エイミー・ストラクマン(Amy Strachman)の論文一覧:うれしい報告に、どう返す? 愛と友情の“リアクション力”をこっそり測る、人間関係の心理学さんぽ

エイミー・ストラクマン(Amy Strachman)の論文を読む女性
adler-nap

エイミー・ストラクマン(Amy Strachman)のプロフィール

エイミー・ストラクマンさんは、ざっくり言うと、「人と人との近さって、どんなときに深まるの?」を研究してきた社会心理学の研究者です。恋愛、親密な関係、うれしい出来事を分かち合うこと、相手との価値観の違い、性的行動や若者の発達など、人間関係の“あたたかい部分”と“ちょっとややこしい部分”の両方を見てきた人ですね。

公開プロフィールによると、ストラクマンさんはカリフォルニア大学ロサンゼルス校で社会心理学の博士号を取得しています。研究の中心には、「人は何かに近づこうとする気持ち」と「何かを避けようとする気持ち」がありました。たとえば恋愛でも、「この人ともっと幸せになりたい」という前向きな気持ちと、「別れたくない、傷つきたくない」という守りの気持ちがありますよね。ストラクマンさんは、そういう心のアクセルとブレーキを、恋愛や人間関係の中で観察していた研究者と言えます。

とくに面白いのは、「つらいときに支えてくれる人」だけでなく、「うれしいときに一緒に喜んでくれる人」も大事だよねという視点です。たとえば、「今日、仕事でほめられたんです!」と言ったときに、「へえ、よかったね」で終了する人もいれば、「えっ、すごい!どんなふうにほめられたの?」と、心のクラッカーを鳴らしてくれる人もいます。ストラクマンさんが関わった研究では、こうした良い出来事への反応が、恋人同士や親しい人との関係に大きく関わることが扱われています。人間関係の研究なのに、まるで「喜びの受け取り方検定」みたいで、なかなか味わい深いです。

また、ストラクマンさんは、恋愛関係における近づきたい気持ち失うのを避けたい気持ちについても研究しています。これは、「好きだから一緒にいる」のか、「別れるのが怖いから一緒にいる」のか、という違いに近いです。どちらも“関係を続ける理由”にはなりますが、心の温度はけっこう違いますよね。前者はあたたかいスープ、後者はこぼさないように両手で抱えた熱いマグカップ、という感じです。

さらに、死や不安を意識したとき、恋人との価値観の違いが関係への気持ちにどう影響するか、という少し重めのテーマにも取り組んでいます。ある研究では、死を意識させられた状況で、相手との価値観の違いを考えると、恋人への気持ちが弱まりやすい可能性が示されています。つまり、「人生って有限だな……」と感じたとき、人は急に「この人と本当に同じ方向を向いているのかな」と心の棚卸しを始めるのかもしれません。

研究テーマを見ると、ストラクマンさんは、人間関係をただロマンチックに語るのではなく、喜び、不安、欲求、価値観、身体的な親密さ、若者の行動などを、かなり現実的に見つめています。恋愛を「きらきらした物語」としてだけではなく、「心のクセと行動がからみ合う生活の現場」として見ている感じです。カーテンの向こうの花火だけでなく、テーブルの上の冷めかけたコーヒーまでちゃんと見る研究者、という印象ですね。

現在の公開プロフィールでは、学術研究だけでなく、恋愛・結婚関連サービス企業で、利用者の考え方や行動を調べる仕事にも関わっていたことが示されています。つまり、大学の研究室で人間関係を調べるだけでなく、実際のサービスや利用者理解にも研究の目を向けていた人だと言えそうです。

まとめると、エイミー・ストラクマンさんは、「人はどうすれば誰かと近づき、どういうときに距離を取ってしまうのか」を、恋愛や親密な関係を通して探ってきた社会心理学者です。うれしい報告への反応、恋愛の続け方、不安や死の意識が関係に与える影響など、研究テーマはかなり人間くさいです。読むほどに、「人間関係って、愛だけでも理屈だけでも動かない。小さな返事、小さな不安、小さな価値観のズレが、静かに効いてくるんだな」と感じさせてくれる研究者ですね。

参考文献・確認先: Amy Strachman 公式プロフィール / Google Scholar:Amy Strachman 論文・引用情報 / PubMed:Amy Strachman 関連論文 / ResearchGate:Amy Strachman プロフィール

阿部牧歌(管理人)
阿部牧歌(管理人)

エイミー・ストラクマン(Amy Strachman)の研究から学べること

エイミー・ストラクマンさんの研究から学べることは、ひとことで言うと、「人間関係では、悪いことへの対応だけでなく、よいことが起きたときの反応がものすごく大事」ということです。

