アン・O・マシオン(Ann O. Massion)の論文一覧:心のざわざわに休憩札を出す、マインドフルネス研究さんぽ

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アン・O・マシオン(Ann O. Massion)のプロフィール

アン・O・マシオンさんは、ひとことで言うと、「不安で心が大騒ぎしている人に、薬だけでなく“今ここに戻る練習”という選択肢を差し出した精神科医・研究者」です。

マシオンさんは、アメリカの精神科医で、マサチューセッツ大学医学部の精神医学分野に所属していた研究者として知られています。特に有名なのは、ジョン・カバットジンさんたちと一緒に行った、不安障害に対するマインドフルネス瞑想プログラムの研究です。この研究では、全般性不安障害やパニック障害のある人たちに、瞑想を中心にしたストレス低減プログラムを行い、不安や抑うつ、パニック症状がどう変わるかを調べました。つまり、「心配ごとが脳内で町内会議を開きっぱなしです!」という状態に、静かな座布団を差し出したような研究ですね。

マシオンさんの研究テーマは、かなり一貫しています。中心にあるのは、不安障害、パニック障害、全般性不安障害、生活の質、そして心身へのケアです。たとえば、1993年の研究では、パニック障害や全般性不安障害が、日常生活の質にどれほど影響するのかを調べています。不安というのは、単に「心配性ですね」で済む話ではなく、仕事、人間関係、体調、毎日の過ごしやすさにまで、こっそり靴下の中の小石みたいに入り込んでくるものだと示した研究です。

また、マシオンさんは、不安障害がどのような経過をたどるのか、どんな要因が回復の早さに関係するのかにも関わっています。全般性不安障害の経過を追った研究では、マサチューセッツ大学医学部の精神医学部門所属として著者に名を連ねています。さらに、人格障害の特徴が不安障害の回復にどう関係するかを扱った研究にも参加しており、不安を「一時的な気分」ではなく、長い時間の流れの中で見ようとした研究者だと言えます。

おもしろいのは、マシオンさんの関心が「不安」だけに閉じていないところです。瞑想、心身医学、がん患者さんへのマインドフルネス、治療の中での心のあり方など、かなり広い領域に関わっています。医療の世界にありがちな「症状を消すぞ、以上!」というより、「その人がどう生きやすくなるか」に目を向けている感じがあります。白衣を着た研究者でありながら、心の玄関にそっとスリッパを並べるタイプ、と言うと少し伝わるでしょうか。Doximityの医師情報では、精神科専門医として紹介され、現在はカリフォルニア州などで医師免許情報が確認できます。

ただし、マシオンさんは、ジョン・カバットジンさんのように一般向けの著書や講演で広く知られるタイプというより、論文の中でじわっと存在感を放つ研究者です。いわば、舞台中央でスポットライトを浴びる主役というより、研究というオーケストラの中で、低音をしっかり支えるチェロのような存在です。派手ではありませんが、彼女の名前が入っている研究を見ると、「不安」「瞑想」「心身のつながり」という、現代人の心にかなり刺さるテーマが並んでいます。

まとめると、アン・O・マシオンさんは、不安障害の臨床研究と、マインドフルネスを医療に活かす研究の橋渡しをした精神科医・研究者です。心が「もう無理です、臨時休業です」と看板を出しそうなときに、ただ根性論で押すのではなく、「まず座って、呼吸して、今ここに戻ってみましょう」と言える医療の形を探った人、と紹介すると、とてもわかりやすいと思います。

参考文献・確認先:Doximity:Ann O. Massion 医師プロフィール / Google Scholar:Ann O. Massion 論文・引用情報 / PubMed:Ann O. Massion 関連論文

阿部牧歌(管理人)
阿部牧歌(管理人)

アン・O・マシオン(Ann O. Massion)の研究から学べること

アン・O・マシオンさんの研究から学べることは、ひとことで言うと、「不安な心を無理やり黙らせるのではなく、まず“今ここ”に座らせてあげるだけでも、人は少しずつ変わっていける」ということです。

