで頑張ったんですね」

「私も聞けてうれしいです」

その小さな一言が、相手の心の中で、喜びの花に水をやることになります。人間関係のあたたかさは、困ったときだけでなく、うれしいときの反応にも宿るのです。

阿部牧歌(管理人)
阿部牧歌(管理人)

ブレット・J・ピーターズ(Brett J. Peters)の論文一覧

1.『よい出来事を、さらによいものにする:対人関係におけるキャピタライゼーションのレビューと理論モデル』ブレット・J・ピーターズ、ハリー・T・リース、シェリー・L・ゲイブル(2018)

Peters, B. J., Reis, H. T., & Gable, S. L. (2018). Making the good even better: A review and theoretical model of interpersonal capitalization. Social and Personality Psychology Compass, 12(7), e12407. DOI:10.1111/spc3.12407

「いいことあったんだ!」と話したとき、相手の返し方しだいで、喜びはしぼんだ風船にも、空高く飛ぶ気球にもなります。この論文は、うれしい出来事を人に話し、それをどう受け止めてもらうかという“喜びの増幅装置”を研究したレビューです。「おめでとう」の一言にも、実は関係を深める魔法と、地味に冷ます氷水がある。人間関係のぬくもりを、会話のリアクションから読み解く一篇です。

阿部牧歌(管理人)
阿部牧歌(管理人)
この論文の要約を読む
【論文要約】うれしい報告にどう返す? 研究からわかった、人間関係がもっと深まる意外なしくみ
【論文要約】うれしい報告にどう返す? 研究からわかった、人間関係がもっと深まる意外なしくみ
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