これ、ちょっと意外かもしれません。

人間関係の研究というと、けんか、すれ違い、ストレス、別れの危機など、どちらかというと“人間関係の火事場”を思い浮かべますよね。「相手が怒っているとき、どうするか」「落ち込んでいる人をどう支えるか」みたいな話です。もちろん、それも大事です。火事が起きたら消火器は必要です。でも、ストラクマンさんの研究は、「火事のときだけ頑張っても、ふだんの関係の畑に水をやっていなければ、けっこう枯れますよ」と教えてくれます。

ストラクマンさんは、社会心理学の博士号をUCLAで取得した研究者で、親しい人間関係、社会的な目標、ポジティブな出来事への反応などに関わる研究で知られています。研究者プロフィールでは、UCLAで社会心理学の博士号を取得し、現在は消費者理解に関わる仕事をしている人物として紹介されています。

特に有名なのが、シェリー・ゲーブルさんらと行った「よいことが起きたとき、親しい人がどう反応するか」に関する研究です。論文では、個人的によい出来事を話したとき、相手が積極的に喜んでくれる反応は、関係の満足感や親密さと関係することが示されています。PubMedにも、この研究は「よいことが起きたとき、そばにいてくれるか」というテーマで掲載されています。

ここで大事なのは、「相手が困っているときに助ける」だけが支えではない、ということです。

たとえば、友人が「仕事でほめられたんだ」と言ったとします。ここで「へえ、よかったね」で終わるのか、「え、すごい!どんなところをほめられたの?」と一緒に喜ぶのか。この差は、思った以上に大きいです。前者は、心のドアを半分だけ開けて「荷物はそこに置いといてください」と言う感じ。後者は、玄関まで出迎えて「それは祝杯案件ですね」とスリッパをそろえる感じです。

人は、つらいときだけでなく、うれしいときにも「誰かに受け止めてほしい」と思っています。よいことがあったときに、ちゃんと喜んでもらえると、「この人は私の人生の明るい部分も大切にしてくれるんだ」と感じられます。これは、関係の中に小さな灯りを増やす行為です。しかも電気代はほぼゼロ。すばらしい省エネ型の愛情です。

ストラクマンさんの研究から学べる一つ目のことは、「よいニュースへの反応は、人間関係の栄養になる」ということです。

私たちは、悪いことが起きたときの対応には気をつけます。「大丈夫?」「話聞くよ」「無理しないでね」と声をかける。でも、相手によいことが起きたときは、意外と雑になりがちです。「よかったね」で終了。あるいは、「でも次も大変だね」と水を差す。せっかく相手が心の花束を持ってきたのに、こちらが花瓶ではなく書類トレーを差し出してしまうわけです。

もちろん、「よかったね」だけでも悪くはありません。でも、関係を育てる反応はもう一歩あります。「それ、うれしかったでしょう」「どういう流れでそうなったの?」「あなたが頑張ってたの、ちゃんと見てもらえたんだね」。こういう反応は、相手の喜びを増幅します。喜びに対して、心のスピーカーをつないであげるようなものです。

二つ目の学びは、「人は、自分が何を求めているかによって、見える世界が変わる」ということです。

ストラクマンさんとゲーブルさんの別の研究では、人間関係の中で「よい結果に近づきたい」という目標と、「悪い結果を避けたい」という目標が、社会的な出来事の見え方に影響することが扱われています。つまり、相手との関係で何を求め、何を恐れているかによって、同じ出来事でも受け止め方が変わるということです。

これ、日常でかなりあります。

たとえば、相手から返信が少し遅い。関係を前向きに見ている人なら、「忙しいのかな」と思えるかもしれません。でも、「嫌われたくない」「変に思われたくない」と強く恐れていると、「もしかして怒ってる?」「距離を置かれてる?」と心の中でドラマが始まります。しかも全12話。最終回はだいたい悲劇です。まだ返信が遅いだけなのに。

人間の心は、見たいものだけでなく、恐れているものも見つけようとします。心配していると、心配の証拠ばかり集めてしまう。まるで、心の中に小さな探偵がいて、「不安の証拠、発見しました!」と虫眼鏡を持って走り回っているようなものです。いや、落ち着いてください。まだ事件ではありません。

だから、ストラクマンさんの研究からは、「自分はいま、相手との関係で何を恐れているのか」を見ることも大切だと学べます。

三つ目の学びは、「親しい関係は、問題解決だけではなく、喜びの共有で深まる」ということです。

つらいときに支える関係は大切です。でも、それだけだと、関係が“救急外来”みたいになってしまうことがあります。困ったときだけ開く場所。もちろん必要ですが、毎日そこにいたら疲れます。親しい関係には、救急外来だけでなく、縁側も必要です。うれしいことを話して、一緒に笑って、「それいいねえ」とお茶を飲める場所です。