マシオンさんは、ジョン・カバットジンさんたちと一緒に、不安障害の人に対する瞑想をもとにしたストレス低減プログラムの研究に関わった人物です。1992年に発表された有名な論文では、全般性不安障害やパニック障害などをもつ22人を対象に、集団で行う8週間の瞑想中心のストレス低減プログラムを実施し、不安やパニックの症状が減ったことが報告されています。さらに、この変化は3か月後にも保たれていたとされています。

ここで大事なのは、「瞑想すればすべて解決、はい終了!」という魔法の杖の話ではないことです。マインドフルネスは、悩みを消しゴムでゴシゴシ消す技ではありません。むしろ、「あ、不安が来ているな」「胸がざわざわしているな」「頭の中で“もしも劇場”が開演しているな」と気づく練習です。心の中の騒がしい商店街に、いきなり閉店命令を出すのではなく、まずは少し離れたベンチから眺めてみる感じですね。

不安というものは、なかなか働き者です。こちらが頼んでもいないのに、未来の危険をせっせと予想してくれます。「明日、失敗するかも」「変に思われるかも」「体調が悪くなったらどうしよう」。もう、心の中の不安部長が、朝から晩まで会議資料を刷りまくっているような状態です。紙代が心配になります。

でも、マシオンさんたちの研究が教えてくれるのは、不安を力ずくで追い出そうとしなくてもいい、ということです。不安に対して「出ていけ!」と怒鳴ると、不安はなぜか玄関先でキャンプを始めます。追い払おうとすればするほど、「私、そんなに重要なんですね」と居座るのです。困った来客です。

そこで役に立つのが、「今ここ」に注意を戻す練習です。

たとえば、呼吸に気づく。足の裏が床についている感覚に気づく。肩に力が入っていることに気づく。頭の中で不安な考えが流れていることに気づく。これだけ聞くと、「え、それだけ?」と思うかもしれません。そうです、それだけです。でも、この「それだけ」が意外と大きいのです。

なぜなら、不安が強いとき、人の心はだいたい未来に出張しています。しかも出張先は、だいたい最悪の未来です。まだ起きていない失敗、まだ言われていない批判、まだ来ていない病気、まだ提出していない書類。心が未来の倉庫で、ありもしない段ボールを積み上げています。マインドフルネスは、その心に「いったん帰っておいで。今、ここにお茶あるよ」と声をかけるようなものです。

マシオンさんたちの研究が面白いのは、こうした練習が、医療の現場で不安やパニックに苦しむ人たちにも使える可能性を示したところです。論文では、瞑想を中心とした集団プログラムが、不安とパニックの症状を減らし、その効果が維持される可能性があると結論づけられています。

もちろん、ここには注意点もあります。参加者は22人と少なく、今の研究基準から見ると、さらに大規模で厳密な検証が必要な部分もあります。つまり、「この研究だけで全部決まり!」というより、「不安への新しい支援の扉を開けた研究」と見るのがよさそうです。心理学や医療の研究は、一発ホームランというより、地道な石畳づくりです。マシオンさんたちの研究は、その石畳のかなり大事な一枚だったと言えます。

ここから私たちが日常に持ち帰れる学びは、「不安をなくすことだけを目標にしない」ということです。

不安をゼロにしようとすると、かえって不安に注目しすぎてしまいます。「不安になってはいけない」「落ち着かなければ」「考えちゃだめだ」と思うほど、頭の中では不安が金屏風の前で記念撮影を始めます。目立ちたがり屋ですね。

だから、少し考え方を変えてみるのです。

「不安があっても、今できることに戻る」
「考えが暴れていても、呼吸だけはここにある」
「心が未来へ走っても、体は今この場所にいる」

この視点があるだけで、不安との距離が少し変わります。不安が消えなくても、不安に全部を乗っ取られにくくなるのです。これは、心の運転席を取り戻すようなものです。不安が助手席でうるさくしゃべっていても、ハンドルまで奪わせない。そこが大事です。