相手の成功や喜びを一緒に喜ぶことは、相手に「あなたの幸せは、私にとっても大切です」と伝える行為です。これは、ものすごく温かいメッセージです。逆に、相手のよいニュースに無関心だったり、すぐに否定したり、話題を自分に戻したりすると、相手は少しずつ「この人に話しても広がらないな」と感じてしまいます。喜びの芽が、そこでしょんぼりします。

そして、人間関係で怖いのは、大きな事件だけではありません。小さなしょんぼりが積もることです。最初は「まあいいか」と思っても、何度も続くと、「この人には話さなくていいや」になってしまう。会話の小窓が、静かに閉まっていくのです。

四つ目の学びは、「支えるとは、相手の人生の明るい部分にも参加すること」です。

これは、支援や職場にも使える視点です。

たとえば、利用者さんや部下が「できました」と言ったとき、「はい、次はこれです」とすぐ次の課題に進むのではなく、「お、できましたね。どこがうまくいきました?」と少し味わう。小さな成功を一緒に確認する。そうすると、その人の中に「できた」が残りやすくなります。成功体験は、ただ発生するだけではなく、誰かに見つけてもらうことで記憶に根を張ることがあります。

子どもでも大人でも同じです。人は、自分のよい変化を誰かに見てもらえると、少し前に進みやすくなります。花が咲いたときに「咲いたね」と言ってもらえると、その花はただの出来事ではなく、物語になります。

日常で使うなら、ストラクマンさんの研究はこんなふうに役立ちます。

誰かがよいニュースを話してくれたら、まず一緒に喜ぶ。すぐに助言しない。すぐに自分の話にしない。すぐに現実的な心配をかぶせない。相手の喜びを少し広げる。「それはうれしいね」「どんな気持ちだった?」「そこまで頑張ってたもんね」。この一言だけで、関係の空気はかなり変わります。

逆に、自分が相手の反応に傷ついたときも、「この人は私を嫌っている」と即決する前に、自分の中の恐れを見てみる。「私は今、否定されることを怖がっているのかな」「相手の反応を悪い方向に読みすぎていないかな」。こうした問いは、心の暴走列車に少しブレーキをかけてくれます。

エイミー・ストラクマンさんの研究から学べることをまとめるなら、「人間関係を育てるには、困ったときの支援だけでなく、うれしいときの反応も大切」ということです。

人は、悲しみを分け合える相手を求めます。でも同じくらい、喜びを一緒にふくらませてくれる相手も求めています。落ち込んだ日に横にいてくれる人も大切。けれど、うれしい日に「それ最高じゃないですか」と笑ってくれる人も、人生にはとても大切です。

関係は、問題が起きたときだけ修理するものではありません。よいことが起きたときに一緒に喜ぶことで、日々少しずつ丈夫になります。心の橋に、一本ずつ板を足していくようなものです。

ストラクマンさんの研究は、こう教えてくれているように思います。

「相手の喜びに、ちゃんと顔を向けていますか?」

これは、簡単そうで意外と深い問いです。人の喜びを一緒に喜ぶには、少し余裕が必要です。嫉妬が出ることもあります。忙しくて流してしまうこともあります。でも、そこで一歩立ち止まり、「それはよかったね」と心を向けることができたら、人間関係は少しあたたかくなります。

喜びは、ひとりで持つと小さな灯りです。
でも、誰かが一緒に喜んでくれると、ランタンになります。

エイミー・ストラクマンさんの研究は、そのランタンの灯し方を教えてくれる研究なのだと思います。

阿部牧歌(管理人)
阿部牧歌(管理人)

エイミー・ストラクマン(Amy Strachman)の論文一覧

1.『うれしい知らせは、信頼関係の“避難訓練”になる?-ポジティブな出来事への身近な人の反応を探る研究』シェリー・L・ゲイブル、コートニー・L・ゴスネル、ナタリア・C・マイゼル、エイミー・ストラクマン(2012)

Gable, S. L., Gosnell, C. L., Maisel, N. C., & Strachman, A. (2012). Safely testing the alarm: Close others’ responses to personal positive eventsJournal of Personality and Social Psychology, 103(6), 963–981. DOI:10.1037/a0029488

「つらい時に支えてくれる人」は大事。でもこの論文は、さらに一歩踏み込んで聞いてきます。
「じゃあ、うれしい時に一緒に喜んでくれる人は、どうですか?」と。仕事でほめられた、試験に受かった、いいことがあった。そんな時の相手の反応は、実は“もし困った時もこの人は支えてくれそうか”を測る小さな避難訓練になるのです。喜びの報告は、人間関係の火災報知器をそっと点検する合図なのかもしれません。心のクラッカー、鳴らしてますか?🎉

阿部牧歌(管理人)
阿部牧歌(管理人)
この論文の要約を読む
【論文要約】うれしい出来事を話したときの反応からわかった、信頼関係の意外なしくみ
【論文要約】うれしい出来事を話したときの反応からわかった、信頼関係の意外なしくみ
記事URLをコピーしました