また、マシオンさんの研究からは、「心の支援には、練習の場が必要」ということも学べます。マインドフルネスは、本を読んで一度「なるほど」と思っただけで身につくものではありません。自転車と同じです。説明書を読んでも、最初はふらつきます。呼吸に注意を向けようとしても、すぐに夕飯の献立や明日の仕事や、なぜか昔の恥ずかしい記憶が乱入してきます。心の劇場は、いつも出演者が多いのです。

でも、それで失敗ではありません。気づいて戻る。気づいて戻る。そのくり返しが練習です。心がそれたことに気づけたなら、その時点で一歩進んでいます。迷子になったことに気づいたら、もう帰り道を探し始めているのと同じです。

支援の現場でも、この考え方はとても使えます。

不安が強い人に対して、「気にしないで」「考えすぎだよ」と言っても、なかなか届きません。それは、火災報知器が鳴っている部屋で「音量を下げる気持ちを持ちましょう」と言うようなものです。必要なのは、「今、体はどう感じていますか」「呼吸に少し注意を向けてみましょう」「不安な考えが出てきたことに気づけましたね」と、本人が自分の状態を観察できるように支えることです。

これは、相手を否定しない支援でもあります。不安を悪者にしない。不安を感じる本人を責めない。ただ、「不安があること」と「不安に振り回されること」を少し分けて見られるようにする。ここに、マシオンさんたちの研究から見えるやさしい知恵があります。

アン・O・マシオンさんの研究から学べることをまとめるなら、「心のざわざわは、戦って倒すだけでなく、気づいて距離をとることでやわらぐことがある」ということです。

不安は、人生から完全に消えるものではありません。むしろ、不安があるから準備ができることもあります。危険を避けられることもあります。ただ、不安が大きくなりすぎると、心の部屋を占領してしまいます。マインドフルネスは、その部屋に窓を開けるようなものです。風が入る。空気が動く。暗かった部屋に、少しだけ外の光が入ってくる。

マシオンさんの研究は、「心が荒れているときこそ、無理に立派にならなくていい」と教えてくれているように思います。まず座る。呼吸する。気づく。戻る。たったそれだけのことが、心の大渋滞に小さな抜け道をつくることがあります。

不安な心に必要なのは、説教ではなく、居場所かもしれません。
「ここにいてもいいよ」と言ってもらえる場所。
「不安があっても、あなたは壊れていないよ」と思える時間。
「今ここ」に戻ってくるための、小さな灯台。

アン・O・マシオンさんの研究は、その灯台の光を、医療と心理学の世界にそっと置いてくれた研究だと言えるのだと思います。

阿部牧歌(管理人)
阿部牧歌(管理人)

アン・O・マシオン(Ann O. Massion)の論文一覧

1.『不安障害の治療における、瞑想にもとづくストレス低減プログラムの効果』ジョン・カバットジン、アン・O・マシオン、ジーン・クリステラー、リンダ・ゲイ・ピーターソン、ケネス・E・フレッチャー、ロリ・プバート、ウィリアム・R・レンダーキング、サキ・F・サントレリ(1992)

Kabat-Zinn, J., Massion, A. O., Kristeller, J., Peterson, L. G., Fletcher, K. E., Pbert, L., Lenderking, W. R., & Santorelli, S. F. (1992). Effectiveness of a meditation-based stress reduction program in the treatment of anxiety disorders. American Journal of Psychiatry, 149(7), 936–943. DOI:10.1176/ajp.149.7.936

「不安で頭の中が会議室みたいにザワザワしてるんですけど!」そんな人たちに、瞑想ベースのストレス低減プログラムを試したのがこの論文。薬や気合いだけでなく、「呼吸に戻る」「今ここに気づく」という練習で、不安障害の症状がどう変わるのかを調べています。心の非常ベルに、そっと音量つまみをつけたような研究です。

阿部牧歌(管理人)
阿部牧歌(管理人)
この論文の要約を読む
【論文要約】不安障害に瞑想は効くのか?ストレス低減プログラムの研究からわかった心の整え方
【論文要約】不安障害に瞑想は効くのか?ストレス低減プログラムの研究からわかった心の整え方
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